バイトダンス、生活関連サービス強化。「手数料ゼロ」時代に終焉、年間1兆円の売上目指す

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バイトダンス、生活関連サービス強化。「手数料ゼロ」時代に終焉、年間1兆円の売上目指す

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TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)傘下の動画投稿プラットフォーム「抖音(Douyin)」が、「2022年生活サービスソフト手数料ポリシーの通知」を公表、生活関連サービスについて6月1日よりソフトウェア手数料を変更するとした。これは抖音が「手数料ゼロ」時代に幕を下ろすことを意味する。それでもなお、大きな影響力を持つ抖音から離れることなく、さらに力を入れるという取引先は多い。

36Kr傘下のメディア「Tech星球」の独自取材によると、抖音を運営するバイトダンスは、生活関連サービス事業の通年目標を昨年末に設定した「最低300億元(約6000億円)、目標400億元(約8000億円)」から、上積みして500億元(約1兆円)とした。しかしコロナ禍の影響などの要素を加味すると、この目標も再び見直されるかもしれない。

20兆円市場を動かせるか

先ごろバイトダンスに香港法人の社名変更や新CFO任命などの動きがあり、周囲は上場へ向けた助走だと受け止めている。

香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)」は今年4月、バイトダンスの評価額が4000億ドル(約53兆円)に近づいているとする複数のプライべートエクイティ投資家のコメントを引用した。この高評価に応えるため、バイトダンスには新たな収入源が必要になった。

バイトダンスは昨年11月に組織を一新、ショート動画「抖音」、抖音の海外版「TikTok」、教育ブランド「大力教育(Dali Education)」、オフィスツール「飛書(FEISHU)」、クラウドプラットフォーム「火山引擎(Volcengine)」、ゲームブランド「Nuverse(朝夕光年)」の6つのビジネスユニットを設けた。抖音とTikTokはバイトダンスの売上高拡大の柱であり、中でもEC事業「抖音電商(Douyin Dianshang)」が最も重要視されている。

経済メディア「晩点(Latepost)」によると、抖音電商の流通取引総視額(GMV)は2020年に5000億元(約1兆円)を超え、21年には年間目標の倍となる10兆元(約200兆円)に達した。抖音の副総裁、木青氏が明らかにしたデータによると、21年1-8月、抖音電商のGMVは前年同期比で8倍程度増加しており、バイトダンスの新たな集金ツールとなっている。しかしこれでは全く足りず、抖音は20年、1兆元(約20兆円)規模の生活関連サービス市場に目標を定めた。

抖音は2018年に生活関連サービスを開始してからこれまで、実店舗での飲食の共同購入「到店団購」のサービスも提供しているが、これはデリバリーを主力とする生活関連サービス大手「美団(Meituan)」との差別化を図るためだ。

市場調査会社「艾瑞諮詢(iReserch)」によると、中国国内の生活関連サービス市場の浸透率は12.7%に過ぎず、ユーザーの利用はフードデリバリーに集中しているため、旅行や家事代行サービスなどの細かいその他の分野は成長の余地が大きい。抖音は飲食のほか、ホテルやチケットの「酒旅」や、芸術や文化に触れることを目的とした旅行「文旅」などの取り扱いを始める。

抖音は影響力の強い自社のライブコマース機能を利用、例えば配信者がライブ配信中にチケットやクーポンなどを販売することができるようにして、新たな生活関連サービス販売の窓口にした。

現在、抖音の生活関連サービスにはグルメ、美容医療、旅行などの共同購入サービスがある。バックアップサービスシステムも整っており、出店者はプラットフォーム上で関連データを確認したり提携のチャンスを探したりすることができるが、まだテスト段階のため招待コードがないと利用できない。

抖音は昆明など人気の旅先での文旅サービスを試験的に実施する予定で、生活関連サービスの出店者に対し抖音への広告掲載を増やすよう促して、広告売上を拡大するという。

こうした抖音の動きに対抗するため、他のインターネット大手も態勢を整えている。

美団は今年、ショート動画アプリ「快手(Kuaishou)」と提携、快手のアプリから美団のミニプログラムが利用できるようになった。美団の出店企業に対し、セットメニュー・クーポン券・予約といった商品の表示から、オンライン取引、アフターサービスまでフルサービスを提供する。アリババは地元グルメの共同購入をメインとする「爆爆団」を発表した。またテンセントは初の団体購入ツール「鵝享団」を発表、WeChat上で試験的に共同購入サービスを実施する。

1兆元(約20兆円)規模とされる巨大な生活関連サービス市場が見過ごされるはずはない。多くのプラットフォームがこの市場が今後新たな成長曲線を描くことを期待しており、市場を巡る競争はますます激化するだろう。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

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