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次世代型の電力貯蔵技術を開発する「軽舟科技(軽舟能科、SKIFF ENERGY TECH)」がプレシリーズAで数千万元(数億円)を調達した。ブロックチェーン分野の中国のトップ企業「趣鏈科技(HYPERCHAIN)」が戦略投資として出資している。
軽舟科技は2016年に設立されたエネルギー貯蔵業界向けIoTを手がける企業だ。「AIoT(AIとIoT)」を基盤とした技術プラットフォームで、電力貯蔵ステーションに運営・保守のトータルソリューションを提供する。エネルギー管理、セキュリティ、運営、保守、会計、ファイナンスなどフルプロセスの機能を網羅し、すでに電力貯蔵ステーション数十カ所にサービスを提供している。
エネルギー貯蔵市場の急成長はすでに業界のトレンドとなっている。中国国家発展改革委員会が制定した関連の指導意見によると、中国は2025年までに新型エネルギー貯蔵設備を商用化の初期段階から大規模化へ移行させ、実装規模を30GWに、さらに2030年までに全面的な市場化を実現させるとの目標を立てている。
新型エネルギー貯蔵技術で最も成長が著しいものの一つは電気化学エネルギー貯蔵技術だ。2025年までに実現するとされる30GWの新型エネルギー貯蔵設備のうち、ユーザー向けの電気化学エネルギー貯蔵設備は6GWを占めると予想される。
軽舟科技の創業者である馬興氏によると、ユーザー向けエネルギー貯蔵設備の中でもEMS(エネルギーマネジメントシステム)と管理・運営プラットフォームは、エネルギー貯蔵システムが最大限の効果を発揮するために重要であり、先進的なEMSがユーザーの需要を継続的に満たすことで、効果の最大化が望めるという。
軽舟科技の現在の主要製品は電力貯蔵ステーションとEMS、クラウド型の管理プラットフォームだ。
EMSではクラウドとエッジを一体化させた「軽EMS」をリリースしている。同システムは電力ピークカット、負荷追従、太陽光発電と蓄電池の協調などを完全に網羅し、現在の普遍的なユーザーの需要を満たせる。インテリジェント化についても独自の強みを持つ。さまざまな制約条件や過去の運営データに基づいた動的計画法と機械学習のアルゴリズムを採用し、将来的に最適な運営戦略を自動的に策定できる。特に「電源・送電網・電力負荷・蓄電」の一体化を実現するにあたり、エネルギーを精密に制御し、収益を最大化することに適している。
これまでのEMSサプライヤーやエネルギー貯蔵システムのインテグレーターがEMSをローカルに配置してきたのに対し、軽EMSはクラウドとエッジを一体化させたアーキテクチャーを採用するため、ユーザーはクラウド上でパワーコンディショナー(PCS)や空調の計画調整ができ、運営の無人化を実現できる。また、クラウドからプラットフォームとローカルの協調管理ができ、複数のエネルギー貯蔵システムを連動させるための技術基盤を提供する。
軽EMSのほかにも複数の発電所を監視・運営・保守・管理できるエネルギー貯蔵プラットフォーム「儲能管家」もリリースしている。複数のステーションを総合的に監視することで高頻度にデータを収集し、複数のエネルギー貯蔵システムの稼働状態や電気パラメーターをリアルタイムで監視・表示する。さらに電池の解析や早期警告、アクティブセーフティー(不具合の未然防止)、インテリジェントな運営・保守、電力負荷の集約と集中制御、エネルギー貯蔵設備の共有、エネルギー貯蔵保険などの機能を有する。
大型のエネルギー貯蔵システム、とくに太陽光や風力などのクリーンエネルギーの貯蔵システムは大量のデータが生じる。これらのデータは解析処理をすることで顧客にとってより多くの価値を創出できる。
馬興氏は儲能管家について、秒レベルのデータ収集とミリ秒レベルの精密制御を全面的に実現すると説明。特大スケールのデータ処理力とインテリジェントなデータ圧縮アルゴリズムを有し、電力貯蔵ステーションにフルライフサイクルのサービスを提供し、ステーションの運営・保守を支援して安全と長期的な利益を効果的に保障すると述べた。
事業モデルとしては、現在は主にエネルギー貯蔵プロジェクトに軽EMSと儲能管家を提供している。顧客は電力供給「国網浙江省電力(Zhejiang Electric Power)」、通信サービス「中国鉄塔(China Tower)」、バッテリー開発・製造「瑞達電源(Ritar Power)」、電力設備製造「南都能源互聯網(Narada ESS INTEGRATION & Operation)」、自動車製造「吉利控股集団(Geely Group Holding)」などで、将来的にはバーチャル発電所やエネルギー取引などにも事業を拡張していく計画だ。
(翻訳・山下にか)
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