急成長するIoV産業 自動車の「賢さ」を評価する時代に

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IoV(車のインターネット)成長の追い風を受け、移動手段のスマート化が実現しつつある。

中国の自動車情報サイト「汽車之家(Autohome)」が先日発表した「中国のインテリジェントコネクティッドビークル(ICV)ユーザーの行動とニーズに対する考察」によると、2018年の新型車におけるインテリジェントコネクティッド(IC)機能搭載率は31.1%と、2016年に比べ5倍近く上昇した。この機能は上位車種や高級車から一般的な車種へと広がりつつある。

「中国のインテリジェントコネクティッドビークル(ICV)ユーザーの行動とニーズに対する洞察」抜粋(出典:汽車之家)

IoV産業は急速に拡大している。業界に名を連ねるのは完成車メーカーやハイテク企業、車両のスマート化から脱却して道路側設備と自動車の通信を通じて車の安全などをサポートする路車協調システムの研究開発に注力する「華人運通(Human Horizons)」などの企業だ。デジタル関連業界専門の米調査会社「BI Intelligence」は、2020年にはICVの保有台数が世界で3億8000万台に達し、ICV市場の規模は1000億元(約1兆6000億円)以上になると試算している。

巨大な市場が見込まれるにもかかわらず、IoVの普及は進んでいない。ユーザーからはICシステムについて、「統一的な規格が無いため、製品の良し悪し、またはどこの製品が自分に合うのかを判断できない」との声が上がっている。

こうした声を受けて、汽車之家はナビゲーションアプリの「斑馬智行(banma)」と共同で「2019車載ネットワークシステム評価基準」を先日リリースした。人間と自動車間のインタラクション、機能の実行度、サービス体制、意思疎通の好感度、と4つの角度から測定する。ユーザーは各項目の指標に基づいて車両に搭載されているICシステムを採点し、その自動車の「賢さ」を評価する。

汽車之家「2019車載ネットワークシステム評価基準」では、機能実行度の得点に占めるウェイトが大きい。

ユーザーにとってこの基準はある程度参考になるものの、IoV産業は全体的に見ても統一的な規格が不足している。IoVに関する統一規格設定とインフラ整備への取り組みが今後万全を期すべきポイントになる。

現在、V2X(Vehicle-to-everything、車をあらゆるものとつなぐ技術)の規格をめぐる争いが繰り広げられている。世界の2大勢力はWiFiベースの専用境域通信技術DSRCとセルラーベースの通信技術C-V2Xだ。V2Xの遅延程度、信頼性や5Gの先行きから判断して、中国市場では後者の規格の方が好ましいと考えられている。

中国工業情報化部は昨年、計画やガイドラインを次々に打ち出し、自動運転や運転支援システム、車載電子製品などの重要技術に関する規格の研究開発支援に拍車をかけると強調した。2020年までには国内IoV産業の規格体系がほぼ完成し、ユーザーのIoV普及率が30%以上に達するとしている。

中国の統一的なIoV規格体系の問題は解決に向けて動いている。だが、千億元(約1兆6000億円)市場の背後にはIoV産業が解決すべき問題がまだ他にもある。

技術面でいえば、業界では中国のIoV基礎技術は依然として海外に及ばないとの認識が一般的だ。サービス面では、アリババが手がけるIoT向けOS「AliOS」のプロダクト・ディレクターを務める劉欣氏が「自動運転や5Gなどの技術が成熟するにつれ、完成車メーカーは『どんな車』ではなく『どんなサービス』を提供するかを気にかけるようになる」と述べ、人々はスマート化されたサービスを基準に車を選ぶようになるとの見方を示している。(翻訳・池田晃子)

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