「未成年者頼り」? レッテルを剥がしたいテンセント

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「未成年者頼りのテンセント(騰訊)、女性頼りのアリババ(阿里巴巴)」。これは中国インターネット世界で言われて久しい。

ただしこの言葉に対するアリババとテンセントの心境は全く異なる。

アリババは消費ブームの中で生まれた会社であり、「女性に頼りのアリババ」という言葉に反発は感じていない。毎年アリババは「双11」、「女王節」などを謳って盛大な消費祭典を開催してきた。さらにこれらの消費データを「中国における消費のグレードアップ」の証しとして高く評価している。そして「ジャック・マー・パパ(馬雲爸爸)」などのミームも消費主義の隆盛に伴って流行し始めた。

一方、「未成年者に頼りのテンセント」というレッテルはテンセントに失望を感じさせている。このフレーズには「未成年のゲーム中毒」という道徳的マイナスイメージが含まれるからだ。過去2年間、メディアがこの現象を集中的に報道する度、テンセントの株価は変動した。

このような指摘に対してテンセントは2017年から自虐的とも言える方法で監督管理体制を強めてきた。具体的には、未成年者のゲームプレイの時間を厳格に制限する「中毒防止」システムから未成年者の身分を識別する実名認証、そして最近発表した「チャイルドロック」まで、厳しさは増す一方だ。「チャイルドロック」は保護者の認証無しに小学生はゲームができないという最強の手段だ。

この全ては「未成年者に頼りのテンセント」というレッテルをはがすためだ。

「未成年者」のユーザーに苦慮

テンセントのゲームユーザーの構成から見ると、「未成年者頼りのテンセント」は実は大きな誤解である。

テンセント傘下で最も人気の高いゲーム『伝説対決-Arena of Valor-(王者栄耀)』を例に取ってみよう。データ収集分析の極光大数据(JIGUANG)が発表した『2017年5月における伝説対決-Arena of Valor-研究レポート』によれば、同ゲームの未成年ユーザーはおよそ25.7%で、そのうち14歳未満のユーザーはおよそ3.5%にすぎない。この国民的ゲームのコアユーザーは成人だということは明白であり、いわゆる「小学生」の割合は1ケタ台なのだ。

テンセントのゲーム製品は幅広く受け入れられており、未成年ユーザーの割合が低くても、未成年の「ゲーム中毒」事件は自然と高い注目を集め、会社に極めて大きなリスクをもたらしてしまう。

これに対して、2017年3月、テンセントCEOの馬化騰氏は当時の全国両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)に、「未成年者の心身における健康を配慮したインターネットの利用に関する環境整備」に関する提案を出した。

「チャイルドロック」の登場

2017年7月から、テンセントは『伝説対決-Arena of Valor-』を始めとして、業界で最も厳格な中毒防止策を次々と実施した。

まず未成年者の1日におけるログイン時間を制限する。12歳未満の未成年者はログイン時間が1日1時間以内に制限され、夜9時以降は自動的にログアウトされる。満12歳以上の未成年者は1日2時間に制限される。さらに、未成年者が複数アカウントを持って保護者の監視から逃れようとするのを防ぐため、ハードウェアとバインディングしているワンキーでゲームを禁じる機能を追加した。

このほか、テンセントの成長保護プラットフォームも頻繁にアップデートを行っている。例えば保護者が「小号査詢(子どものアカウント検索)」機能を通じて、子どものログイン状況を調べたり、『伝説対決-Arena of Valor-夏休み消費保護プラン』によって、消費額の制限、ワンキーによるチャージ禁止などの管理ができる。

2018年9月15日から『伝説対決-Arena of Valor-』は厳格な実名認証を導入し、ユーザーのID情報は公安データシステムと照合されるようになった。実名認証を拒否するユーザーは、制限時間を超えると、ログインできなくなる。さらに、11月から『顔認証』という金融機関級の先端技術を使って、未成年者を割り出している。この未成年者の健康を守るシステム(テンセントゲーム健康システム)は徐々にその他のゲーム作品にも導入されていく予定だ。

未成年者のゲームプレイを厳しく制限すると同時に、テンセントは親子関係、教師と学生との関係にも着目し、保護者や教師がゲームの問題について子どもとコミュニケーションを取れるように多くのツールを用意している。先日、テンセントのゲームにおいて、「チャイルドロック」のテスト運用と成長保護プラットフォームの「星星守護」機能が始動され、再び保護者と教師が未成年者のゲーム中毒予防のための共同作業にをするようにした。

外部パートナーとの連携

この他、この難題の解決に向けて、外部パートナーとも連携を進めている。2018年11月、テンセントは国内の大手スマートフォンメーカーであるファーウェイ(華為)、シャオミ(小米)、OPPO、三星、Vivoとゲーム開発業者である盛大遊戯(シャンダゲームズ)、beanfun(楽逗)、および非ゲームのデジタルコンテンツパートナー洋葱数学、QQreading(QQ閲読)等と共同で「未成年人守護生態共建発布会(未成年者の保護エコシステム共同構築発表会)」を開催した。より多くの社会的パワーを動員して未成年者が安心してゲームができる環境を構築しようとしているのだ。

成果と課題

現在のところ、テンセントの努力はなかなかの成果を上げている。「テンセントゲーム健康システム」の最新データによれば『伝説対決-Arena of Valor-』では現在12歳未満のユーザーの平均ゲーム時間は公安の実名照合実施前と比較して約59.8%減少し、12歳以上の未成年ユーザーの平均ゲーム時間は40.3%減少している。

過去20年間で、テンセントはベンチャー企業からすでに社会と経済におけるインフラ的な存在に成長している。その活動や利益は社会のあらゆる部分に関係するものだ。「テクノロジーの善なる利用」は常に直面しなければならない課題だが、まさにテンセントの前CTO張志東氏は以下のように述べている。「大いなるテクノロジーの時代には、様々な社会問題と矛盾が絶えず浮き彫りになる。開発者にとって、問題の出現は恐ろしいことではない。重要なのは対応力とプラス指向の報酬メカニズムだ。テクノロジー企業は時代の変革の受益者であり、テクノロジー企業の社員は若く活力があり、優れた知識と思考力を備えている。課題は、企業がこのような能力をどのように活かして社会問題に向き合っていくかだ」。

「未成年者頼り」と言われる問題はかつてテンセントにとって厄介な問題だったが、過去2年間においてテンセントは有効な解決方法を見出したようだ。その第一歩はまず未成年者のゲーム中毒への問題に着手する。
(翻訳・桃紅柳緑)

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