変化の激しい中国で新興ティードリンク「奈雪の茶」や「喜茶」が行うトレンド維持の手法とは

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変化の激しい中国で新興ティードリンク「奈雪の茶」や「喜茶」が行うトレンド維持の手法とは

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中国の流行の変化は速い。食については様々な新しいトレンドがでてきては、これまでのトレンドを押し出す。例を挙げると、火鍋大手の海底撈すらも免れることはできず、特徴のある火鍋の新チェーンが台頭し、また火鍋が焼烤(バーベキュー)に押され人気が陰ったことで、今年上半期に68店舗が閉店状態にあり縮小傾向が続いている。

一方で「奈雪の茶」や「喜茶(HEYTEA)」などのティードリンクチェーンは時々不祥事を出しながらも人気を持続している。6月1日には、ティードリンクチェーンの「茶顔悦色」が重慶に店舗をオープンさせ、初日は「4時間」以上の待ち時間が必要な長蛇の列ができた(1週間後、行列は大幅に減少したそうだ)。茶顔悦色は、2020年12月に武漢に、2021年4月に深センにそれぞれ1号店を出店し、やはりこのように長蛇の列ができていた。この長蛇の列の中には転売屋も混ざっていて、中には異なる都市の人がそれを求めて転売屋に注文するケースもある。さらにさかのぼること2016年には喜茶もまた4時間待ちの行列ができた。このタイミングからカウントしても、実に6年間も変化の激しい中国でティードリンク店舗に行列を作り続けている。

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並んでいる人は味だけに期待しているわけではない。並ぶ若者は、飲み物自体だけでなく購入したカップをSNSでシェアすることが目的だ、と36Krの記事を書いた著者は分析しているし、それに対して、「今もミルクティーの写真を載せつづける友人がいる」といった意見や「本当は飲むのは好きではないが写真映えのため」といった意見のコメントもある。

喜茶に並ぶ長蛇の列

ひとつの疑問にたどり着く。なぜティードリンクチェーンは消費者から飽きられないのか。ラッキンコーヒーをはじめ、様々な新興コーヒーチェーンも続々と登場しているにも関わらず、だ。

ティードリンクチェーンのデータを簡単に紹介する。2021年に北京、上海、広州の3都市だけでティードリンクチェーンのブランド数は100以上ある。加えて各地にローカルブランドも多数ある。中国全土で展開するブランドと地域限定のローカルブランドの両方が競争上の優位にあり、全土展開ブランドは莫大な資本の下、標準化をしながら拡大を行い、リスク対策機能も備えている。一方で、地域限定のブランドは、地元の嗜好をよく知った経営者が地域の政策サポートをある程度受けながら展開している。中国ニュースでは紹介されることは少ないが、普及に一役買っている。

この中で現在のブームを牽引するのが、喜茶(微博アカウントのフォロワー数114万)と奈雪の茶(同108万)が多く、続いて蜜雪氷城(同97万)と古茗(同83万)が追う。蜜雪氷城は数ある全国チェーンの中でも一杯10元未満と特に安く、中国各地の地域限定ブランドと競合し、河南省鄭州に本社を構えながら、近年ではその安さを武器にベトナムをはじめとしたアジア各国にも展開して愛飲者を増やしている。

喜茶と奈雪の茶は30元弱の高価格帯で、古茗はその間の15元程度となっている。つまり各値段帯で様々なブランドが競合し、言い換えれば異なる支払い能力の消費者をいくつものブランドがカバーしている。中でも最も高価格帯の喜茶と奈雪の茶は競合するとともに、最新のティードリンクブームを提案し牽引しているわけだ。ちなみに投資面では喜茶はシリーズDの資金調達を受け、奈雪の茶は上場済みだ。

企業側の話題作りは大きく、ライフスタイルの提案と値引きの2つ

ライフスタイルについては、奈雪の茶がバーの「奈雪酒屋(nayuki’s Bla Bla Bar)や、大型店舗「奈雪夢工場(NAYUKI FANTASY STORE)」ほか、「奈雪の礼物」「奈雪の茶PRO」といったテーマの異なる様々なタイプの新店舗を中国各地に展開するといった新しいタイプの店を出すという手法だ。以前36Kr Japanで紹介した奈雪夢工場は奈雪生活にリニューアルされ、ティードリンクを飲むだけでなく、食事、読書やフラワーアレンジメントをすることができる体験型ショップへと生まれ変わった。地域限定で盛り上がるが、そのほかの地域にも話題は伝わる。

ティースタンドからの集客で売り上げ拡大、「奈雪の茶」がバーを開店

またティードリンク企業が食など業務を拡大するのとは対照的に、吉野家などファストフードチェーンがティードリンクに業務を拡大する動きも今年前半に見られた。別業界からの参入もまた、ティードリンクに関心を持つ要素となろう。

値引きについては、消費者に対して高いながらもお買い得と思わせる手法だ。喜茶も奈雪の茶も新しいフルーツフレーバーを取り入れて話題を出したい一方、これ以上高くしてはよくないというのを察しているのだろう。両社それぞれが「一杯30元以上にしない」と発表した上で、ライブコマースを視聴するとリアル店舗で使える割引券を配布した。これにより人気のライブコマースブームに乗っかったうえで、視聴者をリアル店舗に向かせようとしている。また持ち帰ることができるやや安価なペットボトルパッケージの商品の販売も行い始めた。

中国チェーンストア・フランチャイズ協会が発表した「2021年新茶調査報告書」によると、2021年から2022年にかけて市場の成長率は約19%まで低下し、今後2、3年で成長率は10~15%まで下がると予測している。大手企業は生き残りのため、話題を出しつつ企業内での合理化を進め、あらゆる業務でのコストダウンを目指しつつ、海外展開では徐々に中国のティードリンク文化を認知させて売上を増やしていくだろう。

(作者:山谷剛史)

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