中国でのEC運営経験を活かし米国で成功。DTCコスメ「JUNOCO」、「持続可能なスキンケア」で訴求

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中国でのEC運営経験を活かし米国で成功。DTCコスメ「JUNOCO」、「持続可能なスキンケア」で訴求

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「持続可能なスキンケア」をうたうコスメブランド「JUNOCO」は、2018年に米国サンフランシスコで誕生し、DTC(消費者への直接販売)化粧品を取り扱う。同社初のスキンケアシリーズではこの2年間にさまざまな商品を発売している。例えば、マイクロプラスチックを使用せず10種類の成分だけを使ったクレンジングクリームは発売から1年で50万個を販売、現在米国のオンライン販売化粧品では売り上げ数No.1だ。また、クレンジングパウダーは、廃棄物に新たな付加価値を持たせるアップサイクルで生まれた原料を使用している。

米国の化粧品・スキンケア市場ではグループ経営が一般的で競争は厳しい。しかし、ショート動画やライブコマースが広まると、米国の新世代の消費者はサステナビリティ(持続可能性)、ジェンダーフリー(性による差別がないこと)、インクルージョン(社会的包摂)などのテーマに注目するようになり、こうした特定の価値観を持つ製品の提供を得意とするスタートアップにとっては多くのチャンスが生まれた。

JUNOCOは持続可能なスキンケアブランドというコンセプトから始まり、クレンジング用製品を次々と開発、ついに成分が10種類だけの製品を作った。特筆すべきは、この製品が「マイクロプラスチックゼロ」を実現したことだ。市場に流通するクレンジングクリームや歯磨きペーストなどパーソナルケア製品の大部分には、マイクロプラスチック成分が含まれている。角質を取り除くなどの機能があるものの、使用後に適切な処理がされなければ、そのまま河川から海へ流れて環境汚染を引き起こし、動物や植物に影響を与えてしまう。JUNOCOがターゲットとする消費者は環境保護に対する同社の姿勢に期待しているため、今後は包装材についてもそうした声に応えたいと創業者のKyle Jiang氏は述べている。

スキンケア商品はもともと高いマインドが求められるジャンルだ。サプライチェーンのコストを下げ、商品のSKU(最小在庫管理単位)を増やしたりコストパフォーマンスを上げたりしたからといって業績が良くなるものではない。JUNOCOの急速な成長のカギは組織の国際性にあるとJiang氏は語る。

JUNOCOの米国チームはマーケティングを担当する。メンバーの多くは米国で生まれ育ち、現地の習慣や文化に詳しい。また上層部は化粧品業界で10年以上の経験を持ち、消費者のニーズを掘り起こし、ブランドの価値・理念を正確に伝えることができる。例えば最新の「#To Be Human」キャンペーンでは、肌のありのままの状態を受け入れるよう呼びかけ、自分の顔にあるシワや毛穴を正しく客観的に見つめる、これが真の自分を発見し表現するための重要な第一歩であるとアピールした。

「#To Be Human」キャンペーン

一方、JUNOCOの中国チームは世界でサプライチェーンを構築し、生産と商品開発に注力する。米国ブランドの多くはサプライチェーンをアウトソーシングしている関係で生産周期が長い。しかしJUNOCOは米国や韓国などの複数の研究機関と提携関係にあり、パッケージから原材料調達、生産まで一貫して自社でコントロールでき、効率的だ。また、創業チームは中国でのEC(電子商取引)の運営経験を活かして効率よく顧客を獲得、管理する。

中国と米国双方のチームが一緒になって能力を十分に発揮し、ブランドの理念、宣伝ルート、マーケットの需要を上手く組み合わせ、JUNOCOは限界費用が低く済む販売モデルを作り出した。

JUNOCOは米国市場を中心にオンラインでスタートしてDTCの基盤を固めてきたが、今ではオフラインにも注力して販路を築いている。米国では多くのブランドがオフラインをメインとしているが、JUNOCOは自社ECサイトや良質なコンテンツ戦略でターゲットとする消費者と密な関係を作った。SNSには2億回以上露出し、オンラインでブランドイメージを伝えることに成功してオフラインでも影響力を持つようになっている。現在同社は、豪化粧品小売大手「Mecca」、英コスメサイト「BeautyBay」など世界に2000軒の協力店を持つ。

JUNOCOのJiang氏はカリフォルニア大学バークレー校卒業、医薬品大手のバイエルでESG関連プロジェクトを担当した経験を持ち、米国でECの起業経験も豊富だ。また同社はこのほどシリーズAで数百万ドル(数億円)を調達した。「元璟資本(Vision+ Capital)」がリードインベスター、「峰瑞資本(FREES FUND)」がコ・インベスターを務めた。この資金により同社は経営のグループ化を加速して進めていく。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

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