Arm Chinaと提携 サーバー向けCPU「鴻鈞微電子」が160億円調達

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Arm Chinaと提携 サーバー向けCPU「鴻鈞微電子」が160億円調達

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サーバー向けCPUを手掛ける「杭州鴻鈞微電子科技(HjMicro 以下、鴻鈞微電子)」がこのほど、Walden International(華登国際)、高瓴創投(GL Ventures)、鼎暉VGCが出資を主導したエンジェルラウンドとプレシリーズAで約8億元(約160億円)を調達したと発表した。出資者にはAIチップ設計「壁仞科技(Biren Technology)」など多くの業界トップ企業のほか、「松禾資本(Green Pine Capital Partners)」など投資機関も名を連ねる。今回調達した資金は主に高性能サーバー向けCPU開発のための人材採用や関連研究の設備投資などに充てられる。

鴻鈞微電子は2021年8月に設立された。Armアーキテクチャに基づいたサーバー向けCPUチップの開発に注力、主にデータセンターのクラウドコンピューティング市場を対象としている。

サーバー向けCPUは半導体産業でも重要な分野の一つだ。世界の年間生産高は1000億元(約2兆円)を超え、デジタル化社会とクラウドコンピューティングの成長に伴い、市場は急速に成長している。

米調査会社IDCによると、中国のサーバー出荷台数は2025年には525万2000台、市場規模は350億ドル(約4兆7250億円)に達する見込みだという。通信機器大手「ファーウェイ(華為技術)」、ICチップ開発「飛騰(Phytium Technology)」、アリババ傘下「平頭哥半導体(Pingtouge Semiconductor)」もArmサーバー向けCPUを手がけている。

2000年前後、サーバー向けCPUは「SPARC」や「Power」などのアーキテクチャが市場を席巻。SPARCを例にとってみると、そのアーキテクチャは閉鎖的で、命令セットやプロセッサー、サーバーやオペレーティングシステム、ソフトウェアに至るまで米「サン・マイクロシステムズ」が一手に手掛けていた。そのため同アーキテクチャは極めて高い性能と安定性を持っていたが、価格が非常に高く、業務エコシステムと接続することが困難だった。一方、米「インテル(Intel)」のx86アーキテクチャは開放的なエコシステムとパソコン市場の規模の大きさによって実現した低コストで市場を攻略し、現在はサーバー向けCPU市場で主流となっている。

Armアーキテクチャはかつてモバイル端末で主要な地位を占めていた。性能が向上しエコシステムが完成に近づくにつれ、Armはデータセンターにも進出してくるようになった。アマゾンが自社開発したArmベースのプロセッサー「Graviton」は、すでに3世代目となっている。同社は今年4月のアマゾンクラウドのライブ配信中、AWS(アマゾンウェブサービス)の仮想マシンのうち4分の1はArmアーキテクチャサーバーで運用されていると言及している。マイクロソフトも米スタートアップ「Ampere」のArmアーキテクチャをベースとしたCPUをリリース、同アーキテクチャの仮想マシンは以前のx86アーキテクチャに基づいた仮想マシンに比べ50%もコストパフォーマンスに優れていると明かしている。

同社の創業者で、董事長兼CEOの沈栄氏は、従来のx86アーキテクチャを使ったCPUは高性能と低コストの間でいかにバランスをとるかという問題に直面していると見ている。一方Armは、アーキテクチャそのものの強みと、過去10数年にわたって性能とエコシステムの面で大きな進歩を遂げてきたことから、データセンターの発展という新しいニーズにも応えることができると考えている。

鴻鈞微電子は今年4月、Armv9命令セットをベースとした新世代の「Arm® Neoverse™ N2」プラットフォームのライセンスを獲得、サーバー向けCPUの自社開発に向けて重要な一歩を踏み出した。

続いて5月25日には、「安謀科技(Arm China)」と高性能サーバー向けCPUのアーキテクチャとエコシステムなどの分野で緊密に提携することを発表した。安謀科技の高性能Arm IPと自社開発プロダクトに、鴻鈞微電子の汎用型CPUにおける豊富な開発経験とプロダクトのイノベーション能力を組み合わせ、共同でArmサーバー向けCPUの産業とエコシステムの実現を推進する。

そのほか、提携パートナーと共同で実験室や研究センターを設立、ユーザーの利用シーンに合わせた体験向上につとめる。

鴻鈞微電子にはサーバー向けCPUの設計や販売などで10~20年の経験を持つトップレベルの人材が揃っている。沈CEOはインテルに20年以上勤め、中国サーバー大手「浪潮(Inspur)」に勤めた経験もあり、x86アーキテクチャが従来のRISCアーキテクチャに取って代わる過程を経験してきた。陳偉祥CTOは以前、ファーウェイの汎用コンピューティング向けプロセッサ「鯤鵬(Kunpeng)」のアーキテクトを務めており、平頭哥半導体の「倚天710」プロジェクトでもSoC(システム・オン・チップ)の設計責任者を務めた。

(翻訳・山口幸子)

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