SNS上で無条件の賛美が受けられる「誇誇群」 若者たちの今

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SNS上で無条件の賛美が受けられる「誇誇群」 若者たちの今

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誰からも相手にされない、みじめな生活を送っている人が多いのだろうか。今、中国では、安いものは2元(約32円)でひたすら褒めてくれる十数件のメッセージが受け取れるサービスが話題となっている。

このサービスは、ありとあらゆる美辞麗句で人を褒めるSNS上のグループチャット「誇誇群」(「誇」は「褒める」という意味)から派生したものである。最近、誇誇群をテーマにしたネット小説が話題を呼び、約1週間でハッシュタグ検索数は2700万を突破した。また、SNS上で「商業互捧」と呼ばれる互いに賛美し合うような会話はストレス解消や見知らぬ人との距離を縮めるコミュニケーションツールとなっている。

誇誇群の前身は、2014年にできたコミュニティサイト豆瓣(ドウバン)のディスカッショングループ「互誇小組」である。このグループの会話はテーマや「頑張れ!」というようなプレッシャーもなく、延々と続く言い争いの心配もないため、メンバーは思い切り心の丈をぶつけることができる。褒め言葉を求めるメンバーに対し、他のメンバー達はひたすら肯定的な言葉を発信して褒めちぎる。発信者は不満をぶつけることでストレスを発散でき、賛美する側も爽快感や満足感を得ることができる。

3月5日時点でグループメンバーは9万人だったが、1週間も経たないうちにメンバー数は10万人を超えた。こうして生まれた「誇誇群」は北京大学、清華大学、復旦大学といった超名門大学にも急速に広まり、現在清華大学では7つ目の「清華誇誇群」が生まれている。メッセージアプリQQを使った各大学の互いを褒め合うグループにもメンバーが殺到しているという。

昨年中国では、この誇誇群とは真逆の「相互罵倒」グループが流行したこともあった。しかし、あまりに暴力的であるという理由でこのグループは微信(ウィーチャット)から削除されてしまった。

相互賛美サービスの商業的価値

褒め合うのも罵り合うのも本質的には同じ。感情の発露でありながら、極めて使いやすいコミュニケーションの手段として、プラスのエネルギーをもつ賛美の方がより多くの人々に受け入れられたということであろう。しかし、この誇誇群もついに「万物みな商機」と考える人々に目をつけられてしまった。

現在、ECサイトの淘宝(タオバオ)や拼多多(ピンドォドォ)、フリマアプリの「閑魚(Xianyu)」等で多くの業者が「誇誇群カスタマイズサービス」を販売しており、中には「彼女を紹介」や「エリートが君を褒めてくれる」といったサービスも見受けられ、表示価格は0.01~100元(約0.16~1600円)と様々だ。サービスの購入は、業者側のアカウントの追加、褒められたい内容のリクエスト、支払いの後、グループが作成されるという流れで進み、グループの規模や要望に合わせ、料金は1分あたり2~10元(約32~160円)程度である。

誇誇群ブームで思い出されるのが2017年の「アフリカの子供たちからのメッセージ」という動画サービスである。当時、誇誇群より広く注目され、ECサイトの淘宝でもかなりの売り上げを記録した。アフリカの子供たちが中央の小さな黒板に書かれた中国語を一斉に読み上げてくれるという動画サービスがウェイボやウィーチャットで一大ブームとなった。黒板に書かれているキャッチコピー、お祝いの言葉、ネットの流行語などで、地図アプリ「高徳地図(AutoNavi)」やライドシェア大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」等の企業に、プロモーションとして利用されることも多かった。人気を博した理由は、人の目を引く映像とキャッチコピー化されたメッセージの融合である。だからこそ誇誇群より動画サービスの方が儲かるのだ。

企業が販売促進のためにいくら知恵を絞っても、長い目で見れば誇誇群も一時的なブームに過ぎないだろう。「相互罵倒」グループが爆発的人気となった後、3日後には廃れてしまったのがいい例だ。

なぜ人々は無条件の賛美を求めるのか

誇誇群の流行は徐々に下火傾向にあるとはいえ、今も多くの人々がSNS上で誇誇群へアクセスしようとしている。若者たちは常にSNSの新たな楽しみ方を探しているようだ。誇誇群のようなメンバー同士の関係性が希薄なグループは、匿名コミュニティという性質をもつ。匿名性という安心感のおかげで、メンバーは大胆に自分の気持ちを吐露することができ、日常生活で演じる「キャラクター」や面倒な付き合いから離れ、大げさに褒めたり、ふざけたりすることで、学生から社会人への変化に向き合おうとしている。

しかし、ブームがいつまで続くかは、需要や流行の変化にゆだねられている。時間が経てば人々は褒めることにも褒められることにも疲れてしまい、SNS上の数多くのグループと同じように勢いを失うだろう。誇誇群がもたらすビジネスチャンスも一過性のもので、いずれは「沙雕網友(ネット上のふざけた言動で話題を呼ぶ人)」のネタになるしかなくなるだろう。
(翻訳・桃紅柳緑)

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