中国ベンチャー、自動車向け鉄鋼新素材開発 軽量化・脱炭素に貢献

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新素材開発の「易弗明(蘇州)材料科技」(以下、易弗明)がシリーズAで数千万元(数億円)を調達した。セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)のシードファンドがリードインベスター、前海母基金(Qianhai FOF)や、スタートアップを支援する香港X科技創業平台(HongKong X-Tech Startup Platform)傘下のファンド、既存株主の元禾控股(Oriza Holdings)がコ・インベスターを務めた。

易弗明は自動車、金型、ばね、耐摩耗などの分野で新たな鉄鋼素材の研究をしている。初の実用化となったのは自動車分野だ。世界では毎年自動車用として8000万トンの鉄鋼が使用されており、そのうち衝突安全性を備えたボディ用の鉄鋼が40%を占め、大きな市場となっている。

自動車用鉄鋼のイノベーションに最も必要なのは軽量化だ。部品の厚みを減らせばそのままボディの重量削減につながるが、前提として部品材料の強度と靭性(粘り)を高める必要がある。さもなければ衝突安全性を犠牲にすることになってしまうからだ。

強度・靭性のデータから見ると、易弗明はすでに世界をリードしているという。広く応用可能な1500MPa(メガパスカル)級の強度において、鉄鋼大手が定め、20年以上世界標準とされた靭性を20%上回り、2000MPa級の強度でも最先端のレベルにある。

もうひとつ、新材料の実用化で難しいのは、新しい材料に対応し新技術を受け入れる標準が自動車メーカー・業界にはないということだ。易弗明の尽力もあって、この数年で自動車メーカーは次々に標準の改正や新標準の制定を進め、同社の新素材の特性が受け入れられるようになった。中国汽車工程学会は2021年に新標準を公表、そこでは易弗明の特許が必須特許とされている。

新素材の登場には必ず特許の問題が付いて回る。易弗明は価値の高い国際特許を大量に保有しているが、特許は企業が製品の価値を高める手段のひとつと言える。同社の1000~2000MPa級強度を持つ複数の素材と世界に二つとないめっき技術は、いずれも中国および海外で特許を取得している。

易弗明は自動車分野で事業を拡大しており、新素材を使った一体型ボディ製造技術も実用化されつつある。素材、製造技術、設計によるコスト低減と二酸化炭素排出削減の実現が最も価値ある貢献になるからだ。

米EV大手のテスラは2021年、一体型ボディを発表して業界を驚かせた。プレス成型前にレーザー溶接したブランク材やプレス技術は、ある一企業が手掛けたものだ。易弗明は、ボディの一体型モジュールとしての製造は、理屈の上では最も低炭素、最も経済的な方法で、同社の新素材と新技術が持つコスト面の優位性により、世界で1年間に製造される自動車8000万台全てがこの製造方法に切り替えられると考えている。

同社共同創業者の1人である易紅亮教授は「鉄鋼素材は調達という観点から考えても、今のところ選択可能で二酸化炭素の排出が最も少ない素材だ。わが社のイノベーション技術によってさらに排出量を5%削減することができ、同時に溶接済み塗装前のホワイトボディで重量を15~20%減らせる可能性がある。部品加工についてもエネルギー消費を30%削減できる」と述べた。

易弗明には鉄鋼、自動車分野で広く経験を持つスタッフが豊富にいる。共同創業者の1人でCEOの熊小川博士は仏国立高等鉱業学校で材料科学を専攻、業界では新材料開発で有名な人物だ。共同創業者でCTOの易教授は、韓国の浦項工科大学校の材料学博士で、中国自動車工程研究院材料エンジニアや鉄鋼企業の管理職の経験を持つ。また、共同創業者でシニアサイエンティストの黄明欣教授は、オランダのデルフト工科大学の材料学博士で、世界でも有名な鉄鋼材料理論学の専門家であり香港大学の終身教授でもある。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

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