中国発時系列データベースの「Timecho」、約20億円の資金調達 IoTDBの発展に注力

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中国発時系列データベースの「Timecho」、約20億円の資金調達 IoTDBの発展に注力

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インダストリアルIoT(モノのインターネット)の時系列データベース管理システムおよび関連サービスを提供する「天謀科技(Timecho)」はこのほど、エンジェルラウンドで1億元(約20億円)近くを調達した。出資は「紅杉資本中国基金(セコイア・キャピタル・チャイナ)」が主導し、戈壁創投(Gobi China)、考拉基金(Koalafund)、雲智慧(Cloudwise)も参加。調達資金は、オープンソースプロダクトの開発、オープンソースコミュニティの構築、コア技術チームの構築と拡充に充てられる。

Timechoは「Apacheソフトウェア財団(ASF)」のオープンソースプロジェクト「Apache IoTDB」と「Apache PLC4X」の中心メンバーによって2021年10月に設立され、各業界の顧客に時系列データベースプロダクトを提供している。Apache IoTDBは17年3月にソフトウェア開発プラットフォームの「GitHub」でオープンソース化され、18年に同財団が運営する「Apache Incubator」に入り、現在は同財団で唯一の時系列データベースプロジェクトとなっている。

「中国製データベース」という概念の出現と需要の拡大により、中国のデータベース市場は近年急速に発展している。市場調査会社「智研諮詢(Intelligence Research Group)」のデータによると、2020年の中国データベース市場規模は240億9000万元(約4900億円)で、25年には688億200万元(約1兆4000億円)に拡大する見込み。中でもデータベース管理システムはデータベースシステムの中核として、オブジェクトの作成、ユーザーの管理、保存データのクエリ・追加・変更・削除などデータベースの操作と管理を担っている。

Timecho共同創業者で欧州市場責任者の鄭鵬程氏は「Apache IoTDBはエンド・エッジ・クラウド連携を支えるIoTネイティブの時系列データベースで、軽くて使いやすく、既存のビッグデータエコシステムと統合でき、書き込み性能、データ圧縮、クエリ性能、拡張性などに強みがある」と話した。

Timechoのプロダクトアーキテクチャ図

業界レベルで見ると、中国ではTimechoの他にもスタートアップ企業が時系列データベースを手掛けている。鄭氏によると、同社が他社との違いを生み出す競争力は以下の点にあるという。

同社はApacheのIoTDBオープンソースプロジェクトを進めているが、IoTDBの他にApache PLC4Xなどの産業データ収集を専門とする開発者を抱え、産業データのライフサイクル管理プロダクトを顧客に提供している。すでに多くの海外ユーザーも開拓した。

また、同社のメンバーは清華大学、米カリフォルニア大学バークレー校、マイクロソフト、ドイツのフラウンホーファー研究機構などデータベースコア技術の科学者や専門家で構成され、開発とユーザーサービスに10年以上携わった経験がある。データ生成から使用方法、特性などに関するノウハウを持ち、その経験をIoTDBプロダクトに凝縮している。

IoTDBはここ数年、自動車部品のボッシュ、電機メーカーのシーメンス、中国IT大手のアリババ、通信機器大手のファーウェイなど多くの提携パートナーを集め、IoTデータの収集から応用に至るライフサイクルの各段階をカバーしている。Timechoは引き続きIoTDBの発展に注力すると同時に、より豊富なサービスをユーザーに提供していく。

時系列データ管理の分野において、IoTDBの開発者は中国、米国、欧州で30件以上の発明特許を保有している。今年も「VLDB」「SIGMOD」などのデータベースフォーラムで時系列データ管理技術に関する論文を複数発表しており、これらの技術の一部はApache IoTDBに生かされている。

Timechoはオープンソースでより多くのユーザーを集めたいと考えている。データ、安定性、機能などに高い要求を持つユーザーに対して付加価値サービスや技術サービスも提供する。将来的にはさまざまなユーザーのニーズに基づき、標準化されたデータベースプロダクトによってアルゴリズムライブラリ、カスタマイズサービス、クラウドホスティングなど付加価値のある機能も顧客に提供する方針だ。

同社はこれまで、ボッシュ、シーメンス、アリババ、ファーウェイなど中国国内外の企業と研究開発で提携してきた。すでにエネルギー、航空宇宙、スマートマニュファクチャリング、電力網の分野で業務を受注しており、鉄鋼、自動車ネットワーク、石油化学、気象、金融、新エネルギー車などの業界にも目を向けている。

今後は引き続きIoTDBプロダクトの開発を加速させ、より多くの先端技術を統合してハイエンドで複雑な機器や一般的な機器のIoTデータ管理に対応する方針だ。また、中国国内外の独特なハードウェア環境に対応し、より適応性が高く効率的なIoTDBプロダクトを提供することで、提携パートナーと共にIoTDBを核とした産業インターネットのエコシステムとソリューションを構築していく。

(翻訳・大谷晶洋)

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