廃棄EVバッテリー急増に商機 回収・再利用を手掛けるスタートアップ、約60億円の資金調達

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廃棄EVバッテリー急増に商機 回収・再利用を手掛けるスタートアップ、約60億円の資金調達

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バッテリーリサイクルを手掛ける「恒創睿能」がシリーズBで3億元(約60億円)超を調達した。君聯資本(Legend Capital)、広発証券(GF Securities)系の投資機関、恒信華業、瀚暉資本などが出資に参加した。今回の資金は主にカスケード利用(段階的再利用)製品、新エネルギー車の使用済みリチウムイオン電池のリサイクル能力拡充や湿式製錬新技術の開発に充てられる。

恒創睿能は2017年設立、使用済み駆動用バッテリーの総合的循環利用に取り組んでいる。リチウムイオン電池のカスケード利用、材料リサイクル、再生材料製造のコア技術に特化し、電池の安全な破砕、ゼロ汚染処理、高効率再生利用というクローズドループを構築、合わせてカーボンフットプリントの追跡、二酸化炭素削減量の見える化など「ダブルカーボン(双碳)」の目標に沿った行動を実践する。

世界で新エネルギー車の普及が加速すると、川上の材料供給不足や環境保護の強化、川下の需要急増に刺激され、家電製品などをリサイクルして有用な資源を取り出す「都市鉱山」採掘やリチウムイオン電池の材料を回収する動きが盛んになった。駆動用バッテリーの寿命を5年から8年とすれば、中国では今まさに使用済みバッテリーが大量に発生する時期に当たる。

このほど開催された世界駆動用バッテリー大会の席上で中国工業情報化部副部長の張雲明氏は、中国では駆動用バッテリーのリサイクルシステムがほぼ完成しており、今後は全数を回収する仕組みを整え、法整備やカスケード利用とリサイクルに携わる企業の育成を急ぐと述べた。

恒創睿能の陳志鵬CEOによると、同社はリチウムイオン電池のカスケード利用、材料リサイクル、電極材料の取り出し再利用というエネルギー循環システムを構築したという。カスケード利用としては、例えば太陽光発電や住宅用電気とカスケード電池パックを組み合わせた小型の分散型予備電源のほか、蓄電と充電の一体化利用、商用車、低速車、家庭用蓄電池、ポータブル電源などを想定している。

回収したバッテリーは自動で無害化処理を施したのち、乾式製錬や湿式製錬などの技術によってニッケルやコバルトなどの金属材料を分離、再びバッテリー産業において利用する。

恒創睿能は2020年に使用済み駆動用バッテリーリサイクル事業のいわゆる「ホワイトリスト」に選ばれ、カスケード利用と再生利用、両方で条件を満たした正規企業となった。

陳CEOによると同社は、全国9カ所に中核となる回収拠点を設け、使用済み駆動用バッテリーや電子機器用バッテリーを回収している。EV大手の比亜迪(BYD)、バッテリーメーカーの欣旺達(Sunwoda)や韓国SK Innovation(SKI)、さらに広州汽車集団(GAC)、第一汽車集団(FAW)、北京汽車集団(BAIC Group)など完成車メーカーと協力するほか、深圳バス集団、広州市公共交通集団などの運営事業者や、中国人民保険(PICC)など保険会社と繋がりのある自動車解体工場とも戦略的提携を結び、顧客は産業チェーンの川上・川下に及ぶ。また、米アップルなど世界的企業のサプライチェーンにも食い込んでおり、恒創睿能の再生材料が新エネルギー車と電子機器分野で広く使用されている。

恒創睿能は現在、広東省恵州市と江門市、江西省贛州市にカスケード利用とリサイクルの拠点を開設している。処理能力は年間5万トン、今年は5万トン以上を回収し、来年は15万トンに達する見込みだ。

バッテリーリサイクル業界はようやく形が出来上がってきたところで、今後大規模化が進むと予想される。恒創睿能はシステムを完全なものにするべく整備を進めている。

安全面では、使用済みバッテリーの保管に温度検知カメラを使ったスマート管理を導入、同時に中国の化学品物流トップ企業の密爾克衛(MILKWAY)と提携し、ESGを念頭に置いた回収システムの構築に尽力する。

技術面では、清華大学や中南大学、中国鉱業大学と共同で開発に当たる。研究所や共同実験室を開設し回収技術や装置、材料分野で取り組みを続け、帯電破砕や高効率な素材の取り出しなど多くのコア技術を確立している。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

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