陌陌がひっそりと6製品をリリース、数の力でSNSとエンターテインメント分野を攻める

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陌陌がひっそりと6製品をリリース、数の力でSNSとエンターテインメント分野を攻める

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Tinderを始め数多くのマッチングアプリを経営する米「Match Group」をベンチマークする「陌陌(MOMO)」は製品戦略でさらに工夫をこらす必要があるかもしれない。

最近、36KrはApp Storeで「Hainan Miaoka Network Technology Co., Ltd.」というデベロッパーを発見した。同社は学生向けのソーシャルアプリ「Cue」を含む、SNSや撮影、動画などのアプリ6つをリリースしている。調査会社の情報では、この会社は昨年4月17日に登記、設立され、中国名は「海南喵咖網絡科技有限公司」だという。登記資本金は100万元(約1600万円)で、王力氏が50%、雷小亮氏が50%の株式を保有している。

36Krの調べでは雷氏は現在、陌陌の共同創業者兼ゲーム事業部の総裁であり、王氏は同社の総裁兼COOだ。ここから海南喵咖網絡科技有限公司は陌陌の子会社であり、前述の6製品は陌陌がリリースしたものと推測できる

出典:企業情報調査サービス「啓信宝」より

6つのうち「Doki」、「哈你」、「MEET相冊」は写真・動画撮影アプリで、「是他」、「Cue」、「赫茲」はソーシャル系アプリだ。古いものはリリースから一年以上経過しているが、新しいものはリリースからわずか一カ月。そのうちソーシャル系のアプリをダウンロードして体験してみた。

Cueは「学生向けのハイクオリティソーシャルアプリ」だという。現在はまだ内部テストの段階だ。モバイルアプリのデータ分析を行う「七麦数據(Qimai Data)」によると、Cueのダウンロード数はApp Storeの無料ソーシャルカテゴリで1384位だ。

アプリを開くとまず「安心して発信しよう。皆本当の友達だ」というキャッチコピーが目に入る。Cueのコミュニティでは、日常の記録や愚痴、ゴシップ、自撮りなどをアップすることができる。他の製品との最大の違いは、Cueはタイムラインをアップする際に10個のカテゴリから選択する点だ。例えば「ファン雑談」「デートの誘い」「愚痴」「自撮り」などだ。ユーザーがカテゴリを選択すると、背景カラーが変わる。「お知らせ」のカテゴリ以外を選択する際には、少なくとも一人の友人を指定しないとタイムラインをアップすることができない。Cueには微信の「@機能(メンション)」に類似する点があり、友人間のインタラクションを促進する。

Cueアプリ画面

「赫茲」はリアルタイムでボイスメッセージをやり取りできるコミュニケーションアプリだ。「友達検索」や「友達追加」のプロセスを省き、トップページに現れる「部屋」を選択して入室すると直接見知らぬ人と出会うことができる。赫茲は喜怒哀楽を分析し、社交的な人もそうでない人も、賑やかさを好む人も静かさを好む人も、同じ趣向の人に出会うことができるという。

アプリを開くと、「部屋」の他に「シーン」、「メッセージ」の画面がある。「シーン」の中ではさらに「歌を聴く」「カラオケ」「おしゃべり」「カップリング」など複数のカテゴリが存在する。ユーザーはアプリ下部にある「新しい部屋を作る」ボタンをタップして「シーン」からカテゴリを選ぶと新しい部屋を作成することもできる。ユーザーは自分が作った部屋を他のユーザーから見えないようにすることも可能だ。

友達追加をせずに、グループに参加することができるというのは確かに便利だ。七麦数據によると、赫茲は現在App Storeの無料ソーシャルカテゴリで298位だという。しかしApp Storeのユーザーからは「曲の種類が少ない」「自分で曲を検索できない」などのフィードバックも寄せられている。

赫茲アプリ画面

Cueと赫茲を使いながら、陌陌の影響を至る所に発見した。例えばボイスメッセージでのチャット機能や、カラオケ機能などだ。

初期の陌陌は位置情報に基づいたインスタント・メッセンジャー機能を持つ見知らぬ人とのSNSだった。成長が行き詰った時にはライブ配信サービスを打ち出して巻き返したが、その後、動画共有アプリ「快手(Kwai)」、ショート動画アプリ「TikTok(抖音)」などの台頭やライブ配信ユーザーの全体的な減少により、陌陌も積極的に新しい方向を模索した。マッチングアプリ「探探(Tantan)」の買収や衛星テレビ局「湖南衛視」と共同で制作したリアリティー番組「幻楽之城」などがそれにあたるだろう。陌陌の新しい目標は、今後3年から5年以内にソーシャルやエンターテインメントの分野で最も影響力を持つ会社になることだ。

陌陌が探探を買収した際、双方ともに「中国のMatch Group」を目指すことを公言していた。しかし唐氏も、見知らぬ人とのSNS分野では、ユーザーグループやシーン、コンテンツなどにおいて、陌陌や探探規模のアプリでは全てのユーザーの需要を満たすことは難しいとの考えを明かしていた。そこで昨年から同社は新プロジェクトの研究開発を強化し、新しいアプリをリリースしていたのだ。同時に外部にも出資や買収のチャンスを探っていた。9つ以上の主力製品を持つMatch Groupをベンチマークとする以上、陌陌も複数の製品で布陣を敷くのは当然といえよう。

見知らぬ人との出会いに照準を定めているSNSは陌陌だけではない。QQも見知らぬ人とつながる「拡列」機能をテスト中だ。以前、あるアナリストが36Krに明かしたところによると、知り合いとつながるSNSの成長率と浸透率はいつか飽和状態になるが、見知らぬ人とつながるSNSのニーズはなくならないという。大手以外にも垂直領域のベンチャー企業が絶えず現れるだろう。昨年、SNSの大御所である微信(WeChat)がライバルとの競争にさらされたように、陌陌も今後同様の状況に陥るかもしれない。
(翻訳:山口幸子)

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