CO2削減の取り組みをポイント還元。アリババが個人ユーザー向け新制度

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CO2削減の取り組みをポイント還元。アリババが個人ユーザー向け新制度

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中国IT大手アリババグループ(阿里巴巴)がCO2排出削減の取り組みとして今月8日、「88碳賬户(CO2アカウント)」をリリースした。ユーザーが同社のネット通販などの各種プラットフォームを利用する際、CO2排出削減に向けた取り組みを実践するとポイントが貯まり、貯めたポイントに応じて値引きなどが受けられる制度だ。

88碳賬户はメインアカウントのほかに、フードデリバリーサービス「餓了麼(Ele.me)」、配送サービス「菜鳥網絡(Cainiao Network)」、フリマアプリ「閑魚(Xianyu)」、ECモール「天猫(Tmall)」などアリババ傘下の各プラットフォームにサブアカウントを設ける。これらのサブアカウントの利用時にユーザーが実践したCO2排出削減の取り組みをポイントに変換し、メインアカウントで一括集計する。アリババはさまざまなインセンティブを取り入れて、ユーザーが生活の中で低炭素化を実践できるよう促している。

88碳賬户のアカウントを開設すると、ユーザーは自身のカーボンフットプリント(個人活動を通じて生じたCO2排出量)をより明確に把握できるようになる。出前を注文するときに使い捨てカトラリーを使わない、宅配便に使われていた段ボール箱を集配ステーションに持ち込むなどの行動が、アプリを通じてポイントとして蓄積されていくのだ。各プラットフォームのサブアカウントで蓄積したポイントがメインアカウントで集計され、カーボンフットプリントが可視化される。

世界的には、企業が事業活動に伴って排出したCO2の合計量を「Scope1(事業者そのものが排出したCO2)」「Scope2(事業者が他社から供給を受けた電気や熱などが排出したCO2)」「Scope3(事業者に関連する川上・川下企業が排出したCO2)」と3つに分類している。アリババでは独自に「Scope3+」との概念を打ち出し、エコシステム全体でCO2排出削減に取り組む。昨年発表した「2021年アリババグループ カーボンニュートラルの取り組みに関するレポート」では、アリババのエコシステム全体とユーザー全体で合わせて15億トン分のCO2排出削減を目指すとしている。

今年初めには同社のクラウド事業「アリババクラウド(阿里雲)」から企業向けのCO2排出削減ツールもリリースされた。導入企業は自社のエネルギー消費量をデータ化できると同時に、アルゴリズムを用いてエネルギー消費を最適化し、平均10%のエネルギー消費量を節約できる。現時点で1700社がこれを利用しているという。

今回リリースした個人ユーザー向けの88碳賬户は、アリババがScope3+を一層推進していくための重要な施策だ。

アリババは一連のインセンティブも発表している。ユーザーが88碳賬户で相応のポイントを貯めると現金と引き換えたり、対象商品で値引きを受けたり、対象サービスの利用と引き換えたりできる。

中国政府は2020年9月に「ダブルカーボン(双碳)」政策を打ち出し、30年までにカーボンピークアウト、60年までにカーボンニュートラルを達成するとしている。ダブルカーボン戦略の実施が加速している現在、CO2削減の主体である企業だけでなく、個人の取り組みに関する模索も始まっている。

今年に入ってからは複数の都市で関連政策が発表され、個人単位の取り組みが推奨されており、地方政府以外にも金融企業やインターネット企業などの大企業が号令をかけている。10億人規模のユーザーを擁するアリババがここに参入すれば、全国的な普及が早まることは間違いない。

個人単位での取り組みがCO2排出削減全体で果たす役割は軽視できない。中国国家気候センターの学術論文「気候変動に関する研究の進展」は、家庭生活や消費で排出されるCO2などの温室効果ガスは、中国全体の温室効果ガス排出量の52%を占めると指摘する。しかし、個人が排出するCO2は生活の各方面に及んでおり、出どころも複雑だ。いかに排出削減を実践し、生活中の排出量を記録していくかは以前から難題となっている。

アリババは88碳賬户をリリースするまで開発に1年を費やした。CO2排出削減量を算出するにあたっては、中環連合認証センター(China Environmental United Certification Center)、北京緑色取引所(BEIJING GREEN EXCHANGE)、中国標準化研究院(CHINA NATIONAL INSTITUTE OF STANDARDIZATION)など複数の専門機関と連携している。今年2月には「アリババ カーボンニュートラル専門家委員会」を正式に立ち上げ、菜鳥、餓了麼、天猫、閑魚などの事業をScope3+プロジェクトに反映する方法を検討して決めた。これを支える基盤技術システム「OPEN C+」は、将来的には社会に開放し、より広くCO2排出削減の推進に生かしていく計画だ。
(翻訳・山下にか)

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