「映客」が2018年決算を発表、「マタイ効果」が加速するライブ配信業界でヒットを狙う

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「映客」が2018年決算を発表、「マタイ効果」が加速するライブ配信業界でヒットを狙う

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3月24日夜、ライブ配信大手「映客(inke)」が上場後初となる決算を発表した。昨年の売上高は前年比2.1%減の38億6100万元(約643億円)だった。一昨年年が2億4000万元(約39億円)の損失だったのに対し、昨年の利益は11億100万元(約183億円)、調整後の純利益は5億9600万元(約99億円)で、13四半期連続の黒字となった。月間アクティブユーザーは前年比12.3%増の2548万7000人で、有料会員数は公表されていない。

3月25日、香港証券取引所の取引終了後、映客株は0.5%値上がりし、同社の時価総額は41億2000万香港ドル(約585億円)となった。

決算発表後、同社の董事長兼CEOの奉佑生氏はメディアに対し、今後の方向性やライブ配信業界に対する見方を語った。

製品ラインナップを拡充、その中からヒットを狙う

製品に関しては、メインのライブ配信アプリ・映客の他に、製品ラインナップを拡充してユーザーを囲い込む方針を打ち出している。

話題性のあるニッチ分野にフォーカスし、動画を見るだけで報酬が得られるショート動画アプリ「種子視頻」、音声SNS「音泡」と「不就」、二次元ファンコミュニティー「StarStar」、位置情報SNS「22地図交友」など6つのアプリを相次いでリリースしている。また5G開始を見越して、5G対応アプリの準備も進めている。

海外市場にも照準を合わせている。中東地域向けの製品がすでにテスト段階に入っており、2~3カ月以内にリリースされるという。

映客が開発したアプリは10種類近くに上り、同時にプラットフォーム型や相互補完型のM&Aの対象も探している。どれもさらなる競争力向上を目指してのことだ。奉佑生氏はそれらのアプリのうち1つか2つは大規模な成長を遂げてほしいと考えているが、ヒット製品を育てるのは簡単なことではない。

上述の6つのアプリのうち、どれがヒットするかは奉佑生氏にも予測できない。今のところ比較的好調なのは種子視頻だ。公式データによると、2月中旬の時点で登録ユーザーは2000万人を超え、デイリーアクティブユーザーは200万人、ユーザー1日あたりの視聴時間は100分だという。

ライブ配信業界で「マタイ効果」が加速

映客の年間売上高が減少したのは、ライブ配信の収入が前年比4.9%減の37億2900万元(約618億円)と落ち込んだためだ。しかし、広告収入は前年比442.2%増の1億2200万元(約20億円)となっている。

ライブ配信業界では、ユーザー数の伸び悩みが顕著となっている。奉佑生氏は業界全体がトラフィックのボトルネックに差し掛かっているとみる。

毎年のように新製品がリリースされることで、新たな競争が生じている。「TikTok」や「快手(Kwai)」などのショート動画アプリの出現により、ライブ配信のトラフィックが一部流出したことはその一例だ。また人口ボーナス効果や経済成長による効果などが薄れ、成熟市場へと変わってきた。大企業は成長のスピードをいかに維持するかに頭を悩ませている。

奉佑生氏は、経営難のため閉鎖に至ったライブ配信プラットフォーム「熊猫直播(PandaTV)」を例に挙げて、「富めるものはますます富み、貧しいものはますます貧しくなる」というマタイ効果が業界内で加速していると指摘した上で、ライブ配信はまだ成長を続けており、ビジネスモデルとしても申し分ないため、心配する必要はないと語っている。BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)などの大企業が大金を投入していることからも、ライブ配信事業には大きな可能性があることがわかる。

製品の拡充、5G時代への対応、海外市場進出とM&A、これらこそがさらなる成長を目指す映客の戦略と言えるだろう。奉佑生氏は、同社の時価総額が35億2000万円(約585億円)では低いと考えている。なぜなら現金および現金等価物総額33億1300万元(約549億円)に加え、多くの製品や従業員を抱えているからだ。このため同社は1億香港ドル(約14億円)を上限に自社株の買い戻しを行うと発表した。
(翻訳・畠中裕子)

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