メタバース需要で注目高まる、マイクロLEDチップ「思坦科技」 セコイアなどから資金調達

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マイクロLEDチップと関連技術を開発する「深圳市思坦科技有限公司(Sitan Technology)」(以下、思坦科技)が、複数回の資金調達を完了した。「中芯聚源股権投資管理(China Fortune-Tech Capital)」、シャオミ傘下の「湖北小米長江産業基金」など複数の産業投資ファンドから戦略的出資を受けたほか、「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」や「中金資本(CICC Capital)」、「厦門市創業投資有限公司(Xiamen Venture Capital)」などの投資ファンドも参加した。

思坦科技は創業者である劉召軍氏を始めとするハイレベル人材3名および南方科技大学が共同で2018年10月に設立した会社で、主に高性能マイクロLEDチップとディスプレイモジュールの技術開発・生産を手がける。

次世代ディスプレイ技術と目されるマイクロLEDは高輝度、高解像度、色域の広さ、低消費電力、長寿命といった優れた特性を備え、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)/XR(クロスリアリティ)、スマートモバイル機器、車載ディスプレイなど幅広い分野で利用でき、将来の「メタバース」産業における重要部品でもある。

2020年以降「メタバース」産業の先行きがより明瞭となり、アップル、グーグル、マイクロソフト、ファーウェイ、メタ(旧フェイスブック)など国内外の大手メーカーはAR/XR関連技術への取り組みを加速した。マイクロLEDディスプレイ技術は、高解像度を始めとするその優れた特性のためAR分野で重要視されている。

思坦科技は設立当初にシードラウンドで「賽富金鑽基金(SAIF Partners)」から出資を受けた後、深圳市龍華区に国内初のマイクロLED専用パイロットラインを建設し、マイクロLEDチップとディスプレイモジュール製品の検証および小ロットでの試験生産を開始した。現在、同分野で累計500件近くの知的財産権を申請し、200件以上が認可されるなど、マイクロLED業界における技術面で競争力を保持している。

今後の布石として劉召軍氏は、チップ設計などコア技術に取り組み、多くの産業関係者と協力して新しいマイクロLEDディスプレイ産業の発展を促進させると述べた。資金面では、2020年に中芯聚源股権投資管理が主導するプレシリーズAで資金を調達しており、同年にはパイロットライン第2期が稼働し研究開発プラットフォームがより充実した。

2021年には小米産投による単独の戦略的投資を受け、消費者用電子機器分野との相乗効果が高まった。22年3月にはセコイア・キャピタル・チャイナが主導するシリーズA+で資金調達を完了し、XR分野における同社の産業基盤はさらに強化された。

2022年7月、同社は中国政府系コングロマリット「華潤集団(China Resources)」傘下の「潤科微電子産業基金」が主導し、中金資本傘下の「中金伝合股権投資基金」らが参加する新たな資金調達を完了した。今回の資金調達によって量産に向けた取り組みが前進し、川上のシリコンCMOS駆動分野において「中芯国際集成電路製造(SMIC)」や「華潤上華科技(CSMC)」といった半導体受託生産大手との更なる相乗効果が見込まれる。

現在、AR/XRにおける川上の重要部品であるマイクロLEDディスプレイと光導波路モジュールはいずれも量産化に向けた技術改良の重要な局面にあり、両者の融合によってARとメタバース産業の発展につながる基礎インフラが整う。劉召軍氏は、川上から川下を含むパートナー全体の努力により、マイクロLEDに代表される次世代ディスプレイ技術は中国で成功を収めるだろう、と語っている。創業メンバーのうち、劉召軍氏は南方科技大学電子工学科の准教授および博士課程指導教授、香港科技大学の非常勤准教授、国際情報ディスプレイ学会の自発光/マイクロLED/QD(量子ドット)技術委員会の委員長を兼任する。また、もう一人の中心メンバーである邱成峰氏は、香港科技大学の先端ディスプレイ国家重点実験室を経て、国際情報ディスプレイ学会のAR/VR技術委員会メンバーを務める。
(翻訳・大沢みゆき)

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