ノートルダム大聖堂の悲劇を繰り返すな テック企業が注力する「スマート防災」

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ノートルダム大聖堂の悲劇を繰り返すな テック企業が注力する「スマート防災」

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仏ノートルダム大聖堂の火災のニュースは世界中に大きな悲しみをもたらした。昨年9月にも、2000万点以上のコレクションを所蔵するブラジル国立博物館で大規模な火災が発生するなど、同様の悲劇は少なくない。

文化遺産での火災の場合、その複雑さや脆さゆえに消火活動は困難を極める。ノートルダム大聖堂はゴシック建築で構造全体が非常に軽いため、高圧放水や泡消火剤の使用が一部制限された。

テック企業が開発を進める「スマート防災」は、文化遺産の防火対策において有力な選択肢になるかもしれない。

IoTを消防施設に導入

消火活動を行う上で非常に重要な消防施設だが、正常な運用には定期的なメンテナンスやモニタリングが欠かせない。しかし定期的に見回り点検するだけでは、施設の故障を直ちに発見できないのが実情だ。

そこで考えられたのが、消防施設にIoTを導入するプランだ。施設に設置した無線センサーがデータをクラウドにアップロードし、管理プラットフォームでリアルタイムに表示される。そして設備の異常を感知すると直ちに警報を発し、施設管理者がピンポイントに修理や交換を行えるようにするのだ。このシステムにより、いつ火災が起きても、消防施設が常に最大の能力を発揮できるようになる。

電気火災をモニタリングする「電力指紋認証」技術

ケーブル発火や設備使用による火災などのリスクは、従来のセンサーや電気火災モニターでは予測が難しかった。しかし電力特性を分析して認識する「電力指紋認証」技術を使えば、電力設備使用時の電力特性と照らし合わせて、配線につながっているのがどの設備なのかということや、設備の稼働状況が正常かどうかを知ることができる。

このロジックに基づき、ベンチャー企業「拓深科技(TPSON Technologies)」は電力指紋技術を活用して、電気配線や電力設備のモニタリングとリスク警告を行い、火災の危険を事前に知らせて損害を最小限にとどめるよう力を注いでいる。

防災「クラウドプラットフォーム」

クラウド企業「微天下信息科技(Weitianxia Information Technology)」が手がけるのは「防災管理」だ。火災情報のデータ化と統合管理を基盤として、火災の隠れたリスクを事前に警告するほか、火災の通報や火災後の管理などを行う。

スマート防災プラットフォームの構造は大きく分けて、煙や温度などの感知データを採取する施設センサー層、集まったデータを集約してクラウドにアップするPaaS層、アプリやウェブサイトなどで警報や消火活動などの業務を管理するSaaS層で構成されている。

防災工事のコスト削減

防災工事に最新技術を導入する際、重要なポイントとなるのがコストだ。例えば、情報伝送システムを導入する場合、従来の方法では新たな配線が必要となり、システム工事以外にも壁に穴を開けたり通常営業に支障をきたすなど、コスト面で大きな負担があった。

ITやネットワーク技術を開発する「塩巴科技(Yanba)」が提案するのは、電力ケーブルを使用した情報伝送システムだ。無線技術にありがちな電波の遮断、チャネル混雑、遅延、セキュリティーなどの問題も解決できる。

塩巴科技によれば、従来の方法や4GのIoT SIMカードを採用する方式に比べて50%以上もコストを削減できるという。

無人消防車

火災現場に飛び込んでいく消防士の安全を守ることも防災における重要なテーマだ。すでに実用化が始まっている無人車技術も「スマート防災」に応用できる。サーモグラフィーカメラを無人車に搭載して火災現場の温度差を可視化すれば、火勢の把握や火元の特定が可能になり、森林火災などの大規模火災や危険な場所での火災に役立てることができる。

最後に

スマート防災の基盤となるのは、防災モニタリング設備のIoT化だ。これにより防災行動を前倒しし、全面的な防災管理ネットワークを構築することができる。

スマート防災という巨大な市場で、今後さらに新しい技術が生まれるだろう。文化遺産の防火対策が確立される日は近い。
(翻訳・畠中裕子)

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