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自動車の電動化とスマート化の浸透が進み、安全で快適なスマート化を求めるユーザーの声は高まり続けている。シャーシ・バイ・ワイヤは電動化とスマート化の要求がひとつに合わさり、高度な自動運転の基盤となるものだ。自動運転の知覚、判断に続き、操作の部分に多くの投資家が注目するようになった。
比博斯特(上海)汽車電子(BIBO)(以下「BIBO」)はこのほど、プレシリーズA+で1億元(約20億円)程度の資金調達を完了したと公表した。セコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンド(紅杉中国種子基金)がリードインベスター、上海弘暉(Honghui Capital)と原子智慧交通産業基金がコ・インベスターを務めた。
BIBOは2021年5月に設立され、電気信号で制御するシャーシ(車台)向け「バイ・ワイヤ」技術に注力するスタートアップ企業で、ブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)、ドメインコントロールユニットなど主要部品を開発する。中心メンバーは清華大学など国内外の有名大学および中国自動車大手の上海汽車集団(SAIC)や電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)、ドイツ自動車部品メーカーのボッシュ(Bosh)などの出身で、自動車業界で平均10年以上の経験を持っている。
中信証券によると、世界の自動車シャーシ・バイ・ワイヤの市場規模は2026年に1528億元(約3兆円)に達すると予測されている。このうち、スロットル・バイ・ワイヤとギアシフト・バイ・ワイヤの技術はすでに成熟しており、ブレーキ・バイ・ワイヤとステアリング・バイ・ワイヤがポテンシャルを持つ次の注目分野として、今後爆発的に成長するという。
ブレーキ・バイ・ワイヤとステアリング・バイ・ワイヤについては、安全性と信頼性に対する要求が極めて厳しく、技術的な難しさや参入障壁の高さから、長期間にわたりボッシュやドイツのコンチネンタル(Continental AG)など外資系大手Tier1(一次サプライヤー)が中心となっていた。近年、コロナ禍や地政学的要因、半導体不足などから中国自動車メーカーのサプライチェーンにおけるリスクが増していることに加え、電気自動車(EV)研究開発のスパンはより短く、自動運転製品の世代交代が加速していることで、中国のシャーシ・バイ・ワイヤ部品のサプライヤーはまたとないチャンスを迎えている。
清華大学自動車安全・省エネ国家重点実験室の宋健教授と于良耀教授のグループは、自動車部品技術の開発と応用に力を注ぎ、武漢元豊汽車部品(YOUFIN)や浙江亜太機電など多くの企業を育ててきた。2000年にESC(横滑り防止装置)システムの制御アルゴリズムの研究に着手し、2014年には電動ブレーキブースター、電子機械ブレーキ(EMB)などブレーキシステムの開発を始めた。浙江亜太機電や武漢元豊と協力して、初の知的所有権を持つ電子式ブレーシステムの大規模実用化を実現し、その多くの技術と製品は国内の関連分野において技術的空白を埋めるものとなった。BIBOはこうした清華大学自動車安全・省エネ国家重点実験室の20年におよぶシャーシ電子製品の研究開発と経験、技術の蓄積をもとに、シャーシ・バイ・ワイヤとそのコア部品の技術を確立し、製品と技術の完全な国産化を実現した。
BIBOは現在、自動ブレーキシステムのうちツーボックスやワンボックスの開発に力を入れている。ツーボックスは電動ブレーキブースターとESCをまとめたもので、ワンボックスはさらに電動パーキングブレーキとADAS(先進運転支援システム)の一部機能がまとまったものだ。
開発した電動ブレーキブースターやアンチ・ロック・ブレーキシステム(ABS)、ESCは昨年12月に量産体制に入り、ワンボックスは今年12月に量産が開始されるという。すでに江蘇省南通市にツーボックス、ワンボックス、それぞれ年産50万セットの生産ラインが完成している。同社は研究開発の速度が速く商業化に長けていることから、ワンボックス製品の生産ラインを建設し大手自動車メーカーに製品を提供する国内初のスタートアップとなった。このほか、電子機械ブレーキ、ステア・バイ・ワイヤ、ドメインコントロールユニットなどの先進的技術を開発し小規模な実用化を実現している。
BIBOのCEOは清華大学の劉暁輝博士が務め、電動ブレーキブースターやESCなどはすでに国内の複数自動車メーカーの10車種以上に採用されている。劉博士によると、同社はシャーシ・バイ・ワイヤのソリューションを提供する世界的サプライヤーになることを目指している。自動車メーカーと緊密に協力してスマート自動車産業チェーンで新たなエコシステムの構築を目指すという。さらに、生産ラインの能力を徐々に高め、高度自動運転の技術を開拓して、シャーシ・バイ・ワイヤのあらゆる製品を自主開発・生産するとともに、自動車メーカーと協力してより高い段階の自動運転向けシャーシ・バイ・ワイヤのソリューションを開発し、次世代の移動手段として方向性を定めたいと語った。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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