半導体は「10年で最悪の落ち込み」となるのか TSMCは強気の見方示す

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

半導体は「10年で最悪の落ち込み」となるのか TSMCは強気の見方示す

続きを読む

半導体メーカーは間もなく訪れるであろう深刻な衰退期に対応する準備に入っており、今後数カ月のうちに半導体の販売量は先ごろの記録的増加から一転、この10年間で最大の減少になることが見込まれる。このほどブルームバーグが報じた。

コロナ禍で半導体の発注が大幅に増加、売上高、株価とも幾度も最高記録を塗り替えた。世界中のメーカーが注文を奪い合い、競って生産能力を引き上げてきた。しかし現在、半導体メーカーにとって身近だが極めて深刻な問題、在庫の増加と需要の減少に直面している。

10年間で最悪か

シティグループのアナリストであるChristopher Danely氏は、半導体業界の不振は少なくともこの10年間、もしかしたら20年間で最悪のもので、どの企業も半導体の種類を問わずみな影響を受けるとの見通しを示している。

ブルームバーグによると、2019年にも同様に落ち込みを見せたことはあるが、普通はそれほど長くは続かない。とはいえ世界中の経済が疲弊している影響を受けることは明らかだ。しかし、世界最大のウエハファウンドリである台湾積体電路製造(TSMC)の最新の決算報告会では、23年に半導体の需要は減少するが、全体としては2008年ほど酷くないだろうとの異なる見方が示された。

TSMCの劉徳音董事長は、消費者向け電気機器製品の半導体需要は若干減るとしても、車載用や高性能コンピュータの半導体需要は大きく、TSMCは今年フル回転で製造すると述べた。

中国本土で最大のウエハファウンドリである中芯国際集成電路製造(SMIC)は、業界の需要増加、グローバル化の流れは変わらず、中国でも短期的に調整はあるが長期的には変化はないと見ており、同社も中長期的成長に自信を持っているとした。

こうしたメーカーの安定した業績に比べ、多くの半導体設計企業が発するシグナルはどれも楽観的とは言えない。GPU(画像処理装置)大手の米NVIDIAはゲーム事業の売上高が30%以上減少した。半導体メモリー大手の米マイクロン・テクノロジーは、多くの分野で急速に需要がなくなりつつあると警鐘を鳴らす。

マイクロン・テクノロジーが投資家にこうした状況を公表した同日、バイデン大統領は国内の半導体製造を支援する「the CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に署名した。これについて研究機関Sanford C.BernsteinのアナリストStacy Rasgon氏は、結局どうなるかは誰にもわからない、半導体産業の誰一人として需要予測に長けておらず、最初は楽観的過ぎて後から過度に悲観的になるからだとコメントしている。

半導体の出荷は激減、クアルコムは値引きへ

川下の市場からの需要が急激に減少したため、半導体産業には暗雲が垂れ込めている。

市場調査会社Mercury Researchのデータによると、今年4-6月期のデスクトップ型パソコン用CPU出荷量はこの30年間で最低水準となり、CPU総出荷量は1984年以来最大の減少幅となった。また、調査会社CINNO Researchのデータでは、22年上期の中国スマホSoC端末出荷量は約1億3400万個、前年同期比16.9%減となった。その前から多くの人が在宅勤務となり、これが追い風となってパソコンやその他デバイスの需要を押し上げた。当時半導体メーカーは大量の注文に応えることができなくなりつつあり、サプライチェーンの問題解決にも手を焼いていた。買う側もさらに高い価格でも半導体を買いたがった。

しかし現在、消費者の購買意欲は弱まり、半導体を購入する企業側も次々とオーダーをキャンセル、いわゆる「在庫調整」の状況になってしまっている。

中国国営中央テレビ財経チャンネルの報道によると、モバイル半導体の大手、米クアルコムはオーダーをキャンセルされており、フラッグシップモデルのSnapdragon 8シリーズの注文は約15%減少した。また、フラッグシップモデルの2タイプを年末に40%程度値下げする。韓国サムスン電子も在庫解消に努め、消費者向け電子機器製品の需要減少による半導体メモリー出荷への影響軽減を図っている。

TSMCの最新の決算報告は消費者向け電子機器製品市場の低迷を反映している。スマホ事業はすでに同社にとって最大の収入源ではなくなっており、今後もこの傾向は続くだろう。

中国国家統計局の統計によると、中国のICの一カ月当たり生産量は21年8月をピークに減少に転じ、22年7月には16.6%減少した。同月のスマートフォンとマイクロコンピュータデバイスの生産量はそれぞれ9.1%、6.0%の減少となった。

全体としては、半導体の需給不均衡による買い占めから正常に戻りつつある。コロナ禍が若干落ち着き、メーカーが新しい生産ラインを稼働したことで半導体不足は次第に解消されているが、半導体市場は下り坂に入っている。長期的には、今後クラウドコンピューティングやスマートカーといった新興市場から新たな需要が生まれるかもしれない。

原文:WeChat公式アカウント「芯東西(ID:aichip001)」
(翻訳・36Kr Japan編集部)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録