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中国発ファストファッションECの「SHEIN」に代表される新興越境ECプラットフォームが、コロナ禍となったこの2年間に海外で大きな収益をあげる中、大手企業も同分野に目を向け始めた。
超低価格商品の共同購入を広め、アリババと京東(JD.com)に続く中国第三のECプラットフォームとなった「拼多多(Pinduoduo)」傘下の越境EC「Temu」が米国で運営を開始している。
Temuはすでに低価格商品を提供する「テスト期間」を始めており、App Storeのショッピングアプリカテゴリで35位にランクインした。今月初めにひっそりと運営を開始したこのアプリは、商品の価格を驚くような安さに下げたことでユーザーの間で口コミが広がり、ダウンロード数を伸ばしている。
Temuの運営開始によって、越境EC分野に中国の大手企業がまた1社加わることとなり、すでに起こっている海外ユーザー争奪戦は白熱化する段階へと入った。
SHEINの最低価格を打ち破る
TemuはApp Storeのダウンロード画面で「Team Up、Price Down(チームを組んで価格を下げる)」と紹介されており、拼多多が中国でうたう「共同で買えば安くなる」と同じようなキャッチフレーズとなっている。
Temuのホームページやアプリを開いてまず感じるのはSHEINにそっくりだということだ。テーマカラーが橙色に変えられた点を除き、欧米風のモデル画像、目立つ割引情報、豊富な品揃えなど2つのサイトは瓜二つに見える。
拼多多の実力を支えにTemuはSHEINよりも大幅な割引を展開しており、各種の購入支援策も大きな魅力となっている。配達までの所要時間はSHEINとほぼ同じ(1~2週間)だが、Temuは全品送料無料、オープニングセールとして全ユーザーに30%割引クーポンの発行、90日以内なら無条件で返品可能というサービスを行っている。
これまではSHEINが衣料品や小物の多くをアマゾンなどの大手ECプラットフォームよりも低価格で提供してきたが、Temuの価格設定は米国の消費者の認識を改めさせたと言える。
Temuでは数多くの衣服や靴が全て10ドル(約1400円)以下で、数セント(数円)の日用品やキッチン小物があふれ、その上30%の割引が適用される。さらに凄いのは今回開設された1セント(約1円)商品コーナーで、ユーザーは1セント(約1円)で1つの商品を購入でき、その商品も送料が無料になるということだ。
最近のレビューによると、わずか10ドル(約1400円)超で20点以上の商品を買ったユーザーも複数いるようだ。
価格だけを考えると、Temuはこれから低価格戦略でアマゾンやSHEINにとって大きな脅威となり、既存ユーザーの多くはTemuに移る可能性が高い。
しかし運営を開始したばかりのTemuは、価格は安いが、商品の探しやすさといった点でSHEINに劣っているのが現状だ。
ページの機能が単一的な上、商品の供給量が限られており、数十点で売り切れになる商品もあるという。ある出品者のグループから漏れた情報によると、最初の出品者の多くは販売量が1000点以上となり、すでに在庫補充を開始したようだ。
拼多多は質の高いサプライヤーを集めるために大胆な策を講じた。出品者募集要綱によると、Temuは出品者の手数料などを免除するキャンペーンを展開している。売り手はサプライヤーとして商品の提供と供給価格の提示をするだけで、販売促進や運営、物流、保管などの業務はTemuが担い、最終的な商品の販売価格はプラットフォームが決める。
Temuは現在、米国市場のみで商品を販売しているが、カナダなどのApp Storeでもダウンロードが可能となっており、間もなく他地域でも利用できるようになるだろう。
作者:WeChat公式アカウント「硅星人(ID:guixingren123)」
(翻訳・大谷晶洋)
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