「デジカメ」「3DS」「ガラケー」··· 中国SNSで日本の意外な中古商品が注目の理由

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「デジカメ」「3DS」「ガラケー」··· 中国SNSで日本の意外な中古商品が注目の理由

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中国版インスタグラムと言われるSNS「小紅書(RED)」は中国の若い消費者、中でも女性に人気だ。

近年新たにオシャレなデザインをした若者向けブランドが続々と立ち上がっている。36krの様々な新ブランドの記事を見ると、まず最初にTikTok中国版の「抖音(ドウイン)」に加え、小紅書でマーケティングを展開してブランディングすると書かれている。そのため、新デザインの製品はまず小紅書で見ることがよくある。面白いことに、最近レトロな商品もまた小紅書の空間で喜ばれる。

中国人は新しいモノだけが好きというわけではない。最近では中国ケンタッキーの子供用セットについてたポケモンのコダックのおもちゃは小紅書の間でも大きな話題になった。コダックが左右交互に手を挙げるギミックは「懐かしい」と思える消費者のノスタルジックな感情と、「かわいい」と思えるレトロなモノやキャラクターならではの形状を見た感情を刺激しブームを引き起こした。

その人気ぶりが日本でも話題に(写真:ポケモン プロデューサー増田順一氏のTwitterより)

中国の経済成長が鈍化している。例えば、スマートフォンの買い控えが起きるなどの各個人の消費も守りに入っている。それでもノスタルジックなアイテムの値段はそれほど高くなく、それでいて新しい刺激があり他人と共有することで、他の人からの注目が集まるということもあり好評だ。

小紅書で「レトロ」と一緒に検索された単語を調べると「スナック」「結婚」「コーディネート」「化粧」が並ぶ。つまり昔のコーディネートを着たり、昔の雰囲気の結婚写真を撮ったりするのを小紅書で参考にするわけだ。他にも「曲」や「おもちゃ」「ゲーム」「写真」などが並ぶ。消費者の全体的なマインドもあれば、仕掛けられたものもある。中国で女性を中心とした若者の感性にささりそうなものはブームになり、ブームの背景にはインフルエンサーの仕掛けがある。日本絡みでも例外ではなく、仕掛け人がいることもあり、バイヤーが一儲けしようと小紅書でアップすることもある。

最近では小紅書でデジカメの投稿が増えた。デジカメといっても一眼レフカメラでも高級コンパクトデジカメではなく、性能的にはスマートフォンに劣る、10年かそれ以上前の普及型のコンパクトデジカメだ。それにニンテンドー3DSやPSP(プレイステーションポータブル)や折り畳み型ガラケーの投稿も増えている。

コンパクトデジカメはスマートフォンの性能上昇で存在感が消えてしまっている。しかし若い小紅書利用者からいえば、「CCD相機」と今ネット上で呼ばれるコンパクトデジカメは、レトロでありながら、スマートフォンよりも小さい面積でずんぐりとしていて、ボタンが沢山あってレンズが飛び出し、そのフォルムがなんともかわいいという。写真撮影の性能も、夜の撮影は今のスマートフォンに比べてよくはないが、昼の撮影なら今のスマートフォンと異なる絵作りの写真が撮れる。中古デジカメを入手した人は様々な作例画像を小紅書に投稿し、またある人は中古デジカメの買い方やお勧め商品を投稿し、多くの読者を集め承認欲求を満たす。多くの人が投稿することにより、我も我もと所有者が増えた。かくして一部の若者にとっては魅力的な製品になり流行となった。

ゲーム機もそうだ。ニンテンドー3DSやPSPなどは中国でも人気のNintendo Switchに比べて本体もソフトも安い。デザインもさまざまな色があってコンパクトで様々なゲームが気軽に遊べる。全く知らないゲームばかりではなく、どうぶつの森シリーズなどを撮って小紅書にアップして集客できるタイトルもある。ゲームは近年出たものではないしグラフィックはスマートフォンのそれより劣るが、小紅書が好きな人の中にはどうやらスペックは重視せずその辺は気にならない人が多い模様。むしろ「コンパクトなフォルムと操作性が魅力的」という意見も。

「あつまれ どうぶつの森」中国未発売ながら話題沸騰 Switch代理販売のテンセントはジレンマ

さらにはiPodや中古のガラケーまでもが小紅書では人気だ。中古のガラケーはよくて3Gで、メモ代わりに写真を撮るくらいは辛うじてできるものの、アプリをインストールし各種サービスを利用するどころか、WEBページを見ることすらままならない。コンパクトデジカメやゲーム機よりも実用性がないが、同様の理由で一部の層に人気だ。いずれもコンパクトでデザイン性があり、言い換えると女性の手にもフィットしてカバンに入れられるサイズでおまけに”カワイイ”ので持ちたくなるのだという。

中国の中古市場では大量にコンパクトデジカメやゲーム機などの中古商品が流通していて安く購入できる。ところが小紅書効果によってこれらの商品の相場が上昇した。中国国内で数十元で流通していた中古品を数百元で販売し荒稼ぎする業者も現れたのがその原因だ。値上がりしている上に昨今円安傾向が続いていて、日本を拠点とする多くのブロガーが「円安で買い物のチャンスだ」と投稿して消費を煽っているのを見る。日本国内で流通する中古の状態のよい高級ブランド品がバイヤーに買われ、小紅書で売られる現象が起きているのだ。ともなると意外な日本の「コンパクトでかわいい」中古商品の中国への転売が進むかもしれない。小紅書を上手に使いこなせば日本の中古品トレンドも見えてくるだろう。

(作者:山谷剛史)

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