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コロナ禍でコンサートへ出かけることが難しくなった。そこで、家にいながらにしてコンサートを鑑賞できるよう、空間に3次元(3D)画像を投影するホログラフィを活用しようと取り組んでいる企業がある。
画像生成技術は、文字、2次元画像、2次元動画と発展してきたが、いずれVR(仮想現実)技術が成熟して転換期を迎え、3Dホログラムが主流になるだろう。3Dホログラムのインフラは、基本的な部品とハンドヘルド機器から、現在は3Dホログラム用撮影スタジオや家庭用スキャナーにまで進化し、消費者向けにより幅広い応用ができるようになっている。
「螳螂慧視科技(Mantis Vision China)」は3D画像技術を開発するイスラエル企業「Mantis Vision」と中国企業の合弁会社として2018年に設立され、主に3D画像技術の基礎研究・開発と応用に取り組んでいる。
3D画像生成の基本になるのはスキャニングの光学的手法であるストラクチャード·ライト(構造光)だ。世界的に見て比較的成熟したストラクチャード·ライトには、スペックル方式(ランダムドットパターン)とコーディング方式がある。前者の技術特許は主に米アップルが保有している。被写体にさまざまなパターンの赤外光を投影し、その歪みを測定する後者の技術はMantis Visionが所有していたが、現在は全て螳螂慧視に移転されている。
同社の陳玲CEOによると、一般的な光学技術による測定範囲は1~2メートルだが、螳螂慧視の技術はこれを7メートルにまで広げた。使われているのは目に見えず、エネルギーが最も小さくて人体に無害な赤外線だ。
現在マーケットの主流となっているホログラム用撮影スタジオの多くは1台のカメラにしか対応せず、撮影できる範囲が限られている。またデータ転送が不安定などの問題があり、リアルタイムで画像を生成することはできない。螳螂慧視の撮影スタジオは96台のカメラを搭載、コンテンツをリアルタイムで撮影、転送して、リアルタイムでの画像生成とプレビューを可能にした。この技術革新はホログラムコンテンツの通信技術を実用化へと後押しするだろう。
ホログラフィ技術を業界内で普及させるには、これまで莫大な資金とマンパワー、学習コストが足かせとなっていた。同等の画質レベルを持つ製品で比較すると、螳螂慧視が販売する企業向け製品の価格はマイクロソフトの10分の1、消費者向けなら3Dスキャナーメーカー「Artec 3D」の80分の1だ。また操作システムが標準化されて一般ユーザーにも使いやすくなり、対象物をリアルタイムでスキャンして切り抜きできるようになった。
螳螂慧視は2021年11月にシリーズAで1億3800万元(約28億円)を調達した。センスタイム傘下でAIに特化した投資機関国香資本(Sense Capital)がリードインベスターを務め、Mantis Visionも参加した。現在、測定範囲が7~20メートルのスキャニング技術を研究中で、今年もシリーズBで2億元(約40億円)を調達し、製品開発や人員の拡充、流動資金に充てる計画だ。
音楽ファンは一歩も外に出ずに自宅でフェスを楽しめ、スターはファンのてのひらの上で踊るようになる。失われた遺跡は実寸大で立体的に再現され、時空を超えて文化に触れられる。家族は互いの人生のあらゆる瞬間をホログラムとして記録し、思い出に「生命」を宿すことができる。3D技術が発展した5年後、10年後の未来の姿を陳CEOはこのように思い描いている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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