伸び悩む中国EV小鵬汽車、スマートSUV「G9」を発売 600万円から

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中国の電気自動車(EV)メーカー「小鵬汽車(XPENG、シャオペン)」は9月21日、超急速充電が可能なスマートSUV「G9」を発売した。G9は同社にとって4車種目で、販売価格は他の車種より高い30〜40万元(約600~800万円)台に設定された。

G9のラインアップは「570 G」「570 E」「702 E」「650 Eパフォーマンスモデル」「650 Xパフォーマンスモデル」「650 X発売記念モデル」の6つで、総合航続距離は「中国乗用車試験サイクル(CLTC)」基準で570キロメートル、650キロメートル、702キロメートルの3種類ある。新車の販売価格は30万9900元(約620万円)から46万9900元(約940万円)となっており、今年10月末から納車が始まる見通しだ。

画像は小鵬汽車より

発表されたデータによると、G9の注文台数は予約開始後24時間で2万台を超えた。同社の何小鵬CEOはG9が「50万元(約1000万円)以下では最も良いSUV」で、月間1万台の販売を継続できると考えている。

中・大型純電動SUVと位置づけられるG9は800ボルトの高電圧シリコンカーバイト(SiC)プラットフォームを搭載し、同社の超急速充電スタンド「S4」を使えば最短5分間の充電で200キロメートルの走行が可能になるという。

所有者が抱く航続距離の不安に対し、新エネルギー車では特に超急速充電システムの構築が大切になる。何CEOの説明によると、今年8月に最初のS4を広州市に設置し、現在は北京市、上海市、広州市、深圳市、武漢市で6カ所のS4超急速充電ステーションが稼働している。

同社は年内に中国の主要都市で50カ所以上のS4超急速充電ステーションを稼働させる計画で、来年は500カ所以上を増設、2025年には累計2000カ所以上を運用できるとの見通しを示した。

G9は米半導体大手クアルコムの「Snapdragon SA8155P」7ナノメートル・スマートコックピット用チップを搭載し、音声システムに無線通信の高速化技術「MIMO(マイモ)」を採用。また第2世代の先進運転支援システム(ADAS)「XNGP」によってフルシナリオの運転支援を実現した。Xシリーズは「NVIDIA DRIVE Orin」を2基搭載したスーパーコンピューティングプラットフォームを採用し、演算能力が508TOPSに上る。

蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車、理想汽車(Li Auto)という新興EVメーカー3社のうち、小鵬汽車はコストパフォーマンスの高い価格設定によって他の2社に販売台数のプレッシャーをかけている。

各社の発表によると、小鵬汽車の今年上半期の納車台数は前年同期比124%増の6万8983台で、理想汽車の6万403台、蔚来汽車の5万827台を上回った。

しかし販売台数が伸びても小鵬汽車の業績は上向いていない。上半期の売上高は蔚来汽車が202億元(約4000億円)、理想汽車が183億元(約3700億円)に上る一方、小鵬汽車は149億元(約3000億円)にとどまり、純損失が3社で最も多い44億元(約880億円)だった。上半期の粗利益率は小鵬汽車の11.6%に対し、蔚来汽車が13.8%、理想汽車が22.1%となっている。

G9は小鵬汽車の戦略的な転換点で、ミドル・ローエンドからミドル・ハイエンドへの移行によって客単価を上げ、販売台数よりも売上高と粗利益率を改善させる可能性がある。共同設立者で総裁を務める夏珩氏は「G9は小鵬汽車のブランド向上と販売拡大の使命を負っている」と話した。

同じような立ち位置にある蔚来汽車の「ES7」や理想汽車の「L9」などが先行する中、後れを取る小鵬汽車のG9が追い越せるかどうかは市場が答えを出すだろう。
(翻訳・大谷晶洋)

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