米国で成功を収めた中国発ファッションEC「SHEIN」、次に狙うのはブラジル市場

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米国で成功を収めた中国発ファッションEC「SHEIN」、次に狙うのはブラジル市場

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中国発のファストファッションECサイト「SHEIN」がブラジル市場で影響力を高め続けていることが、アプリ市場専門データ分析会社「data.ai(旧:App Annie)」の調べでわかった。Android端末・iOS端末のいずれも、アプリのダウンロード数ランキング、アプリの起動率ランキングで上位5位以内にランク入りしており、南米最大手のECモール「Mercado Libre」としのぎを削っている。

ブラジル市場のショッピング系アプリランキング(左:ダウンロード数、右:起動率)(出典:data.ai)

報道によると、SHEINの今年上半期の販売額は前年同期比50%増の160億ドル(約2兆2900億円)超だったという。アプリのダウンロード数は5億回を突破し、米国のユーザーが占める割合が最も多く、その次に多いのがブラジルのユーザーとなる。

中国発ファッションEC「SHEIN」、GMVがH&MとZARA超え。1-6月

SHEINがブラジル市場に進出したのは2019年。今年、重点的に力を入れている市場だ。ブラジルの金融会社BTG Pactualのアナリストは今年初め、SHEINのブラジル市場での売上高は3億6400万ドル(約520億円)に達したと指摘した。SHEINは昨年末にブラジルでパートナー探しを始めており、現地のサプライチェーンを構築し、中国からは今後、完成品よりも材料を輸入していく計画だとも伝えられる。

SHEINが展開するファッション系統は多岐にわたり、サイズも豊富だ。価格も現地の小売業者より安い。他の地域と同様に、ブラジル市場でも新興SNSを通じたマーケティングに力を入れ、若者のトレンドや消費文化に溶け込もうと尽力しているようだ。

今年3月にはブラジルのショッピングセンターでポップアップストアを出店し、オンラインとオフラインを組み合わせたショッピング体験を現地の消費者に味わってもらった。さらに、ポップアップストアで撮影した写真をインスタグラムに投稿するよう現地の消費者に呼びかけ、ポップアップストアでは割引サービスや特別なギフトが受け取れるとアピールした。

ブラジルで展開したSHEINのポップアップストア(インスタグラムより)

SHEINブラジルのインスタグラムの公式アカウントはこれまでに投稿件数3000回以上、フォロワー数は730万人に達している。プロフィール欄にはSHEINブラジルの公式サイトへのリンクやTikTokの公式アカウント名、TikTokと同じ中国発短編動画アプリKwai(中国版アプリ名「快手」)の公式アカウント名も記載されている。TikTokの公式アカウントはフォロワー数180万人だ。Kwaiのフォロワー数は不明だが、Kwaiは昨年10月にブラジル市場でも企業向けの「Kwai for Business」をローンチしており、ブラジル市場に進出するブランドにとっては押さえておくべき短編動画プラットフォームとなっている。

SHEINブラジルの管理職2人の経歴(出典:LinkedIn)

ブラジルのニュースメディアNeoFeedの今年5月の報道によると、SHEINは東南アジア最大手のECプラットフォーム「Shopee」で過去にブラジル事業やラテンアメリカ事業を担当してきたFelipe Feistler氏をブラジル事業の責任者に抜てきした。さらに、中国アリババグループ傘下の越境コマースプラットフォーム「Ali Express」のブラジル事業でファッションカテゴリーを担当した経験のあるFabiana Merlino Magalhães氏を、ブラジル事業のファッションカテゴリー責任者として採用した。

ブラジルは1人あたりGDPではメキシコ、チリ、アルゼンチンに及ばないが、2億1000万人の人口を抱えるラテンアメリカ最大の経済大国だ。人口ボーナスの恩恵で、多くの潜在的消費者を擁している。市場調査プラットフォームStatistaのデータによると、21年のブラジル市場では消費・購買行動の約10%がオンラインで行われており、オンライン通販の潜在力が高い。あるラテンアメリカの市場データ企業の分析によると、22年のブラジルでは「オンライン通販が全小売事業に占める割合」は18%に達する。海外の販売業者にとっては、ラテンアメリカの中でブラジルが最も進出に適した市場と言えそうだ。

現在、海外の多くのECプラットフォームがブラジル市場でチャンスを伺っている。Wish、eBay、アマゾンなどの米国企業に比べ、SHEINやShopee、Ali Expressなどアジア発の越境コマース企業は配送体制、コストパフォーマンス、商品のバリエーションなどに優れ、ブラジルの消費者の心をより掴んでいるようだ。

作者:WeChat公式アカウント「品玩Global(ID:pinglobal)」
(翻訳・山下にか)

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