農業ハイテク企業の「科百科技」、シリーズAで数億円調達。IoTとビッグデータで精密農業を支援

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農業に特化したハイテク企業「科百科技(kebai Science)」がこのほど、シリーズAで数千万元(数億円)を調達したことがわかった。リードインベスターは「高捷資本(ECC capital)」で、ファイナンスアドバイザーは「青桐資本(PhoenixTree Capital)」が務めた。科百科技創業者の劉宗波氏によると、今回調達した資金は引き続き製品の研究開発と市場拡大に用い、製品とソリューションの実用化を進めるという。

科百科技は主に果物、茶葉など付加価値の高い商品作物を対象とし、スマート化された低消費電力型農業+IoTシステムや関連製品の研究開発と製造を手がける。センサーとIoTで構成される無線ネットワーク設備を用いたデータ収集とモニタリングシステム、無線ネットワークのコントロールシステム、農作物の水・肥料、病虫害、温室環境のデジタルシミュレーション、精密農業用クラウドプラットフォームなどにより、データ取得から利用まで全プロセスをカバーすることで、農家に精密農業のソリューションを提供している。

2017年5月、同社は最初の独自開発製品として無線スマート灌漑システムを発表。2019年1月17日にはIoTのマイクロセル「CaipoBaseLite Ⅱ」、温室制御デバイス「GHWave Ⅱ」、灌漑制御デバイス「IrriWave Ⅱ」など第2世代の製品を発表し、山東省莱蕪市の大型スマート農業インダストリアルパークでの利用と機能検証を実施している。

同社の事業は現時点で、国家重点科学技術研究計画の特定プロジェクトと国家水資源モニタリング能力建設プロジェクトとして承認されているほか、飲料大手の「海昇集団(Haisheng)」、マイクロソフト中国、ファーウェイ(華為技術)、ハイテク企業の「中信国安(CITIC Guoan Information Industry)」、各地の農業大学、中国農業科学院などと提携している。さらに、イスラエルのビッグデータ関連企業、スペインでの無線温室モニタリング及びコントロール事業、ロシア・クラスノダール市での精密農業総合プロジェクト、トルコでの全国的な農業環境モニタリングネットワーク改良プロジェクトなど、複数の海外プロジェクトも手がけている。

同社は中国農業科学院、山東農業大学、華南農業大学など主要な農業科学研究機関から専門知識を持つ人材を集めており、従業員数は60人以上。山東省、オーストリア、ロシアに子会社を設立し、6カ国の出身者で構成される精密農業とIoTの複合型チームとなっている。また、同社の製品はすでに中国、米国、欧州、ロシア、イスラエルなど30数カ国で実際に使われている。

今回の資金調達でリードインベスターを務めた高捷資本の李磊アソシエイトは、農業+IoTやデジタル技術を用いた植物保護などのデジタル農業技術について、同社が重点的に資本を配分する分野だと説明。今後、農業技術の普及率向上にともない、農業+IoT技術をベースとした新型栽培スキームおよび経営モデルの比率が徐々に高まるとの見通しを示した。その上で、科百科技は農業+IoTと精密農業技術を結びつけた数少ない農業ハイテク企業だと評価している。
(翻訳・池田晃子)

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