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これまで数十年にわたり研究されてきた四足歩行ロボットは、キャタピラーロボットと比べて動きが機敏でスピードも速く、障害物踏破能力が突出している。またヒト型ロボットと比べても平衡機能に優れ、設計・製造・メンテナンスがより簡単だ。いくつもの優位性があるため、世界中で多くのテック企業が四足歩行ロボットの開発に注目している。
最近、産業用四足歩行ロボットを手がける「雲深処科技(Deep Robotics、Yunshenchu Technology )」が、方広資本(F&G VENTURE)の主導するシリーズBで資金調達を実施した。他に西湖科創投(XHVC)、同社株主の賽智伯楽(Cybernaut Venture Capital)も出資に参加している。雲深処科技を創業した朱秋国CEOによると、このほど調達した資金は組織強化、製品開発などに充てるという。
雲深処科技は2017年に設立され、四足歩行ロボットの開発・応用を手がけている。創業メンバーは浙江大学にルーツを持ち、脚式ロボットの研究・開発に10年以上従事してきた。同社は現在までに四足歩行ロボットの運動制御やスマートセンシングなど中核的な技術を確立。多くの知的財産権を有し、関連製品は電力・トンネル・消防・セキュリティなどの分野で使用されている。
朱CEOによると、四足歩行ロボットは複雑・劣悪・危険な環境で人に替わって業務を遂行できる。ロボットによる危険業務代行は今後、業界的なトレンドとなり、雲深処科技にとっても製品開発の基本理念となっている。
これまで何世代もアップデートを重ねてきた雲深処科技の最新製品は「絶影X20(Jueying X20)」だ。中国初の産業用四足歩行ロボットで、ハードウェア、ソフトウェア、制御アルゴリズムの最先端技術を結集させ、数十件もの独自の知的財産権を生かした製品だ。
絶影X20の走行速度は最高で秒速4.95メートル、積載荷重は20キロで、高さ20センチの段差も上り下りできるうえ、幅1メートルの裂け目も飛び越えられる跳躍力があり、廃墟のような環境でも安定して移動ができる。これらの基本性能の指標は業界内でも最先端の水準だという。
また、防塵・防水規格IP66に対応しており、作業台にはバイスペクトルPTZカメラ、ロボットアーム、4G・5G通信モジュール、北斗(BeiDou)・GPS・RTKなどの測位モジュールを搭載できる。環境センシングに関しては、自動的にターゲットを検出・認識し、深度カメラやLiDAR、アルゴリズムを駆使した精密なナビゲーション、動的障害物の回避、ヒューマン・マシンインターフェースなどの性能を持たせた。
関連資料によると、雲深処科技はすでに国家電網(State Grid)、中国南方電網(China Southern Power Grid)などを含む多くのトップ企業と長期的な提携関係を築いており、2021年末には製品の大量納品をスタートしている。
高い専門性と使用環境に全面的に合わせた性能開発を戦略としたことで、商業化に強く、より実用性の高い製品を作り出せたと朱CEOは考えている。同氏はさらに「世界には尊敬に値する四足歩行ロボットの開発企業がたくさんある。しかし、現段階では汎用プラットフォームに基づく設計が商業化の足かせになり、設計や開発業務の負担となっている。雲深処科技ではこれまで積み上げてきた自社技術を強みに、個別の導入シナリオに沿うことを製品開発の理念とし、これが当社にとっての競争力となっている。ロボット市場はこれまでも常に需要への供給を動力として成長してきた。雲深処科技でも過去1年、製品を実際に納品することで四足歩行ロボットの『導入現場が抱える問題』に答えを提出している」と語った。
さらに同社は先発優位を生かして消防部門と共同で四足歩行ロボットを使った火災調査のソリューションを開発し、1年以内に大量納品をスタートする予定。将来的には石油化学工業や天然ガスパイプライン、炭田探査などにも製品を活用させていく計画だ。
今回、雲深処科技に出資した賽智伯楽のパートナー袁智勇氏は「動ける四足歩行ロボットを作ること自体は難しくはないが、劣悪な環境にも耐える産業用ロボットとなると極めて高度な技術や経験が必要だ。雲深処科技は現在のところ中国で唯一、完全に独自の知的財産権を有し、産業用途の四足歩行ロボットを量産できる企業だ。同社は優れた製品、業界に対する深い理解、顧客ファーストのサービス理念を武器に、電力・エネルギー・消防などの業界で国内大手企業から高い評価を受け、世界市場に向けても展開を始めている。同時に、コンシューマー向け製品もブラッシュアップを重ね続けている。バイオロボティクス(人や生物の構造や機能を模するロボット工学)の応用シナリオが開拓されるにつれ、雲深処科技が国際的な競争力を持った企業に成長し、中国企業としてロボット市場の一角を占める存在になることを願っている」と述べた。
(翻訳・山下にか)
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