WEB3の環境整備が始まる日本、テンセントクラウドやOKコインが企業向け支援

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メタバースに続き「Web3」が世界中でトレンドになっており、プラットフォーム経済の「Web2時代」から、分散型インターネットと呼ばれる「Web3時代」に移行しつつある。

10月28日に、世界的テクノロジー大手テンセントクラウドと36Kr Japanが主催したセミナーでは、Web3プロジェクトに欠かせないブロックチェーン技術や暗号資産の分野でグローバルに事業を運営する「OKCoin Japan(オーケーコイン・ジャパン)」とテンセントクラウドの専門家が登場し、日本市場におけるWEB3ビジネスの現在地と可能性 というテーマで講演および交流を行った。

今回は、森ビルにも協力いただき、同社が虎ノ門で手掛ける事業改革や新規事業創出に特化したインキュベーションセンター『ARCH』で開催された。

セミナー会場の様子(インキュベーションセンター「ARCH」にて)

法律や規制緩和など環境整備に動き始めた日本市場の現状

謎の人物サトシ・ナカモト氏が2008年にビットコインの論文を発表して以来「仮想通貨」や「ブロックチェーン」という言葉が広く知られるようになった。オーケーコイン・ジャパン マーケティング部副部長の八角大輔氏によると、日本における業界全体およびNFTに関する法整備やガイドラインは少しずつ整えられている。現時点では暗号資産にかかる法整備は税制措置を除くと、世界的に見ても進んでいるといえるが、事業者がNFTビジネスを展開する上では、著作権などの法的論点を確認することが非常に大事となる。

また、Web3は国家戦略に位置づけられたため、今後は一般事業会社が事業へ参入しやすくなる環境整備も急ピッチで進む可能性があるという。

国内の暗号資産業界の動向を見ると、現在まで右肩上がりの状況が続いているものの、暗号資産口座の開設数は約630万に留まっており、まだまだ伸び代がある。Web3は、日本の強みであるゲーム、アニメ、音楽などを活かすことができる魅力的な市場でもある。

では、世界へ目を向けて日本の立ち位置を見てみよう。日本における暗号資産保有者数は少なく、税制の問題もあり世界ランキングで27位と評価は低い。ただし1位のドイツは、税制上の優遇施策などがしっかり考慮された結果であることから、日本でも法整備が進めば、グローバルでの順位も上がるのではないかと八角氏は推測する。

日本で盛り上がっているWEB3事例

Web3にエントリーするためには、まず暗号資産が必要となる。今回のセミナーでは、Web3領域で盛り上がっている事例が紹介された。例えば、デジタル資産を証明する権利となるNFT、暗号資産による新しい資金調達手法のIEO、そして「ネクスト株式会社」とも呼ばれる、トークンを用いた新たな組織のDAOなどが取り上げられた。中でもIEO(Initial Exchange Offering)は、暗号資産を発行し取引所に販売委託して資金調達する仕組みで、2021年に日本初となるIEOも実施されている。IEO実施を検討している案件が7件ほど発表されてることから、来年以降IEOの実施が増えるかもしれない。

Web3の登場により、企業の収益構造、ユーザーやファンとの関係性、サービスの所有権に対する考え方など、これまでの当たり前の世界が、新たな形へと変貌を遂げようとしている真っ最中にあるとオーケーコイン・ジャパン マーケティング担当の齋藤将輝氏が伝えた。

技術面でWeb3を支えるテンセントクラウド

テンセントクラウド・インターナショナル ストラテジー・マネージャーのDavid CHEN氏は、インターネットの発展に伴い、世代交代が繰り返されていると話し始めると同時に、世界のトレンドについて紹介した。

Web3プロジェクトをさらに広めていくには、簡単で安全なツールとインフラ環境が必要であり、世界でも有数のクラウドサプライヤーに成長した同社ではWeb3環境の構築と拡張支援に注力しているという。

既に成熟したサービスとして多くの実績が出ているのは、クラウドメディアサービス、開発ツール、セキュリティ、クラウドバーチャルマシンなどがある。 

例えば、暗号資産市場と隣り合わせの不正行為に対して、エンドツーエンドのセキュリティソリューションがある。オンライン上での本人確認において、従来のKYC(Know-Your-Customer)に比べ、効率的で、迅速に、精度の高い本人確認が可能なeKYC(Electronic Know-Your-Customer)のソリューションを提供する。ここには、テンセントが長年にわたり研究してきた顔認証アルゴリズムの成果が詰まっており、金融業界標準の顔認証ソリューションとして、世界有数のサービスレベルを誇る。

Web3は、まだ始まったばかりで大規模な適応には時間が必要である。現在の世界市場は停滞しているものの、いまだに投資家の意欲は強く、テンセントクラウドの開発者は積極的な構築を継続しているとCHEN氏は伝えた。加えて、新しいマーケットをこれから一緒に開拓していきたいとの意気込みも見せた。

最後に

時間に限りがあるなか、今回のセミナーでは両社からWeb3の最新動向や日本市場でのWeb3ビジネスに関する機会や法規制、新規参入・技術活用のヒントなどについてわかりやすく紹介された。講演後の質疑応答も盛り上がる中、「Web2とWeb3の立ち位置とは?Web2は終焉するのか?それともWeb3と共存できるのか?」という質問が特に印象に残った。オーケーコインとテンセントクラウドを代表する両者からは「共存する」という一致した回答が返ってきた。Web1とWeb2が共存しているように、今後Web2とWeb3もそれぞれの特徴によって、最適なものやサービスがそれぞれ存在している世界が実現されるだろうとのことだった。

(36Kr Japan編集部)

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