専門家が予想する5年後のオンライン教育 教育の個別化と経営の効率化を実現

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専門家が予想する5年後のオンライン教育 教育の個別化と経営の効率化を実現

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2010年にオンライン教育が登場して以来、教育業界には大きな飛躍が見られた。この約9年間、オンライン教育は教育の情報化を進め、そして教育の個別化という問題の解決に取り組んでいる。またAIやビッグデータ技術による教育サポートも始まっている。

中国のオンライン英語教育サービス「VIPKID(北京大米科技)」でシニア・ バイス・プレジデントを務める項碧波氏に、オンライン教育の今後や教育の個別化、テクノロジーがオンライン教育に果たす作用などについてインタビューした。

ーーAI+ビッグデータの発展により、5年後のオンライン教育はどのようなものになると思われますか。

項氏:5年後のオンライン教育は4つのワードで総括できると思う。それは標準化、専門化、メリットの共有化、そして個別化だ。

標準化とは、教育指導プロセス全体を体系化し、AIやビッグデータ技術を用いて指導の質をチェックすることだ。専門化とは、現在のオンライン教育企業がおしなべて、教育や指導、トレーニング、考査、評価までの一連の流れをを一括して担っているため、分業化を進めて各企業をどれか一つの分野に特化させることだ。もう一つは、教師の担当教科を絞ることによって、自分の得意な科目を教えられるようにすることだ。

メリットの共有化は社会的価値を体現することであり、主に質の高い教育リソースを三・四級都市に住むユーザーにも利用できるようにし、教育リソースの不公平を解消することだ。

最後に、個別化だが、これは将来の教育における一つの大きな方向性だ。

ーー大規模化された個別化教育指導では具体的に何を行う必要がありますか。

項氏:まず、教育指導内容を構造化および可視化することだ。つまり、これまでにまとめられていなかった内容を構造化し、分割されていない内容を細分化して整理することだ。内容を細分化および構造化するだけで、テクノロジーを用いて知識を再構成できるかもしれない。

もう一つは、様々な角度からユーザーを理解することだ。それには、各学習箇所に対する学生の習熟度や、学習習慣、学習内容の好み、認知力や理解力などが含まれる。

ーー現在の教育で、テクノロジーによって最大限に解決できるのはどの問題ですか。

項氏:全体的に見て、インターネット教育は新たなサービスモデルで、多くのオンライン教育企業はまだベンチャーの段階であるため、これらの企業はまずテクノロジーによって自らの存続という課題を解決してから、改めて成長という課題を解決する必要がある。

存続問題はオンライン教育サービスへのサポートと密接に関係している。例を挙げると、オンライン教室、学習問題のデータベース、教育用ソフトウェア(コースウェア)の編集システム、CRM(顧客管理)システムなどがそれに当たる。同時にこれらの製品は技術指標において安定した状態でなければならない。なぜなら、オンライン教室が(不具合によって)なくなれば、授業ができないか、または授業自体が不安定になり、学習体験や効果が損なわれるからだ。

存続問題を解決した後には、成長を考慮する必要が生じる。

それゆえ、技術がオンライン教育に果たす作用は以下の三つの段階に分かれる。

一つ目は、オンライン教育業務自体のサポート。つまり、上述の存続問題と関係している。

二つ目は、営業担当やクラス主任、教師といった各スタッフの業務を支援し、経営効率を高めること。その結果、コストを削減し、またユーザー体験を向上させ、企業としての競争力を培うことになる。 

三つ目は、教育自体に変化をもたらすこと。例を挙げるならば個別化教育やAI教師といった、より革新的なイノベーションを起こすことだ。

現時点では、多くのベンチャー企業が第二段階にあり、蓄えたテクノロジーの活用を進めるために力を尽くしている。

実のところ、絶対に解決できない問題など存在しない。テクノロジーが最も得意とすることは、問題を細分化もしくは縮小することであり、一見解決が不可能な問題も細分化することで、それぞれ解決が容易な小さな問題に再構成できる。
(翻訳・虎野)

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