iPhone14の8割を量産する中国・鄭州フォックスコンで非常事態。その影響は

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中国河南省の省都・鄭州市にあるフォックスコン(鴻海)工場が非常事態となっている。中国のゼロコロナ政策下、10月末から構内で新型コロナウイルス感染者が増え、様々なうわさが飛び交う中で従業員が続々と退職した。さらに11月下旬から労働争議とゼロコロナ対策が絡み合った原因により、大規模な労働者による暴動が発生した。これにより新型iPhoneの量産に影響が出そうだ。

まず鄭州工場は、20万人を超える従業員が働く「都市」といっていいほど巨大な工場。中国の44あるフォックスコン工場の半分はiPhoneの量産ができるが、その中でも鄭州は突出した生産能力のあるスター的な工場だ。同工場は主にAppleの新型モデルやハイエンドモデルを量産しており、調査会社CounterPointのリサーチャーIvan Lam氏によると、iPhone 14シリーズの80%超、iPhone 14Proの85%超がここで量産されているという。

ところが前述のように新型コロナ感染者と退職者が増えた。8月から組み立てに従事していた謝氏は、「サッカー場の半分くらいの大きな建物内に10の生産ラインがあり、通常は1つの生産ラインに80人を超える労働者が配置されていたが、11月初旬より稼働する生産ラインが4、3、2、1と減っていき、11月7日~12日には1つの生産ラインに30人余りしかおらず、残業しても生産性は非常に低かった」と中国ビジネスメディア「時代財経」に語る。iPhoneの生産量が思い通りにならなかったようだ。

新型モデルiPhone 14シリーズは9月に発表されている。iPhone 14(無印)ではSoCにiPhone 13でも搭載されたA15 Bionicを、iPhone 14 Proには新世代のA16 Bionicを搭載する。つまりiPhone 13シリーズと比べて技術革新があるiPhone 14 Proシリーズこそが新iPhoneととらえる消費者も少なくない。

実際iPhone 14ではProシリーズのほうが特に人気だ。かつては無印版がiPhoneの主力で販売数が上回っていたが、iPhone 14シリーズの発売以降状況は逆転した。Counterpointによると、中国ではリリース後、最初の4週間で売上の70%近くがProシリーズとなったのである。またIDC Chinaによると、iPhone 14(無印)の販売数は、iPhone 13(無印)より4、5割程度減少したが、iPhone 14 Proシリーズの売上はiPhone 13 Proシリーズの売上よりも上がるとしている。JPモルガンのアナリストSamik Chatterjee氏は、iPhone 14 Proシリーズが最終的にiPhone14シリーズの総売上高の60%を占めるだろうと予測する。また中国ではiPhone 14(無印)が供給過剰となりECサイトで公式価格より千元(約2万円)以上下がってるのに対し、iPhone 14 Proシリーズは数百元(数千円)から数千元(数万円)値上がりした。このように渦中のフォックスコン鄭州で主に製造されるiPhone14Proのニーズがあるわけだ。

もちろんiPhoneシリーズは中国市場だけではなく世界中で売れる商品だ。中国ではビッグイベント「双十一(ダブルイレブン)」のセールが過ぎたが、海外ではブラックフライデーやクリスマス商戦が待ち受ける。中国でも米国でも早くも納品が遅れ、納品は年越しになるだろうことが伝えられている。消費者の誰もがどこで生産しているかまで考えているわけではないため、クリスマスシーズンでの購入を待ちわびた消費者のAppleへのイメージダウンが連鎖的に起きる可能性もあるだろう。

鄭州の非常事態と新製品のニーズから、AppleはiPhone 14シリーズ(無印)の生産目標計画について9000万台から8700万台へと減産。またフォックスコンについては、中国国内の工場の半分はiPhoneの量産ができ、さらにその一部は最新のiPhoneを量産することができることから、バックアップとして別の工場で量産を行う動きがある。フォックスコン深圳の従業員はメディアに対し「最近鄭州から深にいくつかの設備が移された」と語っている。

こうした中、鄭州工場ではiPhoneの量産を間に合わせるためか、河南省周辺の自治体が住民の鄭州工場への人材派遣に協力し、賃金を大幅に上乗せするという発表もあり、数日で7万人余りの労働者を確保した。ただそこで上がるはずの労働条件があがらずに話が違うと暴動に発展したようだ。

鄭州工場から従業員が流出している(ネットより)

フォックスコンはゼロコロナ政策と労働者とAppleの板挟みになっている。鄭州では非常事態となっているが、当面別の工場でも量産を行いニーズに応えていこうとしている。

(作者:山谷剛史)

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