中国、W杯カタール大会でドイツ、イタリア、フランス、スペインを「撃破」。メイン会場入札

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中国代表チームはサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会に出られなかったが、現地では中国の要素が不可欠となっている。W杯のメイン会場となるルサイル競技場は中国建設大手、中国鉄建(CRCC)子会社の中国鉄建国際(CRCC International)と現地の建設請負企業HBKが共同で建設。これは「中国の建設業」が海外進出する縮図となった。

今回のW杯は過去最高の費用がかかったといわれる。カタールは過去7回のW杯にかかった費用の4倍となる約2290億ドル(約32兆円)を投じてスタジアム、空港、ホテル、ショッピングモール、地下鉄、道路を新たに建設し、砂漠の村に過ぎなかったルサイルを同国第2の都市に築き上げた。

中国のサッカーファンにとって今回のW杯がこれまでと最も大きく異なるのは、中国企業が建設を請け負ったルサイル競技場でW杯の開会式、決勝戦、閉会式が執り行われることだ。

中国の建設チームがW杯に「参戦」、複数国を打ち負かす

ルサイル競技場は中国企業が海外で建設した最大規模かつ最多収容人数の専用会場で、8万人が同時に観戦できる。2016年に実施された入札にはドイツ、イタリア、フランス、スペインなどの計6社が参加、中国鉄建は唯一の中国企業だった。中国鉄建は5度のビジネス交渉と9度の技術的交渉を含む激しい競争の末に落札。中国企業が長年にわたる欧米企業の独占を初めて破り、W杯メイン会場の建設に設計・施工の総合請負業者として関わることになった。

W杯記念紙幣、額面価格は22カタール・リヤル(約840円)(写真:新華社)

中国鉄建国際によると、ルサイル競技場の建設は国際サッカー連盟(FIFA)の厳しい技術基準を満たすだけでなく、海外のコロナ禍、高温多湿な気候、複雑な工程などの難題を克服する必要があった。競技場は完成時に世界最長スパンの二層ケーブルネット屋根を持つ単体建築物、最大の規模、最も複雑なシステム、最高の設計基準、最先端の技術、最も進んだ国際化という6つの「世界最高」を獲得したW杯メイン会場になったという。

最も進んだ国際化というのは建設従事者の多様性を示す。同社によると、ルサイル競技場の建設には20カ国以上から110社の大手下請け企業と7000人以上の中国および外国の建設従事者が参加した。中国メディアの環球時報(Global Times)によると、7000人を超える建設従事者のうち中国人は約1000人で、うち約800人が作業員、200人がエンジニアと技術者だった。建設中はカタールに3000人以上の雇用を生み、W杯開催中は保守と運営で4000人超の雇用創出が見込まれるという。

海外市場を注視、中国の建設企業が相次ぎ海外進出

ルサイル競技場は中国企業が「一帯一路」共同建設に関わっていることの縮図だ。「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」で構成される「一帯一路」は2013年に構想が打ち出され、 15年に構想をまとめた「ビジョンと行動」が発表された。

中国は今年7月4日時点で、「一帯一路」共同建設の協力に関する文書を149カ国および32の国際組織とまとめている。その協力プロジェクトは3000件を超え、投資額は1兆ドル(約140兆円)近くに上る。

こうした中、中国の建設企業も海外進出を加速させており、中国交通建設(CCCC)、中国中鉄(CREC)、中国鉄建、中国建築(CSCEC)、中国冶金科工(MCC)、中国電力建設(Power China)など影響力の大きい企業も含まれる。

中国商務部の統計によると、中国企業は20年にカタールで11件の請負契約を新たに締結し、新規契約額は6億ドル(約830億円)に上った。カタールではここ数年、ルサイル競技場を建設した中国鉄建のほか、中国葛洲壩(China Gezhouba)、中国水電建設(Sinohydro)、中国港湾工程(CHEC)、華為技術(ファーウェイ)などの中国企業が貯水池、ハマド港、自由貿易区、ルサイル新都市のインフラ、太陽光発電、通信などのプロジェクトに幅広く関わっている。

中国企業は世界経済に深く関わっている。国家統計局が10月に発表したリポートによると、2013~21年の「一帯一路」周辺国に対する中国の直接投資額は累計1613億ドル(約22兆4000億円)、年平均増加率は5.4%だった。「一帯一路」周辺国に対して中国企業は優先的に対外投資をするようになった。一方の周辺国が中国で投資・設立した企業は3万2000社、投資額は累計712億ドル(約9兆9000億円)に上った。

作者:時代財経(WeChat ID:ltf-app)、陳沢旋

(翻訳・大谷晶洋)

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