人件費削減迫られる近距離輸送分野に着目 自動運転車開発メーカー「新石器」がシリーズAで16億円調達

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自動運転車開発企業「新石器(NEOLIX)」がシリーズAで約1億元(約16億円)を調達した。出資したのは「雲啓資本(YUNQI PARTNERS)」、「耀途資本(Glory Ventures)」だ。調達した資金はR&Dチームの拡大と、納車台数の大規模化推進に用いられる。

余恩源CEOが2009年に設立した同社は、2010年に第1世代物流用PDAを独自開発した。さらに、宅配ボックスで特許を取得し、ドローンによる配送ソリューションを提案している。

2015年末よりL4クラス自動運転の短距離貨物車の開発に携わり、これまでに自動運転車2車種を発表している。いずれも車載ネットワーク対応シャーシ、車載電池交換システム、車載インターネット、AIプラットフォーム、スマートコンテナを導入している。2018年4月にはエンジェルラウンドで新興EVメーカー「車和家信息技術(CHJ Automotive)」や「元禾原点(ORIZA HORIZON)」から出資を受けた。

今回の出資に関して、雲啓資本の董事総経理・陳昱氏は「新石器の強みは、車載ネットワーク対応シャーシの製造工程、物流分野における長年の経験、自動運転関連技術の開発力などにある。また、ターゲットとする市場が大きく、自動運転技術の実用化が進む小型商用車による物流に特化している点も評価した」と述べる。

同社が当初より「納品までの最後の5キロ」を担う近距離輸送領域に的を絞った理由について、同社の関係者は「近距離輸送の国内市場は多くの人が想定するよりも規模が大きい。物流プロセスを500キロの幹線輸送、50キロの市内輸送、5キロの近距離配送に大別すると、前二者を担うのは600万台の大型トラックと1500万台の中型トラックだが、近距離配送を担うのは4000万台ものワンボックスカーや電動三輪車だ。なおかつ、幹線輸送のコストに係る人件費は25~30%程度だが、近距離配送となると90%以上にも跳ね上がる。それゆえ、自動運転技術の導入による人件費の圧縮が大きな事業価値を持つ領域なのだ」と説明する。

ただし、自動運転分野にとって最も難しいのが事業化だ。L4クラスが今後3~5年で大規模に実用化できる範囲は、単純かつ低速での運転に留まると考えられる。

同社はまず、移動販売で自動運転車の事業化をスタートさせた。2018年8月、河北省雄安新区市民サービスセンターで自動運転車によるおみやげ品・軽食・飲料などの販売を開始した。1台あたりの1日の売り上げは2000元(約3万2000円)を超え、国慶節(10月の大型連休)期間には1日6000元(約9万6000円)以上を記録し、開始1年以内で資金回収を達成した。同様の無人販売車を、北京市や福州市(福建省)の複数の公園などでも稼働しさせている。

事業スキームに関して、同社の責任者は「自動車の販売よりも飛行機の販売に近い」と説明する。自動車は納車後のアフターサービスやメンテナンスを販売店や小規模企業が担うが、飛行機は納品後も製造元が運営やメンテナンスを担当する。自動運転車が後者に属するのは、用いられる技術が一般車にくらべてかなり複雑で高度だからだ。

同社の自動運転車には、制動・方向転換制御システム、自動衝突回避システム、遠隔運転システムが搭載されているほか、航続力を保証するために重量18キロのリチウムイオンバッテリーパックを実装している。かなりの重量だが、大人なら道具を使わず30秒以内で交換できるバッテリーパックだという。

同社は、すでに江蘇省常州市に生産拠点を設け、量産体制に入る準備を整えている。年間1万台の生産を目指すという。これまでに120台以上を生産し、累計走行距離は50万キロを超える。
(翻訳・愛玉)

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