無人運転、トラックに着々と導入 進まぬ乗用車尻目に

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ特集注目記事

無人運転、トラックに着々と導入 進まぬ乗用車尻目に

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

米EV大手テスラをはじめ、自動運転配送車の米「Nuro(ニューロ)」、自動運転技術開発の「小馬智行(Pony.ai)」や米「Motional」などが2022年以降、自動運転事業を縮小し大規模人員削減を実施したことが相次いで明るみに出た。自動運転が可能な乗用車が未だ実現せず、商業化が遅々として進まない一方で、自動運転トラックについては次々と明るい情報が伝えられている。

22年の初め、幹線輸送自動化を手掛ける「千挂科技(AutraTech)」がプレシリーズAで2億元(約40億円)を調達した。「嬴徹科技(Inceptio Technology)」はシリーズB+で1億8800万ドル(約250億円)のエクイティファイナンスを実施、6月には中国で初めてセーフティードライバーを乗せない自動運転レベル4の大型トラックの公道走行試験の許可を取得した。また自動運転トラックを手掛ける「智加科技(PlusAI)」は、新たに2億ドル(約260億円)の資金を調達した。智加科技と赢徹科技は評価額が10億ドル(約1300億円)を超えるユニコーン企業になっている。

自動運転トラック開発の「Inceptio」、シリーズB+で約210億円調達

自動運転トラック「千掛科技」、設立半年で評価額180億円超え。バイドゥ、順豊など出資

小馬智行は22年3月に自動運転トラックブランド「小馬智卡(PonyTron)」を発表、7月には重機大手「三一集団(SANY Group)」傘下のトラックメーカー「三一重卡」と合弁会社を設立した。同年4月には配車サービス最大手「滴滴出行(DiDi Chuxing)」がトラックの無人運転にも取り組んでいることが明らかになった。

個人向け乗用車の自動運転がなかなか現実のものとならないのに対し、法人向けのトラック物流は技術面や活用シーンがそれほど複雑でないことから、より商業化に近づいている。メーカー各社はまず、トラックを攻略する方法を選んだ。

大型トラックドライバーの不足で無人化は急務

トラックを運転するには専用の免許が必要で労働環境も厳しいことから、トラックドライバーは需要に供給が追い付かない状況が続いている。21年に中国交通運輸部が公表したデータによると、中国には20年時点で1728万人のトラックドライバーがおり、国内の貨物輸送量の74%を担っているが、それでも1000万人不足しているという。

雇用側にとっては給料の高さも問題になる。最も高額なのは鉱山採掘車のドライバーで年俸は30万元(約600万円)、長距離大型トラックのドライバーでも20万元(約400万円)だ。

ドライバー不足や高齢化の問題、高騰する人件費に加え、大型トラックの安全運転や燃費という点を考慮すると、物流業界では自然と無人トラックが求められることになる。無人トラック自体のコストはかさむが、多くの要因を加味すると、トラックを自動化することで「コストを抑えて効果を高める」というスマート化が目指す目標が実現されるだけでなく、人手不足という発展の足かせから解放されることになる。

いち早く大型ダンプトラックの自動化を取り入れたのは豪鉄鉱石採掘大手フォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG)で、無人大型ダンプの導入と人件費との採算が取れている。コストはダンプの無人化改造と年間の維持管理費用が約30万元(約600万円)、1台分がおよそ1~1.5人分のドライバー人件費に相当する。導入効果としては、無人輸送が定着することで従来のドライバーによる作業に比べ30%程度効率が上がった。65トン積みダンプを例にとると、効率向上でもたらされる利益増加は年間30万元(約600万円)以上になった。

これは、自動運転の導入による効率向上がもたらす利益1年分で導入コストを回収できることを意味する。無人運転は燃料コストも節約でき、比較的理想的な状況であれば10~20%を削減可能だ。

走行環境が比較的コントロールしやすいことも、乗用車に比べトラックの自動運転が導入しやすい理由のひとつだ。

複雑な状況の街中を走行するのに比べ、トラックが走るのは大部分が高速道路や港湾といった閉鎖性の高いルートで、交通の流れを把握するのも比較的容易だ。技術革新の最中にある自動運転にとって閉鎖的な環境は、街中の道路を走行するよりも導入に適していると言える。

利益を見込める商売であれば自動車メーカー側も導入側も受け入れやすく、自動運転技術開発企業が導入企業に車両を提供するのも、輸送サービスを商業化するのもさほど難しくない。

自動運転技術開発企業は、メーカーに対し自動運転に関わる技術をフルスタックで提供するか、もしくは導入企業に対して車両の無人化改造をサポートし、技術改造費用を受け取って、車両はメーカーか導入企業の所有にする。智加科技は現在、メーカーから自動運転システム「PlusDrive」の開発を請け負っている。同社は自動運転レベル3の無人トラック「J7」も自社で開発しており、すでに量産体制に入って1万台程度を受注している。赢徹科技もパートナーのメーカーと共同で開発した自動運転レベル3のスマートトラックを市場に投入している。

作者:袁国宝(WeChat ID:yuanguobao1982)

(翻訳・36Kr Japan編集部)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録