ナトリウムイオン電池、中国電池メーカーの参入相次ぐ リチウム高騰受け

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ナトリウムイオン電池、中国電池メーカーの参入相次ぐ リチウム高騰受け

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中国のリチウムイオン電池メーカーが相次いでナトリウムイオン電池開発に着手している。大手の「寧徳時代新能源科技(CATL)」、「鵬輝能源(Great Power)」、「サンオーダ(欣旺達電子)」などに続いて「億緯鋰能(EVE Energy)」もナトリウムイオン電池分野に参入した。

億緯鋰能は2022年12月、大型の円筒形ナトリウムイオン電池の初代製品を発表した。エネルギー密度は135 Wh/kg、サイクル寿命は2500回で、すでに中間試験段階に入っている。

これに先駆けてCATLは11月29日、乗用車用のナトリウムイオン電池で航続距離400キロが可能になったと発表。将来的には500キロを目指すという。このニュースが市場に一気に火をつけ、ナトリウムイオン電池関連企業の株価は軒並み上昇した。

高騰するリチウム価格

22年は新エネルギー業界全体がリチウム価格の高騰に苦しんだ。リチウムイオン電池の主要原材料である炭酸リチウムを例に取ると、現在の価格は1トン当たり60万元(約1200万円)に迫り、2年も経たずに10倍にまで跳ね上がっている。世界のリチウム資源の約6割は南米のボリビア、チリ、アルゼンチンに集中しており、中国でもリチウムの85%を輸入に頼っている状況だ。

需給バランスが崩れたことが、新技術であるナトリウムイオン電池の開発を間接的に促進した。

不足するリチウム資源に比べ、ナトリウム資源は埋蔵量が豊富で価格も安い。中国は世界の埋蔵量の22%を占め、リチウム資源の需給不均衡をある程度やわらげると期待される。

駆動用電池は現在もリチウムイオン電池が主流だ。そして電池構造と動作原理の類似性から、第2の選択肢となるのがナトリウムイオン電池だ。ナトリウムイオン電池には資源面やコスト面の強みが加わるため、既存のリチウムイオン電池メーカーが続々と同分野に参入してきている。「中科海鈉(HiNa Battery)」、「衆鈉能源(ZOOLNASM)」など、ナトリウムイオン電池に特化する新興プレイヤーも多い。

23年はナトリウムイオン電池の産業化元年になると見る向きもある。一方では「リチウムイオン電池の代替品に過ぎない」とする声も根強い。

競争か、共闘か

ナトリウムイオン電池のコスト面での優位性はある意味、リチウムとの対比で生まれているものであり、高騰し続けるリチウム価格がナトリウムイオン電池の勢力拡張を後押ししている。最近では中国国内でリチウム価格が下がり続けているが、リチウム市場が常態に戻った後もナトリウムイオン電池は支持を受け続けられるだろうか?

機能面で見たナトリウムイオン電池の優位性は、安全で安定していることだ。特に高温・低温に強く、マイナス40℃から80℃までの環境下で正常に稼働できる。マイナス20℃では容量維持率が約90%とリチウムイオン電池より高い。内部抵抗はリチウムイオン電池より大きく、短絡時の瞬間発熱量や温度上昇も少なく、熱暴走に至る温度はリチウムイオン電池より高いため、発火や爆発など安全上のリスクは低い。

ナトリウムイオン電池開発の最難所はエネルギー密度だ。公開された資料によると、現在主流のナトリウムイオン電池のエネルギー密度はおおよそ100〜150Wh/kg。これがリン酸鉄リチウムイオン電池なら150〜200Wh/kg、三元系リチウムイオン電池なら200〜250Wh/kgになる。ナトリウムイオン電池が低評価を受ける大きな原因だ。

エネルギー密度が低めであっても、具体的な応用シナリオに落とし込むとなれば、ナトリウムイオン電池に活躍の場がないというわけではない。むしろリチウムイオン電池との差別化が図れる。製造コストにはこだわるがエネルギー密度に多くを求めないような分野では最大限に実力を発揮できるだろう。例えば大型蓄電システムとしてはナトリウムイオン電池がより適している。他には低速移動用の電気自動車市場などでも競争力を発揮して、リチウムイオン電池と補完関係を形成するだろう。

現時点でナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池の代替品としてではなく、より補完的な役割で力を発揮している。リチウムイオン電池への過度な依存をある程度弱めて電池の応用シナリオを多様化させ、変化に柔軟に対応しながらバランスをとっている状況と言える。

(翻訳・山下にか)

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