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物体や空間の三次元(3D)復元では、レーザースキャナーと深度計測カメラを用いたソリューションが業界の主流となっている。だが、大型のレーザースキャナーは莫大なコストがかかる上、物体や空間をデジタル化する最も古典的な方法にあたる。深度計測カメラも米ユニコーン企業Matterport(マーターポート)がある程度の低価格化を果たしたとはいえ、依然として2万元(約31万円)は下らない。操作するにも比較的高度な専門的技能を要する。こうした問題を背景に3D空間認識技術は特定の分野でしか活用できず、ニッチな市場向けソリューションに留まっていた。
3D復元サービスのスタートアップ企業「四維時代(4DAGE)」がこのほど、最新型の3D空間認識カメラ「四維看看(4DKanKan)Pro」をリリースした。画面解像度は従来モデルの4Kから10Kとなり、空間の復元精度は99%に上る。新たに自動距離測定機能も追加された。このカメラの登場で3D復元のコストは大幅に削減されることになるだろう。
4DAGEの設立は2014年。先進的な人工知能(AI)アルゴリズムとコンピュータービジョン関連技術を持ち、ドイツの国立マイセン磁器製作所内の博物館や万国博覧会などにサービスを提供してきた。2018年に初代3Dカメラ「四維看看(Lite)」をリリース。価格を3000元(約4万7000円)前後に抑え、操作も簡単にした。専門的な技能を持たない一般ユーザーでも150平方メートルの広さであれば、10分以内に3Dデジタル空間を生成することが可能。Matterportの「Pro2」の場合、同じ広さなら5時間は必要だ。
同分野を手がける企業への出資も活発化している。Matterportは、米著名ベンチャーキャピタルのYコンビネータや米グーグルらが出資を主導することでユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)にまで成長し、AirbnbやHomes、Googleストリートビューなどと戦略的パートナー関係を築いた。屋内3Dマップのプラットフォームを展開する独「NavVis(ナビビズ)」の出資者には、グーグルやマッキンゼー・アンド・カンパニーが名を連ねる。
2018年に「四維看看(Lite)」をリリースするまで、4DAGEは企業向けソリューション事業を重点的に手がけ、黒字を維持してきた。プレシリーズAで4000万元(約6億3000万円)を調達したのはわずか2年前だ。同社の崔岩CEOはこうした事業を推進する中で、3Dモデリングの大規模化に対する市場の巨大なニーズに気付いた。デジタル博物館を例にすると、2017年時点で世界中で10万4180回の展示会が開催され、博物館や美術館などデジタル関連の文化施設や芸術団体は4721カ所に上る。
崔氏は十分なユーザー数を確保しなければ、業界のこれ以上の発展は見込めないと考え、3Dモデリング用カメラの生産コスト圧縮と量産化を実現。誰でも手軽に使えるようにした。
今後は戦略的パートナーと組んで、不動産や電子商取引(EC)、屋内マッピング・ナビゲーションなどの分野にも触手を伸ばす計画だ。中国のオンライン旅行最大手「携程旅行網(シートリップ)」とも戦略的提携を結び、同社プラットフォーム上の全観光地を3Dデジタルアーカイブ化することで合意している。
(翻訳・鈴木雪絵)
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