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バッテリー再資源化のソリューションを手がける「瑞隆科技(Ruilong Technology)」がシリーズAで数億元(数十億〜百数十億円)を調達した。中国の新興EVメーカーNIO(蔚来汽車)の創業者が設立したベンチャーキャピタル(VC)「蔚来資本(NIO Capital)」が出資を主導し、美的資本(Midea Capital)、瀚暉資本なども出資に参加している。
瑞隆科技は2016年に設立され、駆動バッテリーなどのバッテリーリサイクルの産業化に注力する。中国工業情報化部が発表したバッテリーリサイクル企業の第4弾ホワイトリストにも掲載された同社は、バッテリー分解・破砕能力10万トン、バッテリークラスのコバルト製品・ニッケル製品各数万トン、同じくバッテリークラスのリチウム製品数千トンに対応可能な湿式精錬能力を有し、フル稼働時の生産高は数十億元(数百億〜千数百億円)に達する。
駆動用バッテリーリサイクル産業の振興と、中国の電気自動車(EV)を中心とする新エネルギー車(NEV)業界の発展には直接的な関連性がある。データによると、22年1月から11月までのNEV生産台数は625万3000台、販売台数は606万7000台で前年の同期間と比べて倍増。市場シェアは25%に達した。NEVの生産・販売台数が伸び続けていることで、駆動用バッテリーリサイクル市場も必然的に拡大していく。その市場規模は、25年までに400億元(約7600億円)を超えると予想されている。
寿命を迎える三元系リチウムイオンバッテリーが増え、バッテリー材料価格が高騰したことで駆動用バッテリーリサイクルの利潤率がこの1年で上昇した。そこで、自動車メーカーやバッテリーメーカー、さらにサードパーティー企業までもが次々とバッテリーリサイクル事業に乗り出している。
瑞隆科技の廖龍江会長によると、同社は長期に渡ってバッテリーリサイクル事業を手がけてきた。当初は3C(コンピューター、通信機器、家電)分野で事業を展開、新エネルギー市場が急成長を始めてからは新エネルギー車分野にも参入し、現在では産業チェーン全体をカバーするに至っている。
同社はリチウムイオンバッテリーのリサイクルに湿式精錬法を採用している。湿式精錬法は、分解・破碎・溶媒抽出などの段階を経てバッテリーから各種金属塩や金属酸化物を取り出す方法で、産業化規模の生産に適したものだ。この方法では、環境保護問題に関わる溶媒抽出、分解などの前処理が重要な部分となっている。瑞隆科技は湿式精錬法における長年の経験と独自に開発した処理技術で、ニッケルやコバルトは98%以上、リチウムは90%以上回収できる上、環境保護規準も完全にクリアできている。さらに、残電荷を有したままバッテリーを破砕する同社の独自技術は、従来の放電処理に比べて処理過程を大幅に短縮でき、廃熱の再利用もできる。
こうした独自の処理技術と完全に自動化された生産ラインによって、同社がリサイクルにかける総コストはさらに下がった。廖会長によると、同社の3つの強みはリサイクルの効率、コスト、産業チェーン全体にまたがる事業展開だという。
瑞隆科技は現在、リサイクル処理場4カ所を所有している。3カ所はすでに稼働を始めており、残りの1カ所は建設中だ。自動車メーカー、バッテリーメーカー、前駆体メーカー、正極材メーカーなどに、長期的に安定して製品を供給している。廖会長によると、同社は継続的に湿式精錬技術の最適化に取り組むほか、新たな抽出技術も開発しており、事業規模や人員規模も拡張を続け、生産性の向上とコストの削減を同時に目指している。
今回の出資を主導した蔚来資本のマネージングパートナー朱岩氏は「新エネルギー車市場の急成長を背景に、リチウムイオンバッテリーのリサイクルは環境保護・経済・サプライチェーンセキュリティーの3つにおいて重要な意義を持つ。コンプライアンスにのっとった瑞隆科技の環境保護策や金属分離技術は、リサイクルチャネルやリサイクル処理のコストコントロール、バッテリー向け原材料の生産において明らかな優位性を持っている。新旧株主からの資金と支援を生かして、同社が中国の新エネルギー業界でより大きな価値を創出できると期待している」と述べている。
(翻訳・山下にか)
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