中国人旅行者はタイ観光産業の救世主、副首相出迎え「国賓級もてなし」も

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北京日報(Beijing Daily)は今月9日、中国の「コロナ規制緩和」後最初にタイを訪れた中国人観光客が空港でタイの副首相に出迎えられる「国賓級の待遇」を受けた上、友好の気持ちが込められた花飾り「プアンマーライ」を渡されたと報じた。空港では100人を超えるタイ側の関係者らが列をなして出迎え、「中泰一家親(中国とタイは家族)」と中国語で書かれた横断幕を掲げて観光客に歓迎の意を示したようだ。

タイで歓迎される中国人観光客

日本や韓国とは違って、中国人観光客に対するタイの熱意は驚くほど高い。オンライン旅行大手「携程(Trip.com)」の現地ガイドで観光業に10年以上携わっているAndy氏は、コロナ禍前のタイにとって中国は最大の観光客供給国で、人数が多いだけでなく購買力も高く、タイの観光業を盛り上げる圧倒的な存在だったと説明。「春節(旧正月)前後にタイを訪れる中国人は35〜50歳が多く、ほとんどが家族旅行だ。こうした人たちは経済的に余裕があり、タイへの旅行でもクオリティを求める。他の外国人よりも購買力が高いようで、外国人はビール1杯で一晩を過ごすが、中国人ならまず1ケースのビールが出される」と話した。

よりわかりやすいデータを例にすれば、コロナ禍前となる2018年、タイの観光収入は570億ドル(約7兆3800億円)で、米国、スペイン、フランスに次ぐ世界第4位、日本の340億ドル(約4兆4000億円)を大きく上回るアジアトップだった。同年の訪タイ中国人旅行者数は延べ1035万人と、訪タイ外国人旅行者数の延べ3837万人に占める割合が4分の1を超えていた。また、中国人観光客はタイで5806億バーツ(約2兆3000億円)を消費しており、それだけで16兆3700億バーツ(約64兆7000億円)に上るタイの国内総生産(GDP)の3.54%を支えたことになる。

タイのあるレンタカー会社では、コロナ禍前は利用者の30%に当たる中国人が売上高の約8割を支えていた。その購買力を考えると、中国のコロナ規制緩和を聞いてすぐにタイが中国人観光客を大々的に迎え入れたのもうなずける。最近では「タイのパトカーが中国人観光客を先導する」という出来事まであったという。

海外航空券のデータをもとにある機関が試算したところ、中国の出国旅行者のうち約半数がタイを訪れている。

なぜ、中国人はタイが好きなのか。要因としてまず挙げられるのは、旅費が比較的手頃で、飲食・宿泊・交通費も中国の二線都市と同程度に収まることだ。また、ハイシーズンに当たる冬季でも、宿泊費が1〜3割高くなるだけで、上海市や海南省三亜市に比べれば安い。Andy氏は「観光資源や旅行業界の成熟度など総合的な観点から、タイは他の東南アジア諸国よりも優位にある」との見解を示した。

しかし、中国の都市からタイへの直行便はまだ少なく、上海市と広州市からの直行便はそれぞれ今月18日と20日にようやく運航が再開された。再開第1便の搭乗率はいずれも95%を超えたが、全体の輸送能力が回復するにはしばらく時間がかかりそうだ。

(翻訳・大谷晶洋)

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