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近年、競争が激化する中国の医療機器市場では、デジタル化とスマート化が進んでいる。100年以上の歴史を持つ医療機器大手のフィリップスも、時代の流れに合わせて自らを変革しつつある。
デジタル化で医療サービスの連携を進める
フィリップスにとってこの数年のキーワードは「デジタル化」だ。先日上海で開催された第81回中国国際医療機器博覧会(CMEF 2019)でも、デジタルフォトンカウンティング技術を搭載したPET/CTや超音波診断装置「Lumify」、マルチモダリティ解析ワークステーション「IntelliSpace Portal 9.0」、治療計画装置「Pinnacle3」、心血管画像・情報管理システム「IntelliSpace Cardiovascular」など、多くのデータ駆動型デバイスやクラウドソリューションが展示された。
近年、フィリップスはソフト開発とAIを重要戦略に掲げてきた。2019年には「ヘルシーライフ」、「プレシジョン診断」、「インターベンション治療」、「コネクテッドケア」という4つの事業セクターを立ち上げ、患者に関わる病院内外の診療プロセスを1つにまとめ上げた。
さらに、独立した商品ラインからテーマを持たせた総合的な運用へ、工業系企業からヘルステック企業へ、そして設備メーカーからヘルスケアソリューションの提供企業へとシフトチェンジを図っている。
病気に関わる全プロセスをカバー
中国の医療システムは往々にして疾病やその種類に応じて分類されており、同じ病院であっても異なる診療科のデータや情報は共有されない。
この問題を解決するため、フィリップスはコネクテッドケアと医療連携を組み合わせたソリューションを提案する。フィリップス大中華圏副総裁でコネクテッドケア事業部総経理の梁建球氏の説明によると、コネクテッドケアとは、患者を中心として異なるケアシーンや医療従事者をつなぐソリューションのことだという。またの診療に関わる情報やデータの共有を可能にすることで、患者がどこにいても最良のケアを行うことができるという。
現在は中国市場のニーズに合わせて、胸痛や脳卒中、腫瘍などの重大疾病に関わる10のソリューションを提供している。
エコシステムの拡大
フィリップスの最終的な目標は、人とデバイス・データを結び合わせた上で、診断や治療、リハビリ、生活習慣や服薬などのデータに基づいて、患者の健康を総合的に分析することだという。
もちろん、これは一企業だけで成し遂げられることではない。フィリップスは多くの第三者機関と提携して協業を進めるほか、事業買収を行うことによってもエコシステムの拡大を図っている。
概算統計によれば、2007年以降フィリップスが買収および出資したプロジェクトは医療機器やモバイルヘルス(mHealth)、ビッグデータなど25件に上る。一例として、2017年には健康管理ソリューションのプロバイダ「VitalHealth」を買収、そのプラットフォームを活用して病院外での患者のデータを効果的に集めることが可能になった。さらにテンセントやアリババなど、インターネット大手との連携も強化している。
フィリップスは、2030年までの間、毎年30億人の人々の生活を向上させるという目標を掲げている。梁建球氏はこう語る。「それぞれの病気の全プロセスにおいて、我々はこのような高い理想とビジョンを持つべきだ」
(翻訳・畠中裕子)
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