小売業向けSaaS「旺店通」 ソフトバンクとTPGから約16億円を調達

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小売業の全過程をスマート化するSaaS型サービスを提供する「旺店通」が、ソフトバンクとTPGキャピタルから1億元(約16億円)超を調達した。調達した資金はサービス向上や人員増強、研究開発に充てられる予定だ。

小売業界の発展、特にEC分野の急速な拡大に伴い、オンラインでのきめ細かい管理、オンラインとオフラインの融合に対するニーズが高まっている。11月11日の「独身の日セール(双11)」の取引額は毎年過去最高を記録し、中国小売市場の大きさと競争の激しさを物語っている。

100社あまりのECプラットフォームに導入されている旺店通のSaaS型ERPは、注文、在庫、仕入れ、財務、アフターフォロー、CRM等の管理を通じて、業務管理の効率、在庫回転率とユーザー粘着率の向上、経営意思決定の迅速化に役に立つ。在庫管理の効率化によって100人の人員を70人に削減できたほか、ERPを使った会計帳簿の自動照合によって、上場前の会計監査報告書を完成させたクライアント企業もある。

また、オンラインとオフラインの商品、注文、在庫、会員等データの統合によって、中国最大のECモール「天猫(T-mall)」では、ネットショップと実店舗の一元管理を実現している。例えば、消費者がECサイトから商品を注文した際に、システムがコストや効率を計算し、ECサイトの倉庫ではなく注文者の家の近くの実店舗から出荷させた方が良いと判断した場合、自動的に近くの実店舗に注文を出すことになる。さらに、もし該当する店舗からの出荷が難しければ、同じエリア内で出荷が可能な他店舗が注文を受けることになる。

このほか、旺店通は高付加価値のデーターサービスも提供している。企業プロモーションなどによるネット上の優待券やポイントを大量にかき集めて利益を得ようとする「羊毛党」と呼ばれるユーザーや、故意に批判コメントばかり書くユーザー等のブラックリストを作成し、サイバー攻撃に備えるためクライアント企業と情報共有システムも構築している。

7年前に設立された旺店通は、2014年以降黒字を維持しており、2018年度の売上高は1億元(約16億円)超、この3年間のCAGR(年平均成長率)は100%、クライアントの継続契約率は91.3%を誇る。同社のビジネスモデルは、食品大手「中粮(COFCO)」や乳業大手「蒙牛(Mengniu Dairy)」を含む10万社にのぼるクライアント企業からの年間サービス利用料または注文数に応じたサービス利用料、小規模の顧客からは注文毎に0.05~0.3元(約0.8~4.8円)、大型顧客からは年間25万元(約400万円)の利用料を徴収するかたちだ。

他社との競合について、旺店通の創業者である肖彬氏は、技術面ではシステムの性能や安定性、安全性が非常に重要な要素である。また、商品面では、サービスの標準化は規模拡大の基本であり、トップ企業の複雑なニーズに対応する努力は欠かせないと語っている。

肖彬氏はかつて中国最大の婚活サイト「世紀佳縁」のCTOを務めており、旺店通創業チームは清華大学等、名門大学出身者が占めている。今は事業規模拡大の好機と見て、今回の資金調達を実施した。今後はローカライゼーション戦略を展開し、2019年中にローカライゼーション対象都市を30都市から50都市に拡大し、五級都市と呼ばれる小規模地方都市を含む全国338都市にサービスを提供していく予定だ。
(翻訳・桃紅柳緑)

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