電気代節約、防災物資のニーズ高まるポータブル電源~完全自社生産のブルーティ、神田に直営店オープン

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

NoRSS-snスタートアップ編集部お勧め記事注目記事SPONSORED

電気代節約、防災物資のニーズ高まるポータブル電源~完全自社生産のブルーティ、神田に直営店オープン

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

キャンプブームでアウトドア愛好家の人気を集めているポータブル電源(小型蓄電池)。最近では防災物資や節電用途でも需要が高まっています。中国・深圳に本社を置くポータブル電源メーカーのBLUETTI(ブルーティ)は、「災害の備え」「節電」など幅広いニーズを持つお客様が直接商品を手に取りスタッフに質問ができる場として、東京・神田に直営店をオープンしました。同社によると、ポータブル電源専門店の出店は日本で初めてとのことです。

法人向け、行政向けのビジネス開拓

ブルーティは中国・深圳で2013年に誕生したブランドで、蓄電池製品の研究開発は、中国の同業の中では最も早い2009年に始めました。そのため、生産体制も自社で構築するしかなく、創業から現在まで自社研究開発・自社生産体制を維持しています。

神田駅と秋葉原駅の中間に位置する直営店は202212月にオープンして日が浅いですが、既存ユーザーを中心に、来店者が増えているそうです。

「当社のポータブル電源を使っていて買い替えを検討しているお客様が、店舗ができたのを知って来てくださっています。大きさや重さを実際に確認したいという要望にも応えられています」

そう話すのは、ブルーティパワーの李宝社長です。

ポータブル電源市場はコロナ禍のキャンプブームを追い風に順調に拡大しています。キャンピングカーやグランピングの愛好者がアウトドアと快適性の両立を追求するようになり、スマートフォンやPCの充電はもちろん、ドライヤーや調理器具も使えるポータブル電源のニーズにつながっています。市場調査会社The Insight Partnersのレポートは、世界のポータブル電源市場が年平均4.9%のペースで成長し、2021年の21103万ドル(約279億円)から2028年には29591万ドル(約390億円)に拡大すると予測します。

ブルーティは主に個人ユーザー向けに、EC経由でポータブル電源を販売してきましたが、新しいニーズの高まりを背景に20228月、「法人向け」「行政向け」のビジネスを展開するブルーティパワーを設立しました。

深夜に蓄電、昼間に給電し電気代節約も

最近注目されているポータブル電源のニーズは「節電」と「防災備蓄」だそうです。

「欧州ではウクライナ危機の影響で電気・ガスが不足し、蓄電への関心が高まっています。日本もこの冬は電気代やガス代が高騰して、節電を意識している家庭が多いのではないでしょうか。たとえば、住宅用ソーラーパネルが発電した電気を蓄電池に貯めて自宅で使うお客様も増えています」(李社長)

紹介によると、大型タイプの主力製品であるAC300AC500EP500/PROは、電気料金が安い深夜に蓄電池を充電し、昼間に家電製品に給電するように設定する機能が搭載され、節電効果が高いそうです。

昨今の温暖化ガス排出削減の取り組みも、ポータブル電源市場にとって追い風です。2030年までに温暖化ガス排出量の半減を目指す東京都は、2025年から戸建て住宅を含む新築建物に太陽光パネルの設置を義務づけることを決定しました。今後、政策支援の拡充も期待されます。太陽光パネルでつくった電気をためるシステムも必要になるので、ここでも蓄電池の市場拡大が見込まれます。

さらに、日本で潜在ニーズが大きいのが、災害を想定した防災物資としてのポータブル電源です。

 自治会の防災倉庫に納入

日本は災害が多い国として知られ、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨などを経験し、防災食品や補助電源など防災対策市場が成長しています。

日本能率協会総合研究所のマーケティング・データ・バンクは2019年に日本国内の家庭用蓄電池市場について調査を行い、2023年の市場規模を1200億円と見込みます。調査によると、東日本大震災翌年の2012年に家庭用蓄電池の導入を支援する補助金制度が導入されたのを機に市場の成長が始まりました。

出典:https://mdb-biz.jmar.co.jp/news/20190329

「自治体の防災イベントなどに出向き、非常用にポータブル電源を備蓄する必要性を訴えています。防災意識の高い企業や組織からの相談を受けることも増えました」と李社長は語ります。202212月には埼玉県朝霞市の自治会の防災倉庫にブルーティのポータブル電源を納入したそうです。

「自治会がポータブル電源を備蓄する際には補助金も申請できるため、直営店を製品だけでなく制度の相談の場として活用してほしいです」(李社長)

品質・技術の高さに自信

蓄電池・ポータブル電源のシェアはコスト優位性を武器に中国企業が9割以上を占め、世界中で競争しています。市場そのものは国土が広く、アウトドア人口も多い米国が圧倒的に大きく、日本市場の比率は高くありません。

また、中国メーカーの中では「EcoFlow(エコフロー)」と「Jackery(ジャクリ)」が2強とされ、日本での知名度も頭一つ抜けています。

ただ、どの企業も消費者向けのECや家電量販店などでの販売が中心となっており、防災にフォーカスして法人向け・行政向けの展開に取り組むのはブルーティが初めてです。

ブルーティの強みについて、李社長は「中国企業としては唯一自社工場で生産をしており、品質・技術管理を徹底しています」と強調しました。三元系電池より安全性が高く長寿命のリン酸鉄リチウムイオン電池をいち早く採用しており、安全性を重視する会社の姿勢がうかがえます。

直営店には、片手で持ち運びできるコンパクトな製品から、米国で人気の大型製品、ソーラーパネルで発電した電池を蓄電できる製品まで多種多様な製品がそろっています。李社長は「平時にこそ蓄電池・ポータブル電源について知識を蓄え、必要な製品を見定めてほしいです。店舗まで気軽に相談に来てください」と呼びかけています。

(作者:浦上早苗)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録