スマートモニタリングの「小跑科技」、輸送業界にサプライチェーン・ファイナンスを

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「小跑科技(xiaopaotech)」は貨物・旅客輸送のモニタリングサービスを提供している企業だ。江蘇省南京市に本社を構え、主要商品は道路輸送業界向けスマートモニタリングとサービスを行うプラットフォームである「小跑引擎」というアプリだ。主なユーザーは行政機関、物流企業、ドライバーの三者で、現在プラットフォーム上では12トン以上の車両がモニタリングされており、その対象は全国で700万台以上にのぼる。

小跑引擎の特色は省級道路の輸送システムとデータを連携し、これまでパソコンで行っていた車両モニタリングと行政事務手続き等の役割をモバイル端末に移行した点だ。これを土台として、小跑引擎はデータサービスや金融・保険サービス、輸送能力マッチングサービスなどを導入した。同社は主にこれらのサービスに関する手数料から収益を得る予定だ。

同アプリには企業版とドライバー版の2つのバージョンがある。企業版では伝票や車両、ドライバーの管理、行政事務管理、金融・保険などのサービス、ドライバー版では注文管理と行政事務手続きなどのサービスを提供している。

小跑引擎アプリの企業版(左)とドライバー版(右)

小跑科技の計画ではこのアプリを土台として車両や物流企業の経営状況データを掌握し、信用調査システムのデータベースを構築するとともに、銀行を中心とした第三者資金を引き入れ、信用スコアの不十分な中小物流企業や運送業者に金融・保険サービスを提供する予定だ。輸送能力のマッチングサービスはプラットフォームが管理する輸送能力がある程度の規模になってから行う予定だという。

中でも金融サービスのモデルは、中核企業(大型物流企業)と中小企業、運送業者(実際に運送能力を提供する側)の売掛金を担保にして、中小企業や運送業者にオンラインでの与信や迅速な融資、保険といったサービスを提供するものだ。創業者の一人である張俊氏によると、業界の一般的な利率は18%~25%だが、同社の提供する金融サービスでは利率を10%~12%に抑えることが可能だという(プラットフォームのサービス利用料も含む)。

中国国内の道路輸送の市場規模は約5兆元(約78兆円)前後。金融サービスのニーズがあるのはそのうち10%だとしても、市場規模は1000億元(約1兆5600億円)にもなる。中国の貨物輸送業界では、自動車担保ローンがよく見られるが、例えば米国では約95%の中小企業向け融資で動産を担保としており、その大部分が売掛金となっている。売掛金担保融資は米国の商業融資の4分の1を占めており、その規模は6000億ドル(約64兆円)近いという。

小跑科技創業者の張進氏は10数年に及ぶ交通輸送管理業界での経験を持ち、国・省レベルの交通業界の標準制定、交通運輸当局の情報システム構築に幾度も関わったことがある交通輸送業界のベテランだ。前出の張俊氏は銀行業界で長年の経験があり、液化石油ガスを扱う「東華能源(ORIENTAL ENERGY)」のサプライチェーンファイナンス総経理を務めたこともある。(翻訳・山口幸子)

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