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マイクロソフトから独立したAI企業「シャオアイス(小冰公司)」が開発するAIチャットボット「小冰鏈(X-Chain of Thought & Action、以下X-CoTA)」が2月21日、内部テストを開始した。
インターフェースは米オープンAIが開発したChatGPTと似ている。ユーザーが入力した内容にしたがって、論理的に整合性の取れた回答が出力される。しかし、大量のテキストデータを学習させた大規模言語モデルがベースのChatGPTと比べると、X-CoTAの場合、呼び出しプロセスが複数のステップに分かれており、ユーザーが入力した情報に対して「理解」「計算」「回答の出力」というように段階的に対応する。
36Krでも使ってみたが、テーマが与えられた作文やニュースに対するコメントなど客観的な質問の場合、X-CoTAの理解力はChatGPTに劣らず、回答もタイムリーなものだった。回答画面では、X-CoTAが論理的に思考する過程を見ることができ、一部の情報に関してはその出典も明記されている。
しかし、比較的複雑な数学の問題や複雑な言語環境では正確性が低くなり、回答が不十分であるなど大規模言語モデル共通の問題点が見られ、正確性を向上させるために設問の仕方を変える必要があった。たとえば「2*3/4+1」は「2*3/4+1はどのように計算すればよいか」と入力し直すことで正しい回答が得られた。
シャオアイスによると、X-CoTAには以下のような特徴があるという。
まず、X-CoTAは世界中からリアルタイムの情報を取り入れることができ、その情報源を保存するため、事前学習モデルではデータ更新がリアルタイムではないという問題を回避できる。また段階的な論理的思考を可視化するため、AIの誤りをより簡単に発見・修正でき、安全性や分野ごとの適合性を継続的に向上できる。
そしてX-CoTAは、ロジックを分割しながら大規模言語モデルのパラメータを減らすことで、アルゴリズムへの依存を軽減し、トレーニングとオンラインサービスのコストも削減することができるため、普及と実用化が期待されるという。
またChatGPTブームの中、モデルトレーニングやデバッグの際のデータセキュリティーや倫理的な問題も人々の注意を集め議論されている。シャオアイス側はX-CoTAが保存している質問記録はトレーニングや他の用途には使わないとしている。同時にセキュリティー上の理由から、ユーザーの代わりに宿題をしたり、文章要約やスピーチ原稿を作ったりすることはないという。
ChatGPTはトレーニングのプロセスで膨大なパラメータを使用しているが、同じように行える企業は少ない。一つには、中国では現状高性能チップが手に入らないため、大規模言語モデルのトレーニングで必要とされる高度な演算能力が不足していることが挙げられる。
また、大規模言語モデル使用中に発生する高額なサービス費用も問題となっている。シャオアイスの李笛CEOによると、ChatGPTと同じ方法を用いた場合、同社のアーキテクチャが実現している現時点での対話量で計算すると1日あたりのコストは3億元(約58億円)、年間では1000億元(約1兆9500億円)を超えるという。
「オープンAIが採用しているモデルは大部分の企業にとっては必要がない」と李CEOは話す。ほとんどのデジタルアクションは「検索」「プログラミング」「計算」の3つに分けられる。大規模言語モデルを少ないデータで効率的に学習することができるいくつかのモデルに分割すればトレーニングと運用のコストを削減できる。ChatGPTのような大規模言語モデルを検討している多くの企業にとって、X-CoTAは低コストの良い見本となるだろう。
(翻訳・山口幸子)
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