「網易雲音楽」が著作権事業に参入か? 著作権ビジネスを優位に進めたい音楽配信プラットフォーム

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「網易雲音楽」が著作権事業に参入か? 著作権ビジネスを優位に進めたい音楽配信プラットフォーム

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ネット音楽配信の「網易雲音楽(NetEase Cloud Music)」が「九天音楽(9sky.com)」に出資し、九天音楽の中心メンバーがすでに網易雲音楽に移籍したと、音楽業界の関係者が明らかにした。1999年設立の九天音楽は、国内のオリジナルミュージックの制作やプロモーション、海外音楽作品の配信をメインに行っている。

今回の出資が事実なら、網易雲音楽が音楽著作権事業に乗り出したことになるが、網易雲音楽側は「事実と異なるためコメントを控える」としている。

事の真偽がどうであれ、音楽配信プラットフォームが音楽著作権事業に手を広げるという流れがあるのは事実だ。そしてその中核となる音楽著作権は、これまで長らくレコード会社の支配下にあった。

レコード会社との戦い

これまで音楽配信は「アーティスト-レコード会社-音楽配信プラットフォーム-ユーザー」という構図が主流だった。曲の著作権はレコード会社が握っており、後に作品がヒットしてもアーティストにはほとんど利益が入らない。

一方で、音楽配信プラットフォームも多額の著作権使用料をレコード会社に支払っており、その費用は膨らむばかりだ。そのため自社で音楽著作権を管理して中間コストを省き、負担を軽減しようと考えたのである。

音楽配信プラットフォームで著作権を管理するようになると、「アーティスト-プラットフォーム-事業者・消費者」という構図になり、売り上げに応じた収益が分配されるなど、アーティスト側にも多くのメリットがある。

収益以外のメリット

さらに一部の無名アーティストにとっては、大手プラットフォームで露出の機会が増えるという期待もある。

これまでもレコード会社は無名アーティストやマイナーバンドとの契約を行ってきたが、その主な目的は著作権の数量を増やし、音楽配信プラットフォームとの商談を有利に進めるためだ。いったん著作権を握ってしまえば、どの曲をプロモーションするかはレコード会社の一存で決まり、アーティストに発言権はなくなる。音楽配信プラットフォームが直接、著作権を管理するようになれば、これらアーティストにもより多くのチャンスが巡ってくるはずだ。

加えて、アーティストがより手厚い保護を受けられることも期待できる。著作権の無断使用は頻繁に起こっているが、たいていはアーティストが泣き寝入りする結果となる。しかしプラットフォームで音楽著作権を管理するようになれば、著作権の侵害に対応する専任スタッフが置かれることになる。このようにして、アーティストには音楽に専念してもらい、ビジネスに関しては専門チームに任せることが可能になるのだ。

ただ著作権侵害の責任を追及するのにかかるコストは、しばらくは高いままだと思われる。そうではあっても、業界が成長を遂げるうえで、誰かがこの役割を担う必要がある。著作権問題で勝利した事例が増えれば、著作権侵害の件数もコストも減少していくと予測する関係者もいる。

果たして見通しは明るいか

とはいえ新しい著作権管理のモデルは、アーティスト同士の競争をさらに激化させる恐れがある。

トップアーティストの中には永久使用料と売上歩合で契約できるケースもあるが、知名度の低いアーティストの場合は永久使用料を受け取るには至らず、かえってその他大勢のアーティストと共に、プラットフォーム上でユーザーの注意を引くことに腐心することになる。またプロデュースを行っていたレコード会社の後ろ盾を失うことも痛手だ。

市場調査機関「艾瑞咨詢(iResearch)」のリポートによると、音楽配信プラットフォームが獲得に乗り出している著作権は、今のところロングテール分野に集中しているという。

現時点で、プラットフォームの影響力や発言力は限られており、著作権を含めた音楽配信体系のプラットフォーム構築には、まだ長い時間がかかりそうだ。
(翻訳・畠中裕子)

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