海外ブランドの拡充で業界トップの死守を目指すアリババ

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6月26日、アリババが越境ECサイト「天猫国際(Tmall Global)」の英語版を新たに立ち上げる計画を発表した。これにより、同プラットフォームに出店する海外ブランドは、3年以内に約2倍の4万ブランドに達する見込みだ。

サイトのドメイン(merchant.tmall.hk)はすでに有効になっており、海外業者の出店サポートを行う。
同サイトでは、出店条件のほか、取引モデル、決済方式、市場管理などの詳細なサービス内容を提供していく。

近年、天猫国際は出店ブランドを拡充し続けている。昨年11月、アリババの張勇(ダニエル・チャン)CEOは「今後5年間で、アリババは輸入商品の受注額を2000億ドル(約21兆5600億円)にまで引き上げる」と発表した。傘下の天猫、天猫国際をはじめ、次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」など複数の事業に消費ニーズの高い海外ブランドを低コストで導入し、越境EC事業全体の拡大を図る見込みだ。

アリババを含む各大手ECはこぞって、海外ブランドと巨額の受注契約を結んだことを発表した(画像提供:艾媒咨詢)

今のところ、天猫国際は77の国・地域から4000品目2万社以上の海外ブランドを出店させており、そのうちの8割は初めて中国に進出したブランドだ。今後5年間で、天猫国際は120の国・地域を網羅する計画を立てている。

より多くの有名ブランドを取り入れれば、集客力や収益力がより保証される。実際、海外からの出店業者は天猫国際で続々と新記録を打ち立てている。2018年、11月11日(独身の日)に開催されるECのディスカウントキャンペーンで、天猫国際は越境EC全体の受注額の約8割を占めた。また、100種以上のブランドの取引額が単日で1000万元(約1億6000万円)を超えている。2018年、海外ブランドの出店が加速し、新規出店業者の増加率は前年比122%だった。

このように、天猫が国際的な有名ブランドの拡充を急ぐ大きな理由の一つは、業界大手間の激しい競争にある。

中国の越境ECプラットフォーム市場の勢力構造はすでに固まりつつある。天猫国際、「ネットイースコアラ(網易考拉)」、「海囤全球(JD Worldwide、元・京東全球購)」の御三家が市場シェアの大半を占めている。

中でも、天猫国際が優勢を保っており、現時点で58カ月連続で市場のトップシェアをキープしている。中国のIT調査会社「易観集団(Analysys)」が発表した2018年第4四半期の越境 EC市場シェア報告によると、天猫国際の市場シェアは31.7%だった。

2018年第4四半期の越境 ECランキング(画像提供:易観集団)

国内のEC業界における競争が加熱していく中で、アリババも新たな成長市場を探さざるを得なくなっている。アリババの2019年年度決算報告によると、タオバオ(淘宝)と天猫は併せて約1億人の新規ユーザーを獲得し、そのうちの70%は中小地方都市や農村部といったローエンド市場から獲得したものだ。同時に、消費額の高い海外商品市場にも大きな成長の余地がみられる。

易観集団による別のデータによると、2018年第4四半期の越境 EC市場の規模は1145億6000万元(約1兆8300億円)で、前期比36%増だった。越境ECのユーザーも初めて1億人を突破し、依然として高い成長を保っている。

海外ブランドの導入はまだ始まったばかりだ。天猫は今後も世界全体をカバーするサプライチェーンを構築し、各分野で商品開拓を加速させ、欧州の化粧品やマレーシアやタイの栄養補助商品、ニュージーランドの蜂蜜、オーストラリアの乳製品、日本のベビー・マタニティ用品などの輸入を目指している。
(翻訳・虎野)

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