中国の自動運転ユニコーン「Pony.ai」、CFO辞任で米IPOに再び不透明感

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

自動運転スタートアップ編集部お勧め記事注目記事

中国の自動運転ユニコーン「Pony.ai」、CFO辞任で米IPOに再び不透明感

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国の自動運転開発スタートアップ企業「小馬智行(Pony.ai)」の最高財務責任者(CFO)Lawrence Steyn氏が3月初めに退職した。36Krが複数の関係者を取材してわかった。

Steyn氏はビジネスSNSのLinkedInで、現在は米プライベートエクイティファンド「American Industrial Partners(AIP)」のパートナーに就任したと発表している。これまでに公開された情報によると、 同氏は金融業界での経験が豊富で、投資銀行JPモルガンの副社長を務めたほか、ゼネラル・エレクトリック(GE)、エマソン・エレクトリック、フォード、プライベートエクイティファンドのブラックストーン・グループ、カーライル・グループなどに勤めてきた。

36Krが小馬智行に問い合わせたところ、「Steyn氏は個人的な都合でCFO職を退いている。同氏のこれまでの貢献に感謝するとともに、今後のキャリアの成功を祈念している。後任のCFOとしては王駿氏が就任した。王氏は小馬智行の創業メンバーの1人であり、これまでも複数のポジションでリーダーシップを発揮してきた」と回答した。

CFOの交代は、しばしば企業のIPOの進展と密接に関連している。Steyn氏は2021年6月に小馬智行に入社。小馬智行は株式公開に踏み出す布石としてこの人事を大々的に発表した。同月、小馬智行の彭軍CEOは海外メディアの取材に対し、同社が米国上場を検討中だと明らかにしている。実際、同社はロードショーは開始したものの、最終的には市場状況を考慮してIPO中止を決めた。

Steyn氏が退任したことで、小馬智行の米国上場への道はさらに不透明になった。一方、創業メンバーの王氏が Steyn氏の後任に就いたことは、小馬智行が今後、量産型の自動運転技術を事業化させることに力を割いていく決意を表している。

これは、小馬智行の米国上場が一筋縄では行かないこと、ひいてはL4クラスの自動運転技術が実用化に漕ぎ着ける難しさや、スタートアップ企業が生き残るために多くの方策を講じなければならない現状を写し出している。

2019年までの自動運転業界では、Google傘下のWaymo(ウェイモ)に代表される急進派と、テスラに代表される堅実派が拮抗していた。小馬智行はWaymo路線を忠実に踏襲してきた。現在の企業評価額は85億ドル(約1兆1300億円)で、中国企業としては最高額となっている。

しかし、テスラが商業的に成功すると、自動運転業界の天秤は不可逆的にテスラ派側に傾いた。自動運転はまず人間と共に運転することから始めるべきであり、一足飛びに人間のドライバーに取って代わるべきではないと多くの企業が考えるようになったのだ。

資本市場も慎重な姿勢をとっている。小馬智行は2022年3月にシリーズDでの資金調達を完了して以来、新たな調達案件の実施は発表していない。

小馬智行では巨額の開発費が預金残高を圧迫し続けている。36Krが入手した財務データによると、小馬智行は近年、売上高が10億元(約190億円)を超える一方で損失が年々拡大している。業界関係者によると、小馬智行は業界のトップ企業であり、最も多くのリソースを集約したユニコーン企業として売上高自体は良好だと言えるが、従来の成長速度や事業拡大の規模を維持していくことはいまだ不可能だとしている。

同社は近年、経営を維持するために事業を統合し部署をスリム化させる一連の措置を実施せざるを得なかった。トラック開発事業を乗用車開発チームに編入し、自動車生産計画は断念、人員整理も行った。

中国自動運転ユニコーン「Pony.ai」が複数部門を縮小、米研究センターの幹部も離職相次ぐ

海外では2022年末、L4を手がける自動運転スタートアップ企業が相次いで倒産した。フォードとフォルクスワーゲンが共同出資する米「Argo AI」が倒産を発表し、米「Aurora」は人員削減、役員の減給、資産の売却、そして会社の売却までも検討している。

一方で、量産に適した自動運転技術は資本市場と自動車メーカーから高評価を受けており、現在はほとんどのL4技術開発企業がここを目指している。

持続的な収入を得る選択肢はもはや少ない。小馬智行も戦略展開を速めなければならない。今年1月、POV(自家用車、Personally Owned Vehicle)事業部を設立し、自動運転用ソフトウェアのブランド「小馬識途」を発表した。しかし、初の量産プロジェクトの提携先「洛智能汽車(ROX Motor)」は自動車業界では新顔だ。

乗用車事業以外にも小馬智行は最近、自動配送車開発企業「新石器(Neolix)」、フードデリバリー大手の「美団(Meituan)」の自動配送車事業などに車載用ドメインコントローラーを提供している。従来のロボタクシー(自動運転タクシー)、自動運転トラック、POVの三大事業に加えて立ち上げた新事業だ。

無人運転、トラックに着々と導入 進まぬ乗用車尻目に

(翻訳・山下にか)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録