あえて地方都市を主戦場にして差別化を図るカプセル玩具ブランド「HENIBOX」

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あえて地方都市を主戦場にして差別化を図るカプセル玩具ブランド「HENIBOX」

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中国の大都市部では、地下鉄駅構内などでミニ玩具の自動販売機をよく見かけるようになった。いわゆる「カプセルトイ」と言われる類のもので、買って開封しなければ中身がわからない。

販売されている商品は「デザイナーズトイ」と呼ばれるカテゴリーで、香港で活躍するデザイナーのマイケル・ラウ氏がかつてブームを仕掛けたものだ。単なる玩具というよりもデザイン性や芸術性が重視され、コレクション的要素が強い商品だ。

こうしたデザイナーズトイの消費市場で現在、最も潜在力を持っているのは中国だろう。市場調査会社ユーロモニターの調査では、2017年の玩具市場の販売額は、全世界で851億4600万ドル(約9兆2600億円)だったが、そのうち中国での販売額が110億1200万ドル(約1兆2000億円)だった。成長率では、グローバル市場の3.5%に対し、中国市場は7.4%で上回っている。中国国内のあるコンサル機関の調査によると、中国におけるデザイナーズトイの市場規模は2016年に1000億元(約1兆6000億円)を突破している。

成長が見込まれるこの市場で、デザイナーズトイをはじめとする玩具の自動販売機やオンライン販売を手がけるのが「和你科技(HENI Technology)」だ。ギーク(テクノロジーマニア)やミュージシャン、アーティストなどが共同でデザインに関わり、「HENIBOX」ブランドとして新たな消費シーンを開拓している。同業種には「泡泡瑪特(POPMART)」という強豪が存在するが、一~二級都市を中心に展開する泡泡瑪特と異なり、HENIBOXは地方都市を主戦場としており、巧みに競争を回避している。

しかし、中国の玩具業界は多くの問題を抱えている。まずは製造コストが高いことだ。サンプル製作費、デザイン費、モールド製作費など、いずれも高額の費用が掛かる。中でも、1個で2~3万元(約32万~47万円)がかかるモールド製作費は大きな負担だ。1セットの商品で10種のモールドが必要と考えると、これだけで20~30万元(約320万~470万円)掛かることになる。

そこで、多くのメーカーは既成のモールドを流用し、色を変えたり、分解して再構成したりするなどして、安価で「新製品」を仕立て上げているため、似たような商品が市場に多く流通することになる。

しかし、HENIBOXはそれをしない。玩具工場には一定規模の製造個数を確約する代わりに、自社のモールドを他社製品に流用しないよう取り決めている。また、従来は欧米メーカーのOEM専門だった中国メーカーは決定的にデザイン力に欠けるため、HENIBOXは多くのデザイナーやデザイン事務所と提携して製品デザインを一任している。といっても、彼らに任せるのはドローイングまでの段階で、そのドローイングを3Dデザインに起こすところから、サプライチェーンの管理や生産、パッケージ、販売までは自社で行っている。

全商品の企画やマーケティング戦略はデータ分析に基づいて立てており、いずれの商品もそれぞれに異なる販路やマーケティング方式を確立している。オンラインではECのミニプログラムやコンテンツコマースを展開する。MCN(マルチチャンネルネットワーク)の運営を通じて、TikTok(抖音)やビリビリ動画(bilibili)、「快手(Kwai)」などの動画共有アプリや「小紅書(RED)」や「微信好物圏(WeChat Haowuquan)」などのソーシャルコマースプラットフォームなどで、コンテンツに絡めたプロモーションを展開している。オフラインでは、全国の商業施設やビュースポットなどにスマート端末(自動販売機)を設置して市場を開拓している。こちらでも経営データを活用して1台ごとに異なる商品戦略を実施する。各販売機の運営状況、受注状況や資金管理はすべてミニプログラム経由で確認でき、カスタマーサービスやアフターサービスは一括してバックヤードで受け持つ。

泡泡瑪特などの自動販売機とは異なり、HENIBOXの自動販売機は小型・軽量で場所をとらず、商業施設だけでなくバーやカフェなどにも設置できるうえ、1人で運搬・移動ができ、導入コストは1万元(約16万円)ほどに収まる。もともとが低コストのため、設置台数や販売数を稼いで初期資金の回収を急ぐ必要がなく、大都市に比べ人の往来が少ない地方の小都市でも比較的安心して設置できる。

商品構成は、売れ筋商品やトレンド商品だけでなく、ロングセラー商品にも一定規模の枠を割いている。商品は国内のメーカー数十社と提携して調達し、代理販売を行っている。これも大手の競合との差別化策だ。

また、オンライン運営に長けているのも同社の強みだ。商品運営の責任者から商品開発、マーケティング、サプライチェーン管理の責任者に至るまで、メンバーはいずれも大手IT企業の出身で、さまざまなアプリやミニプログラムを通じて効果的なコンテンツマーケティングを行っている。

オンラインとオフラインで異なる商品を取り扱っているのも戦略の一つだ。自動販売機で商品を購入し、モバイル決済を完了すると、ユーザーの端末は自動的にHENIBOXのミニプログラムへ誘導される仕組みになっており、次回の購入からはオンラインでも利用してもらえるようになる。ミニプログラムではミニゲームやユーザーコミュニティにも接続できるので、自然とユーザー定着率が高まるようになっている。

同社は現在、オンラインプラットフォームやオフライン設備の技術開発や運営を推進するために、さらなる資金調達を計画中だ。
(翻訳・愛玉)

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