アリババも「中国版ChatGPT」発表。AIスピーカーと企業向けツールに導入

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米オープンAIの対話型AI「ChatGPT」が昨年11月末にリリースされてから、テックジャイアントのAI開発レースが本格化している。

10年以上にわたってAI分野に取り組んできた中国の検索大手バイドゥ(百度)は3月16日に、高度な意味理解と生成能力を持つ大規模事前学習モデル「文心大模型」をベースにした対話型AI「文心一言(ERNIE Bot)」を発表した。

すぐさま後に続いたのが、中国テックジャイアントの一角であるアリババだ。4月11日に開催した「アリババクラウドサミット(阿里雲峰会)」で、大規模言語モデル「通義千問(Tongyi Qianwen)」を発表した。これに先立つ7日には、スマートフォン大手OPPO、自動車大手の吉利汽車(Geely Auto)、香港のスワイヤ・コカ・コーラ(太古可口可楽)など一部企業がベータ版の招待を受け取ったという。

通義千問は自然な対話ができるほか、テキストから画像を生成するなどのマルチモーダル機能も追加される。APIで外部サービスと連携させることも可能になる。

その性能以上に重要なのは、アリババグループの会長兼CEO、アリババクラウド・インテリジェンスCEOである張勇(ダニエル・チャン)氏がサミットで表明した方針だ。同氏は、将来的にアリババの全てのプロダクトに通義千問が組み込まれることになると語った。

まずは企業向けコミュニケーションツール「釘釘(Ding Talk)」とAIスピーカー「天猫精霊(Tmall Genie)」に搭載される。ビジネス現場でのコラボレーションに特化した企業向けツールと、スマートホームの代表であるスマートスピーカーという、主要な2つのプロダクトをおさえた形だ。

通義千問を搭載した釘釘や天猫精霊はさらに賢くなったと、張氏は説明する。天猫精霊は子どものちょっと意地悪な質問にも答えられるようになり、感情的な豊かさも加わって、より温かく人間らしいAIアシスタントに進化した。

オフィスでのコラボレーションについては、マイクロソフトの「Microsoft 365 Copilot」をベンチマークに、通義千問を釘釘に導入した際の効果が示された。すでに作業プランを自動で作成したり、会議の議事録作成後にサマリーやToDoリストを自動生成したりできるという。

通義千問はアリババクラウドの戦略「Back to Basic(基本に立ち返る)」に沿う形で、開発者向けのサポートも充実させる。APIやソフトウエア開発キット(SDK)を提供するだけでなく、AIモデルのオープンソースコミュニティ「魔搭(ModelScope)」を昨年11月に立ち上げており、すでにユーザーは100万人以上に達した。同コミュニティのAIモデル数は開設時の300から800に増え、ダウンロード数は累計1600万回を突破している。

全体的な商業化については、バイドゥの文心一言と同様、当初から法人顧客をターゲットにしている。注目に値するのは、アリババクラウドが今後「企業専用大規模モデル」と「業界専用大規模モデル」のリリースを予定していることだ。アリババクラウド・インテリジェンスの周靖人CTOによると、企業は自社専用のデータスペースにPDFやWordなどのファイルを追加するだけでトレーニングを実行でき、通義千問が企業ニーズにかなった大規模モデルを生成するのだという。

周氏はまた、将来的に検索や知識強化などの機能を通義千問に追加し、企業と共に新たな価値を生み出していきたいとの考えを示した。

これからのAI時代に、AIの活用場面が無限に広がることは想像に難くない。検索やEコマース、ソーシャル、ゲーム、マーケティング、教育、オフィス、文芸創作などはいずれも、AIで可能性が大きく広がる分野だと言えよう。

(翻訳・畠中裕子)

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