地図情報サービスの「四維図新」、北京で自動運転走行試験の許可取得

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地図・位置情報サービスを手がける「北京四維図新科技(NavInfo)」(以下、四維図新)が、北京市の交付する「自動運転車両路上走行試験用臨時ナンバープレート」(路上走行試験ナンバープレート)を取得した。このナンバープレートのレベルは自動運転レベルに応じて「T1」から「T5」まで設定されており、四維図新が取得したのはT3レベル。北京市はこれまで、同レベルの路上走行試験ナンバープレートを11社に交付しているが、このうち位置情報サービス企業は四維図新だけだ。

四維図新が路上走行試験に用いるテスト車両は長城汽車のSUV(スポーツ用多目的車)「WEY VV7」をベースとし、車体の前後左右に米ベロダイン・ライダー製LiDAR4個、車体の前後に長距離ミリ波レーダーを2個、車体前方に単眼カメラを設置している。また、同社が独自に開発した視覚検知アルゴリズムを搭載しており、前方に見える物体や複数車線、信号の検出に利用している。

四維図新自動運転基礎技術研究院AI担当ディレクターの李陽氏いわく、同社のソリューションのハードウェアにかかるコストは「同業者の2分の1か3分の1」だが、ソフトウェアやアルゴリズムの機能に対する要求は他社より高いという。

四維図新のテスト車両(写真:36kr)

地図サービス事業者が全般的な自動運転ソリューション事業に舵を切る例は非常に少ない。しかし四維図新のように設立から17年、深圳証券取引所に上場して9年、時価総額300億元(約4800億円)以上の企業にとって、常に事業領域を広げ、収益源を増やすことは競争力を維持する上で極めて重要だ。

今年初め、同社は2021~2024年に量産化を実現し、中国で販売されるBMWの全モデルを対象にレベル3(条件付自動運転)以上の乗用車用自動運転向け地図製品と関連サービスを提供する方針を明らかにした。さらに華為技術(ファーウェイ)、自動車電装品メーカー「徳賽西威(Desay SV Automotive)」、LiDAR開発を手がける独「ibeo」などと、運転のスマート化、IoV(車のインターネット)などの分野で協力して研究・開発を進めることも発表している。

また、2017年に車載半導体メーカーの「傑発科技(AutoChips)」を買収したことで、自動車メーカーに高性能な自動車用チップを提供することも可能となった。傑発科技の買収は同社にとって、もはや電子地図周辺では事業を拡大せず、自動運転の総合ソリューションプロバイダーへとビジネスモデルを転換することを意味している。

(写真:四維図新)

四維図新はAI(人工知能)関連技術にも力を入れている。李氏によると、同社には20年近くにわたる全国の地図データ収集作業から生み出された質の高い画像データ、約30万キロメートル分の高速道路の点群データ、全国をカバーするUGC(ユーザー生成コンテンツ)データ、無数のユーザーや協力先から提供されたデータが蓄積されている。これらにより、AIの深層学習アルゴリズムの訓練に膨大かつ有効なデータセットを提供できるとしている。現在、同社には約200人のAIエンジニアが在籍しており、将来的にAIクラウドプラットフォームを構築する予定だという。
(翻訳:池田晃子)

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