中小企業向け電子部品ECの「立創商城」が39億円調達、セコイアも出資

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電子部品取引プラットフォーム「立創商城(WWW.SZLCSC.COM)」を運営する「深圳市立創電子商務有限公司(Shenzhen Lichuang Electronic Commerce)」が近ごろシリーズAで2億5000万元(約39億円)の資金調達を完了した。出資したのは「紅杉資本(セコイア・キャピタル・チャイナ)」と「鐘鼎資本(Eastern Bell Capital)」。今回調達した資金は倉庫のオートメーション化や全サプライチェーンのAIスマート取引システムとデータサービスプラットフォームなどのソフト・ハードウェアのグレードアップに利用するという。

立創商城は2011年に設立。正規かつ現品の電子部品を取り扱うプラットフォームだ。中小零細企業や個人を対象としている。平日1日の平均注文件数は約4000件で、順調に成長しており、2019年上半期の注文件数は既に2018年通年の注文件数に近い。2018年の年間売上額は10億元(約157億円)近くで、成長率は50%に達している。

政府系シンクタンク「前瞻産業研究院」が発表したリポートによると、2017年の中国のPCB(プリント基板)生産高は297億6000万ドル(約3兆2140億円)と前年同期比で9.64%増。中国のPCB生産高は世界の生産高の半数を超えている。2022年には中国のPCB生産高は357億1000万ドル(約3兆8500億円)を超える見込みだ。

2016年の中国電子部品の卸売市場は約3兆4000億元(約53兆3800億円)に達していたが、当時最大規模の卸売業者「科通芯城(Cogobuy)」の市場シェアは0.7%にも届いておらず、業界の集中度は非常に低い。

いかにしてカテゴリの多い電子部品のサプライヤーを整理統合するのか。いかにして中小零細企業による小ロットで非効率的な買い付けと市場に偽物が氾濫する状況を解決するのか。立創商城が出した答えはこうだ。

まず、同社はEDA(Electronic Design Automation、半導体や電子機器の設計作業を自動化で行うこと)から取り組み始めた。2017年3月、同社はWebブラウザでプリント基板まで作成できるサイト「EasyEDA」を買収、「立創EDA(lceda.cn)」を設立。同社によると、これは世界初となるクラウド軽量化版EDAデザインソフトだという。すでに100を超える国で利用されており、海外ユーザーは60万近い。中国国内ユーザーも10万近いという。個人ユーザー以外にも国内ではすでに数十もの企業が立創EDAのプライベートクラウド版を採用。その中にはフォーチュン・グローバル500にランクインする企業も多い。立創EDAで設計作業が終わったらユーザーは直接、立創商城から必要な部品の仕入れをすることができる。現在、EDA設計からの注文獲得率は2%に達している。

同社CEOの楊林傑氏は、EDA設計は電子部品サプライチェーンの入り口であり、顧客に接する機会が最も多く、プラットフォームの集客口に最も適していると語る。

以前はニーズが少なかったため、多くの中小零細企業が華強北市場(深圳市にある中国最大の電子部品市場)やECサイトのタオバオ(淘宝)で仕入れを行っていた。その際、商品選択や価格の比較に非常に時間がかかったほか品質も保証されるとは限らなかった。

これらの問題を解決するため、正規品かつ現品というのは避けては通れない道だったのだ。

同社は1000余りのブランド純正工場や正規代理メーカー、販売代理店と提携し、商品の仕入れから倉庫への搬入までを行う。プラットフォームが売りにしている「4時間以内の発送」を実現するため、倉庫のオートメーション化をすすめる一方で、倉庫の面積を絶えず拡大し続け、商品の品揃えを拡充し続けた。

2018年7月、同社は50億元(約785億円)をかけて江蘇省に「立創電子互聯網科技園」を設立し、増え続ける注文に応えるとした。現在、同社の倉庫面積は7万平方メートルを超えており、在庫品の種類は26万種を超えるという。楊氏は、在庫は十分に揃える必要があると語る。大量の在庫を持つことで、中小ロットの取引を保証できるからだ。今後5年で、同社のSKUは50万~100万に達し、発送までの時間は1時間に短縮される予定だという。(翻訳・山口幸子)

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