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自動車製造業は実体経済に欠かせない重要な産業だ。自動車の電動化、ネットワーク化、スマート化が進む中、コア部品であるチップの重要性が高まっており、車載チップを手がける企業にも市場の注目が集まる。
そのうちの1社「湖北芯擎科技(Siengine)」(以下、芯擎科技)が、2022年第4四半期(10~12月)にシリーズA+で総額5億元(約100億円)近くを調達したと公式サイトで明らかにした。22年中に実施した資金調達としては3回目になる。同じ年の3月に自動車メーカー中国第一汽車集団(FAW Group)から資金を調達し、7月にはセコイア・キャピタル・チャイナが出資を主導し、ボッシュ傘下の博原資本(Boyuan Capital)などが加わったシリーズAで10億元(約200億円)近くを調達した。
近年の自動車業界にとって「チップ不足」は非常に頭の痛い問題となっており、車載チップの供給が逼迫していることから、世界の自動車生産台数は大幅に減少している。自動車業界専門の調査会社AutoForecast Solutions(AFS)によると、「チップ不足」が原因で2022年には世界で450万台近くの減産となった。こうした中、車載チップ事業に特化した芯擎科技も、資本市場で「引く手あまた」になっている。
名門校出身者が手がける中国最先端の車載チップ
芯擎科技は湖北省武漢市で先進的な車載チップの設計、開発、販売を手がける。湖北省は中国でも自動車製造が盛んで、湖北省GDPに対する自動車製造業の寄与度は20%を超えたこともある。武漢市にとっても自動車は基幹産業であり、多くの自動車メーカーが集積する。
芯擎科技の法定代表人を務める沈子瑜会長は1980年代生まれ、上海交通大学で工学修士号を取得した。これまでに上海通用汽車(SAIC-GM)、ドイツ通信大手ドイツテレコムの中国子会社T-Systems P.R. Chinaなどに勤め、コネクテッドカーやスマートカーのネットワークシステムなどの分野で豊富な経験を有する。2017年には吉利汽車(Geely)の創業者・李書福氏と共同でインテリジェントカー開発メーカー「億咖通科技(ECARX)」を設立し、沈氏が会長兼CEOを務めている。18年、億咖通科技は半導体大手Armの中国合弁会社アーム・チャイナ(安謀中国)などと出資し合い芯擎科技を設立した。
複数回の資金調達を経て同社は半導体チップのユニコーンになり、「フォーブス・チャイナ」2022年版で新しいユニコーン企業としてリストに名を連ねた。
同社のコア製品はスマートコックピット用チップ「龍鷹1号」だ。中国で初めてテープアウトに成功した7nmプロセスの車載用システム・オン・チップ(SoC)になる。今年3月末の発表会で、龍鷹1号の量産と製品供給が正式に発表され、同チップを搭載した複数モデルの国産車も今年半ばに発売予定であることが明らかにされた。
中国の車載チップの自給率は高くない。調査会社IC Insightsによると、2021年の自給率はわずか5%だった。車載チップは輸入に依存しており、国産品で代替できる余地は大きいといえる。
スマートコックピット用チップの分野では、クアルコム、サムスンなど世界の大手企業が7nmおよび8nmプロセスのチップを量産しており、クアルコムの第4世代「Snapdragon」自動車用デジタルコックピットプラットフォームは5nmプロセス技術を採用する。
一方、中国メーカーは16nmあるいは28nmプロセスが多く、7nmプロセス技術を採用する企業はきわめて少ない。それを考えると、芯擎科技の7nmのスマートコックピット用チップはすでに最高水準にあるといえる。ただ、将来頭角を現すことができるかどうかは、これから市場で試されていくに違いない。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。
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