フードデリバリー業界を支えるシェアキッチンビジネスが中国で台頭

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フードデリバリー業界を支えるシェアキッチンビジネスが中国で台頭

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新型フードサービス企業の「黄小逓(HUANG XIAO DI)」はこのほど、シリーズAで約1億元(約16億円)を調達した。インベスターは米アレス・マネジメントで、資金は主に店舗数拡大と技術投資に充てられる。黄小逓は過去にもエンジェルラウンドで「浅石創投(AquaVentures)」からで数百万元(約数千億円)、さらにプレシリーズAで数千万元(約数億円)を調達しており(出資者は非公開)、今回の資金調達は2年前の創業から数えて3度目となる。

飲食業界の競争激化や存続年数の短さといった問題を受け、近年ではシェアキッチン(クラウドキッチン)というビジネスモデルが登場している。集中出店、サプライチェーンの統合、IT技術サービス、管理経験、オンライン運営などのトータルソリューションを提供することで、飲食店オーナーの増収とコスト削減を後押しし、出店効率を高めようとするものだ。

シェアキッチンを利用する主なメリットは以下の通り。

■1カ所での集中出店により店舗の賃料が下がり、1人の店長が複数店舗の店長を兼ねるといった集約式管理で人件費を削減できる。

■内装、設備、営業許可取得はすでに完了しているため、各店舗が一斉に入居でき、開店準備にかかる時間もコストも節約できる。

■基本設備の利用、マーケティングプラン作成、データ分析などのオンライン・オフラインでの運営代行サービスも受けられる。また黄小逓が窓口となり材料の集中仕入れと配送を行うため、調達コスト面でも優位性がある。

■黄小逓はフードデリバリーなど生活関連サービスを手がける「美団点評(Meituan-Dianpin)」やフードデリバリーの「餓了麽(ele.me)」の「キー・アカウント」(重要取引先)であるため、入居店舗は通常より安いマージンでデリバリープラットフォームを利用できる。配送プロセスではドライバーのピックアップ効率が高まる。

黄小逓はデリバリー事業に注力するだけでなく、実店舗にイートインコーナーも設けており、オフライン事業の集客数は全体の30%前後を占めている。

さらに同社は大部分の競合他社とは対照的に、既存市場を改造するアセットライト戦略、つまり既存の共有型スペースに対して運営のノウハウを提供する戦略を採用している。現在、既存のフードコートの50~60%は収支が合う程度の状態にあり、さらなる収益拡大に取り組んでいる。黄小逓は彼らを対象として、店舗招致やオンライン・オフラインでの店舗運営サービスを提供しているのだ。

シェアキッチンというビジネスモデルは、登場直後から投資家の注目を集めていた。今年初めには米タイガー・グローバル・マネジメントをリードインベスターとして、「熊猫星厨(Panda Selected)」がシリーズCで資金を調達したほか、「吉刻聯盟(Jikelianmeng)」が米ウーバー(UBER)の創業者トラビス・カラニック氏により買収されている。黄小逓創業者の黄献興氏によると、業界の構図はすでに見えつつあるとはいえ、シェアキッチンは誰かが一人勝ちするようなビジネスではないという。長期的に見れば、参入企業は出店場所の選定、店舗招致、IT技術、きめ細やかな運営などの中核スキルを確立することが不可欠であり、ビジネスの規模と効率が勝負の鍵となる。

黄小逓は現在、華東地区で最大の店舗数を誇るシェアキッチンブランドとなっているほか、サービス対象エリア内での運営実績も非常に優れている。現時点で上海、杭州、北京の店舗数はすでに100カ所以上に達し、店舗平均面積は600~1000平方メートルで、業界大手から中堅どころ、全国規模の飲食チェーンなど累計1000店以上の飲食事業者にサービスを提供している。

黄小逓の本社は上海にあり、黄氏はこれまでにホテルチェーンの「99旅館連鎖(99inn.cc)」やホテル運営管理を手がける「逸柏酒店集団(YIBON Hotel Group)」の創設にも関わっている。黄小逓の幹部は餓了麽や美団点評、アリババなどの出身だ。

浅石創投の馮卓成氏は、近年のデリバリー市場の急成長を受けて、シェアキッチン、デリバリー業務代行などの新たなビジネスモデルが派生したと考えている。黄小逓を筆頭とするシェアキッチンは、入居店舗のコスト削減や坪効率の向上に有利だ。さらに店側は商品やブランド構築に専念でき、総合的な競争力を高めることができる。「Luckin Coffee(瑞幸珈琲)」のように急速に発展した新興ブランド、あるいは「有名店による小型店舗運営」というトレンドの中でさらなる市場開拓を望む老舗ブランド、黄小逓はそのどちらにとっても有り難いサポーターといえるだろう。
(翻訳・神部明果)

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