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中国には毎年150万人もの臓器の機能不全を抱える患者が存在し、そのうち30万人が臓器移植による治療を必要としている。中国国内における臓器移植の技術水準が成熟するにつれて、移植手術の件数は年々増加傾向にあるという。しかし、専門家によると、臓器移植は術後も終生に渡って治療が必要だ。合併症や拒絶反応の有無など、経過観察を続けることになる。つまり、術後の長期にわたるフォローアップと患者の生存率は密接に関係しているということだ。
しかし、臓器移植分野で経験が豊かな医療機関は極めて少なく、再診にに高い医療費がかかることや、必要なタイミングでの確実な診察が難しいことから、診療効率が非常に低いのが現状だ。また、電話やメッセンジャーなどの通信手段を利用した従来型の遠隔診療は、患者のプライバシーを保護する面で望ましいものではなく、患者の院外管理の障壁となっている。
上述の問題を解消すべく、アリババグループ傘下の医療・ヘルスケア事業「阿里健康(Ali Health)」と、臓器移植分野の医学専門家らが共同で立ち上げた臓器移植後の経過観察プラットフォームが正式にサービスを開始した。同プラットフォームは、従来の経過観察プロセスをオンラインに移行し、術後の管理における問題を改善できると期待されている。
阿里健康でインターネット医療を統括する董宇ディレクターによると、同プラットフォームを利用すれば、患者はオンラインを通じ、いつでも遠隔で再診が受けられる。医療機関で受診した際、担当医が提供するQRコードをモバイル決済ツール「支付宝(アリペイ)」でスキャンするだけで、専門家チームとつながることができる。患者はアリペイを通じて「阿里健康フォローアップセンター」にアクセスすると、リアルタイムで医者とコミュニケーションが取れるほか、専門的な問診表を通じて定期的に回復状況のフィードバックが受けられる。さらに、患者側から写真をアップロードすることによって、医者から随時、速やかに専門的なアドバイスを受けることもできる。
また、プラットフォームでは専門的な健康情報が提供され、患者が自身の病気や術後の養生方法などを理解する上で役立つ。また、コールセンターも完備されており、術後も患者に深く寄り添い、質・量ともに最大限に保証されたフォローアップを実現する。また、こうしたデータの確実かつ速やかな取得は、医師にとってもが常時、患者の回復状況を把握する上で役立っている。そして、アリペイの顔認証機能や「アリババクラウド(阿里雲)」などのインフラにより、データや患者のプライバシーが厳重に守られている。同プラットフォームは、国内初のインターネット技術に基づく臓器移植後のフォローアップを専門にしたサービスだ。
医師にとっても、このプラットフォームは患者の管理効率を向上させる大きな助けになる。具体例を挙げると、アリババのオフィスツール「釘釘(dingtalk)」を通じ、医師は患者の過去の診察記録やカルテを閲覧でき、ユーザーの各項目に関する指標をリアルタイムに観察することができる。また、ユーザーがアップロードした情報に基づいて、プラットフォームではデータの構造化や数値化を実現し、医者が速やかに患者の病状を判断できるようにサポートしている。
現在、同プラットフォームはまず天津市第一中心病院で試験的に運用されており、その試験データを基に、今後は杭州や上海、鄭州、成都などの多くの権威ある医療機関でも実用化される予定だ。(翻訳・虎野)
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